県に質問状のお歳暮 (1998年12月29日)

 辰巳ダムの治水計画に「データの捏造」があることを指摘した建設コンサルタント、中登史紀(なか・としき)さんが、28日に県に質問状を提出されました。

 先日の公共事業評価監視委員会土木部会での「辰巳ダムの費用対効果は21倍」との県の説明について

>もし、これが本当であるならば、これだけの費用効果の大きい事業であるなら
>ば、日本国内のプロジェクトの中でも一、二を争う、優良プロジェクトであ
>り、何を差し置いても最優先で実施するべき事業でしょう。

……と、中さん流の攻め方です。

 質問状の提出には、米田昭夫県河川開発課長が応対。中さんが訪ねると、十数人の報道陣にかこまれ、米田課長、ずいぶん厳しい表情だったそうです。

 「御用納め」の28日、辰巳の会から1月8日が回答期限の質問状が届いているわ、中さんがやってくるわで、河川開発課はたいへんだったでしょう。気分は御用納め、正月休みどころではなかったでしょうね…。

 辰巳ダム計画がつづくかぎり、河川開発課のひとはイヤな思いをしなければなりません。
 計画があるかぎり担当者は合理化しなければならないし、もともと杜撰な計画だけに合理化しようとすればするほどボロがでて、そこをまた突かれるし…。

 20年以上前の先輩が決めた計画で、知事が「やめた」といってくれないばかりに、不合理な計画を合理的にみせかけるという精神衛生上よくない仕事に従事しなければならないことに、少し同情してしまいます。
 「この計画、やっぱりやめましょう」と上に提案しない本人もよくないのですが。

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平成10年12月28日
石川県土木部河川開発課長 殿

新聞報道によると「辰巳ダム、費用対効果は21倍と主張」とあったが、誤報では?

中 登史紀

辰巳ダム計画に関して、平成10年7月28日に「辰巳ダム計画に関する申入れ書」という形で、質問をさせていただきましたが、その回答の状況はどのようになっているでしょうか。もし、一部でもできていれば、おうかがいしたいと思います。もし、できていなければ、いつごろ、できるのかご回答いただければ幸いです。

ところで、金沢を不在しておりまして、最近、帰沢したのですが、石川県公共事業評価監視委員会が設置され、108件の公共事業について再評価が進められているということを新聞報道で知りました。有意義で、画期的な行政側の姿勢の変化であり、そのご努力を評価するものであります。

ところが、小生の最大の関心である「辰巳ダム」に関する記事について、単純でありながら、非常に大きな疑問を持ちました。以下に疑問を持った内容を再掲します。

平成10年12月19日の北国新聞の報道では、
「治水効果が三千億円相当、建設コストが百四十億円で、費用対効果は二十一
倍になるという試算を明らかにした。」
平成10年12月19日北陸中日新聞の報道では、
「費用対効果21倍の3000億円」
とありました。

もし、これが本当であるならば、これだけの費用効果の大きい事業であるならば、日本国内のプロジェクトの中でも一、二を争う、優良プロジェクトであり、何を差し置いても最優先で実施するべき事業でしょう。

しかし、小生が20数年、技術者(エンジニア)をしてきた経験から、これは誤りではないかと直感しました。エンジニアは、いかに安価な費用で目的を達成するか、いかに費用効果が高くなるようにするか、その知恵をだすことが仕事です。1の投資で1.5倍、2倍の投資効果がでるように工夫してきました。21倍もの投資効果のあるような事業であれば、1も2もなく、評価し、賛成します。エンジニアならば、誰でもすぐにこれはおかしいと気づくはずです。

したがって、考えられるのは、
「新聞報道が誤っている(新聞記者が石川県担当者の説明を正しく理解してい
ない。)。」あるいは、
「新聞報道が正しければ、石川県の試算が誤っている。」
です。

そこで、新聞記事ではなく、直接、河川開発課にうかがって、正確なところを教えていただきたいと思います。できれば、課長からお話をうかがいたいのですが、課長のご都合がつかなければどなたでも結構です。28日の月曜日の11時頃におうかがいしますのでよろしくお願いします。

疑問1)費用効果21倍が間違いでは。?

分子が3000億円、分母が140億円で21倍と計算されています。

分子である、治水効果3000億円が県の試算どおり、正確なものと仮定します。

分母である建設コストは、辰巳ダムの140億円だけでよいのでしょうか。戦後、犀川の治水のために行ってきた事業コストと、現在及び今後の、辰巳ダム以外の犀川の治水事業コストを加えたものではないのでしょうか。

疑問2)仮に辰巳ダムの費用効果が3000億円ならば、犀川ダム、内川ダムの費用効果はいくらになるのでしょうか。?

疑問3)辰巳ダムの費用効果が3000億円ならば、150年確率の第二辰巳ダムの費用効果が4000億円で、200年確率の第三辰巳ダムの費用効果が5000億円という論理が正しいことになります。これでよいのでしょうか。?