来年度政府予算における辰巳ダムの予算について

1998年12月22日

県政記者クラブ加盟報道各社御中

兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会
常任理事・事務局 碇山 洋

 1999年度政府予算大蔵原案における辰巳ダムの扱いについて、辰巳の会の見解を発表します。

 一.石川県の要求額6億円(事業費ベース)にたいして、建設省の概算要求は4億7千万円と約22%減額され、大蔵原案ではそれが満額認められた。今年度当初予算の1億4千万円からみれば「大幅増」ということになるが、今年度当初予算は財政構造改革の具体化として編成されたもので、景気対策の名目で組まれた今年度補正予算で当初予算と合わせて県要求額満額の6億円が確保された時点とくらべるのが、同じ「景気対策」予算の比較として合理的である。その観点からみれば、現在進行中の辰巳ダム再評価がどのような結論になるかが、ありうべき来年度補正予算にも影響を与えるであろうし、私たちはこの再評価によりいっそう注目していきたい。

 一.新聞報道をみた市民から、辰巳の会に寄せられた声の中には、これで一挙に辰巳ダム建設に弾みがつくのではないかと危惧するものもあった。とくに、県側が大蔵原案を評価していると報道されていることを心配する声もあったが、実態は、共有地運動や監視委土木部会での結論先送りなど辰巳ダムへのつよい逆風の中で、公共事業に大盤振る舞いの予算編成方針にもかかわらず県要求額が減額されたということである。22%減額されているのに県担当者が「弾みがつく」としているところに、むしろこの間の県側の追いつめられた心理がよく現れている。情勢の基調が、私たちの運動が有利に展開しているところにあることにかわりはない。

 一.県河川開発課長が今回の内示額を「(建設省が)…反対派との意見交換…を勘案した結果」とみていると報道されている。この間、私たちはいくつかの問題について県にたいして質問や申し入れを行ってきたが、県の回答は内容をはぐらかしたもの、論破されつくした従来の主張を単にくりかえすだけのものばかりで、「意見交換」といえるような実質はない。県が建設省にたいして「反対派市民と意見交換を行っている」と報告しているとすれば、事実に反しており、問題である。