戦争・マフィア・バイオレンス Part2
「フルメタル・ジャケット」
監督:スタンリー・キューブリック
出演:マシュー・モディン アダム・ボールドウィン
時はベトナム戦争、戦争をめざした海兵養成学校での新兵養成訓練の様子と、彼らが実際に戦場に出てその厳しさを味わって行く様子と大まかに2部構成で話は進む。人としてのプライドを剥奪し殺人兵器を養成する海兵養成学校のすさまじさ、そして次第に人格を失って行く新兵の様子はまさに狂気の世界。そして、それをはるかに上回る実際の戦場の様子を、情報員となった一人の海兵学校出身者を通して描くことで、多少なりとも客観視して解りやすく伝えているところがいい。ベトナム戦争特有のゲリラ戦、ようやく捕らえた凄腕スナイパーの正体を通して、戦争を生き抜く事の厳しさを改めて伝えてくれる。
「シン・レッド・ライン」
監督:テレンス・マリック
出演:ジョン・カヴィーセル ジョン・キューザック ジョージ・クルーニー
第2次世界大戦の太平洋戦線に従軍する兵士達を描いた作品。監督のテレンス・マリックは大昔に名作(忘れた)を生み出して、ほとんど伝説と化してしまったような人で、久々(20年ぶり)の復帰作に全世界が注目しているらしい。また、注目すべきは出演陣。ショーン・ペン、ジョージ・クルーニー、J・キューザック、ウディー・ハレルソン、ジョン・トラボルタ(こいつがなんと脇役らしい)と超豪華。また、制作前にはディカプリオ、ニコラス・ケイジ、ブラピといった超大物達が自ら出演を申し込んできたというから驚きだ。
<ストーリー>
時は第2次世界大戦、ターニングポイントと言われたガダルカナル戦線、日本軍の基地建設阻止に向かうC中隊。「人は何故戦うのか?」、C中隊を愛しながらも戦争には距離を置きたいウィット二等兵を通して、人間の愚かさ、戦争のむごさ、そして極限状態に置かれた人間の心理を描いた作品。
<見どころ>
「プライベート・ライアン」に続いて公開されたこの作品、時代も同じ第2次世界大戦と、比較無しには語れない。(ていうか、解りやすいから比較してみる)。激しく生々しい戦闘シーンで戦争(特に戦闘)のすさまじさ、むごさをドキュメンタリー的に直接的に訴えかけた「プライベート・ライアン」。これに比べ「シン・レッド・ライン」は戦争という極限状態にある人間達の心理面・人間の愚かさというような、もう少し深いところを描いた映画。
戦争という状態にあっても変わらず存在し続ける大自然、この美しさにスポットをあてる着眼点は見事。テレンス独特の”マジック・タイム”(日が沈んでから30分、最も美しいと言われる時間)での大自然の映像美、そして低いアングルでの実戦さながらの映像。この静と動を絶妙に織り交ぜることで人間の愚かさや極限状態をじわじわと訴えかけてくる。これは単なる戦争映画ではない。どっちがどう言う作戦を取ったとか誰が素晴らしいとか、英雄はいないしそういう戦闘自体に焦点はない。戦闘シーンで流れる悲しげな音楽、銃弾の飛び交う横で飛び回る蝶々。大自然をバックに正気と狂気の境にある赤いラインをさまよう人間達の心理を描いた、人間ドラマ。
出演陣の特に素晴らしい演技というのは無かったが、総合的に見ごたえのある素晴らしい映画だった。
一度は見てもらいたい映画です。
これから更新(予定)
「戦場のメリークリスマス」 など・・
