辰巳の会は、１１月２日（月）、石川県知事あてに「辰巳ダム再評価に関する緊急の申し入れ」を行いました。以下に、県に提出した申し入れ書を紹介します。
申し入れには、辰巳の会からは中井安治会長代行と碇山が参加。県側は県技監（土木担当）の雨坪裕孝氏らが対応しました。
テレビ、新聞など、申し入れと質疑応答の場に多数取材に来られました。申し入れの後、記者会見も行いました。
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辰巳ダム再評価に関する緊急の申し入れ
１９９８年１１月２日
石川県知事
谷本正憲殿
兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会
会長代行 中井安治
石川県の発展のための御活躍に敬意を表します。
報道(「北陸中日」10月22日付など)によると、石川県は、第三者機関「県事業評価監視委員会」(仮称)を１１月初旬に発足させ、辰巳ダム建設計画など約百件の公共事業について費用対効果などの再評価を行う方針であると伝えられています。
私たち「兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会」(辰巳の会)は、監視委員会が11月初旬に発足するというこの局面において、辰巳ダム再評価に関連して以下について緊急に申し入れ、貴職の御回答をいただきたいと考える次第です。
１．再評価の日程等について
当会が取り組む辰巳ダム建設を阻止するための共有地運動において、相合谷共有地で98名(97年２月に登記済み)、10月１日より開始した瀬領共有地で92名が申し込む(10月27日現在)など、辰巳ダム反対の世論がひろがっています。また、建設コンサルタント中登史紀氏によって、計画策定時の流量予測の計算に重大な過失が含まれてい
ることが指摘されています。環境アセスメントが、今日の生態学等の水準からみてまったく不十分であることも明らかです。
①辰巳ダム建設計画の再評価には十分な時間をかけて、民主的・科学的な調査・審議を慎重に行ってください。
②辰巳ダムの再評価をどのように進める予定であるか、そのスケジュールを公表してください。
２．監視委員会委員の人選等について
辰巳ダム建設計画にたいしては反対の意見をおもちの県民が多数おられます。また、辰巳ダムを必要と考える人のなかにも、十分な合意形成をもとめるなど、計画の慎重なとりあつかいを求める方もおられます。監視委員会の委員は、辰巳ダム建設計画をめぐる多様な見解を反映した構成にしなければなりません。
①「第三者機関」にふさわしく、監視委員会の委員に、反対派・慎重派をふくむ多様な立場の方を選んでください。また、生態系、文化財、経済・財政など、自然科学・社会科学のさまざまな分野の学識経験者を選んでください。
②辰巳の会を含む市民団体が推薦する人を、監視委員に任命してください。
３．公聴会などの開催について
計画へのさまざまな批判、疑問が提出されている辰巳ダム建設計画については、少人数(前出「北陸中日」では「10人程度で構成」とされている)の監視委員会での議論だけでその適否を判断することは不可能であり、適切でありません。府民からの意見公募を決定した大阪府の府建設事業再評価委員会などの例にみられるように、計画の
再評価にあたってひろく県民の声をとりいれることが求められています。
①公聴会など、監視委員会が反対派をふくむ県民の声をひろく聞く場を、十分な回数、時間をかけて公開で開催してください。
②再評価の内容をより充実したものにするため、資料配付など、辰巳の会はじめ市民・市民団体から監視委員(会)に情報提供をさせてください。
③監視委員会が委員以外の専門家、学識経験者の意見を聞く場を、十分な回数、時間をかけて公開で開催してください。
④監視委員会が辰巳ダム建設による水没地等の関係地権者の意見を聞く場を、十分な回数、時間をかけて公開で開催してください。
⑤県民の意見を公募し、監視委員会で検討してください。
４．情報公開等について
辰巳ダム建設計画の再評価がどのような資料、情報にもとづきどのようなプロセスですすめられるかに、県民は注目しています。
①監視委員会発足後、速やかに、委員全員の氏名、所属等を公表してください。
②監視委員会の審議は、個人のプライバシーに関わる問題など特別の事情がある場合をのぞき、すべて公開にしてください。また、審議日程等をあらかじめ公表し、審議を県民が傍聴できるようにしてください。
③監視委員(会)に配布された資料について公開し、県民が閲覧・複写できるようにしてください。
５．その他
辰巳ダム建設計画以外の事業計画についても、以上の諸点に留意した再評価を行ってください。
以上の申し入れに対する貴職の見解を文書にて御回答ください。御多忙の折まことに恐縮ですが、１１月初旬に監視委員会が発足する運びとのことですので、回答の期限を１１月６日(金)午後５時必着とさせていただきます。御協力いただけるようお願いいたします。