ほんとうに危険なのは鞍月用水堰上流

20年以上も放置、計画もなし。測量さえしていない。

ナギの会と共同で県に公開質問状を提出

(2003年8月17日掲載)


 ナギの会が入手した公文書の分析から、犀川下流でもっとも流下能力が小さい個所は、鞍月用水堰(城南1丁目付近)あたりではないかという問題が明らかになりました。

 県の計画では、犀川大橋地点が川幅が最も狭く危険だということで、ここを基準点に計画高水を1,230m3/sとして辰巳ダムを計画しています。

 ところが、実際には犀川大橋から約2キロ上流の鞍月用水堰付近が、川幅はあるものの浅いため、流下能力が非常に小さいのではないかという問題です。

 1998年の台風7号は、金沢地方に記録的な大雨を降らせましたが、下菊橋観測点(犀川大橋より約1,300m上流)では水位は低くゆとりがあったのに、鞍月用水堰付近ではあと20〜30センチほどで越堤しそうな状態でした。 県の公文書でみるかぎりは、この地点の流下能力は大きめにみても600m3/s。

 鞍月用水堰から上流は、20年以上も河川改修が行われず放置されたままで、改修計画もありません。なんと、測量もしておらず、県はこの地点の流下能力も把握していません。

 問題を重視した当会は、ナギの会と連名で、知事宛てに公開質問状を、犀川水系河川整備検討委員会に申入書を提出。さらに、県からの回答をふまえ、検討委員会に再度の申し入れを行いました。

 (詳しい経過については、ナギの会のサイトの「流下能力データに重大疑惑。県へ公開質問」の一連を参照してください。また、関連の議論が辰巳の会掲示板にあります。)


2003年8月4日

石川県知事 谷本正憲様

兼六園と辰巳用水を守り、               
ダム建設を阻止する会 事務局長 碇山 洋

ナ ギ の 会 代 表 渡辺 寛

犀川水系河川整備基本方針策定に関わる流下能力等に関する公開質問状

 犀川水系河川整備基本方針策定に向け、現在、犀川水系河川整備検討委員会での審議が進行しています。私たちは、委員会の審議を傍聴し、県が委員会に提出された資料を拝見してきましたが、犀川の流下能力について、大きな疑問をもつところとなりました。

 犀川の流下能力がどのようなものであるかは、基本方針策定のための議論の前提です。この数字の大きさによっては、議論の焦点となっている辰巳ダムは不要であるかもしれないし、あるいは逆に辰巳ダムをつくっても対応しきれないことになるかもしれません。

(1)石川県が犀川水系河川整備検討委員会に提出した計画高水計算資料では、犀川大橋基準点の計画高水流量は1,230m3/sとなっています。私たちがこれまでに入手した資料を見る限り、この1,230m3/sという数次は実測にもとづくものではなく、根拠が曖昧なものではないかとの疑問があります。

 1,230m3/sという数字の根拠について、以下のものをお示しください。

 @犀川大橋基準点における、河川断面、河床勾配等の測量を行った年月日、および測量結果を示す図面など

 A上記@から1,230m3/sを算出した計算式

 B計画高水流量が1,230m3/sであることの根拠となるその他の資料など

(2)私たちが入手した県の資料「犀川ダム計画書」や「中小河川改修全体計画書」あるいは河川の現状を示す「河川台帳」をみると、犀川の鞍月用水堰上流(大桑橋〜城南1丁目付近)は、1972年当時とかわらず、流下能力は大きめに見積もっても615m3/s程度であり、現在の犀川下流ではこの付近がもっとも流下能力の小さい部分であると思われます。

 もしこの地点の流下能力が615m3/s程度であれば、県が委員会に示した案では辰巳ダムをつくってもこの地点で毎秒数百立方メートルの水が犀川からあふれることになります。その場合、ここで溢れた分だけ犀川大橋地点の負荷は小さくなり、県の想定する百年に一度の大雨が降ったとき水が溢れるのはこの地点であって、犀川大橋地点ではありません。この地点の流下能力の大きさによっては、辰巳ダムつくってもここでの溢水は防げないこともありえます。

 @この地点の犀川の流下能力の大きさを、県は毎秒何立方メートルとお考えでしょうか?

 Aその数字の根拠を(1)@AB同様にお示しください。

 以上の諸点を曖昧にしたまま委員会での審議を進め、基本方針をつくっては、将来に大きな禍根を残すことになります。委員会での審議の素材とするため、8月11日(月)までに、本質問状に対する回答を文書でいただけるよう求めます。

 なお、本状は公開質問状とし、本状および県の御回答は、記者会見や私たちのホームページなどで公開するとともに、犀川水系河川整備検討委員会にも提出する予定であることを申し添えます。


2003年8月4日

犀川水系河川整備検討委員会
 会 長 玉井信行様

同 河川計画専門部会
 部会長 辻本哲郎様

同 基本方針策定部会
 部会長 矢島孝昭様

兼六園と辰巳用水を守り、                
ダム建設を阻止する会 事務局長 碇山 洋

ナ ギ の 会 代 表 渡辺 寛

犀川水系河川整備基本方針策定に関わる流下能力等に関する申し入れ

 犀川水系河川整備基本方針策定のための御活動に敬意を表します。

 私たちは、この間、河川整備検討委員会、基本方針策定部会の審議を傍聴し、県が委員会に提出した資料を拝見してきましたが、犀川の流下能力について、大きな疑問をもつところとなりました。

 犀川の流下能力がどのようなものであるかは、基本方針策定のための議論の前提です。この数字の大きさによっては、計画の焦点となっている辰巳ダムは不要であるかもしれないし、あるいは逆に辰巳ダムをつくっても対応しきれないことになるかもしれません。また、この数字は、ダム計画の是非にとどまらず、犀川の治水計画全体、ひいては流域住民の安全に関わる重要な問題です。

 そこで私たちは、石川県知事に対し、別紙のとおり公開質問状を提出いたしました。

 この質問状で質問した項目を曖昧にしたまま委員会での審議を進め、基本方針をつくっては、将来に大きな禍根を残すことになります。

 つきましては、犀川水系河川整備検討委員会ならびに同河川計画専門部会・基本方針策定部会に対し、以下の3点を申し入れますので、よろしく御対応いただけるようお願いいたします。

(1)委員会ならびに部会での審議において、私たちの質問状と県の回答について、十分な時間をとって御検討ください。

(2)質問状・回答についての十分な検討が終わるまでは、県の原案承認など、犀川水系河川整備基本計画策定作業をつぎの段階に進めないでください。

(3)私たちは、委員会や部会に出席して、質問状の趣旨・内容、県の回答に対する私たちの見解を述べる用意があります。私たちを、委員会および部会に参考人として招致してください。

 改正河川法の精神に則り、県民の英知を集め、犀川をより安全ですばらしい川にするために、貴委員会が私たちの申し入れに積極的に対応されることを期待いたします。


平成15年8月14日

兼六園と辰巳用水を守り、ダム建設を阻止する会 事務局長 碇山 洋様

ナギの会 代表 渡辺 寛 様

石川県土木部次長兼河川課長

犀川水系河川整備基本方針策定に関わる流下能力等に関する

公開質問状について(回答)

 日頃から、石川県の河川行政にご協力いただき、お礼申し上げます。

 去る8月4日付けで提出のあった標記につきましては、先にメールで回答済ですが、今般、下記のとおり回答致します。

 (1)につきましては、県で保有している資料について、既に請求に応じて全て公開してきており、現在、新たに提供できる資料は保有しておりません。

 (2)につきましては、鞍月用水から上流部について、今後策定予定の河川整備計画の中で検討を行うこととしております。


2003年8月12日

犀川水系河川整備検討委員会

 会 長 玉井信行様

同 河川計画専門部会

 部会長 辻本哲郎様

同 基本方針策定部会

 部会長 矢島孝昭様

兼六園と辰巳用水を守り、       

ダム建設を阻止する会 

事務局長 碇山 洋

ナ ギ の 会      

 代 表 渡辺 寛

公開質問状に対する県の回答について(コメントと申し入れ)

 8月4日に私たちが提出した『犀川水系河川整備基本方針策定に関わる流下能力等に関する公開質問状』に対して、回答期限の8月11日(19時37分)、電子メールで県土木部次長兼河川課長(氏名の記入なし)の回答が届きました。

 今回の公開質問とそれに対する県の回答は非常に重要な問題を含んでおり、詳細な検討と論評はあらためて行いたいと考えますが、12日午後には第6回犀川水系河川整備検討委員会が開かれるので、さしあたっての私たちの見解を以下に示しておきます。12日の委員会では、先の申し入れのとおり、私たちの質問状と県の回答をご検討いただくとともに、本文書もご検討いただけるよう、申し入れるものです。

(1)質問状で、私たちは、@犀川大橋基準点における、河川断面、河床勾配等の測量を行った年月日、および測量結果を示す図面など、A上記@から1,230m3/sを算出した計算式、B計画高水流量が1,230m3/sであることの根拠となるその他の資料などを示されるよう、県に求めました。これに対する県の回答は、「県で保有している資料について、既に請求に応じて全て公開してきており、現在、新たに提供できる資料は保有しておりません」というものでした。

 私たちがこれまでに請求し公開を受けてきた資料の中には、Bの「その他の資料」という点では県の計画を示す文書はありますが、@Aに該当する資料はありませんでした。県が今回、「既に請求に応じて全て公開してきており、現在、新たに提供できる資料は保有しておりません」としたことは、犀川大橋地点の計画高水流量を決めるための実測データがないということを事実上認めたことになります。要するに、「県の計画では1,230m3/sとなっている」ということだけであって、その計画が実態にあっているかどうかを示せないということです。

 このような状況で、計画高水を1,230m3/sとして、河川整備基本方針を策定することは正しくありません。

(2)私たちは、犀川の鞍月用水堰上流(大桑橋〜城南1丁目付近)について、「@この地点の犀川の流下能力の大きさを、県は毎秒何立方メートルとお考えでしょうか? Aその数字の根拠を(1)@AB同様にお示しください」と質問しました。これに対する県の回答は、「鞍月用水堰から上流部について、今後策定予定の河川整備計画の中で検討を行うこととしております」というもので、質問に何ら答えていません。県は、この地点の現在の流下能力を把握していないということです。

 質問状を提出した際にも、応対された中田謙司担当課長は、この地点の流下能力拡大は河川整備計画の段階の問題だと力説されました。

 しかし、現況の流下能力や、堤内地の開発状況(拡幅・堤防増強の可能性)、前後の区間をあわせた河床勾配(どの程度浚渫で対応できるか)などが大づかみにでも分からなければ、「河川整備計画の中で検討を行う」で済ますわけにはいきません。実際、1998年の台風7号にともなう記録的な豪雨の時には、下菊橋観測点では十分なゆとりがあったにも関わらず、城南1丁目付近では、あと20〜30センチほどで堤防を越えるところまで水位が上がっていました。この地点の現在の流下能力がどれだけであるのか、浚渫・拡幅などによってどの程度まで流下能力を高めることができるのか、あるいは場合によってはダム建設でどの程度まで対応できるのかが明らかにされなければ、「犀川大橋基準点の計画高水1,230m3/s」を土台にして計画を考えること自体が誤りである可能性も否定できません。多摩川の基本方針では、4カ所を検討していますが、犀川でも犀川大橋地点だけでなく城南1丁目付近の地点においても計画高水を検討しなければならない可能性があります。

 中田担当課長は、8月4日、城南1丁目付近については河川整備計画の段階でどのようにでも対応できる、ここは安全だと発言されましたが、今回の回答は、この発言に何の根拠もないことを示しています。

 以上、簡単にみてきたように、石川県は、犀川大橋基準点の計画高水の基礎となる実測値ももっておらず、より危険なボトルネックである可能性のある城南1丁目付近の流下能力も把握できていない状態です。このような状態で、「城南1丁目付近は河川整備計画の段階で検討すればよい」「犀川大橋基準点の計画高水は1,230m3/s」として河川整備基本方針を策定することは、将来に大きな禍根を残すことになります。また、遠い将来の問題というだけでなく、流下能力も把握しないまま河川整備基本方針を決めては、河川整備計画策定の段階に解決不可能な問題を残すことになりかねません。

 犀川水系河川整備検討委員会におかれては、以上のことをよくふまえ、私たちの公開質問状・申入書と県の回答、本状をふまえ、十分に慎重な審議をされることを、切に求めるものです。

(2003年8月12日午前9時20分、犀川水系河川整備検討委員会事務局(県河川課)へファックス送付。)


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