ひなげし手帖  → 最新のメモ  → バックナンバーリスト

2008.09.27  はなうたサーカス・・・せいこ 

まだ9月なのにすっかり秋の空気。
空も高くなって、うろこ雲が一面に見えたり、
夕焼けがきれいだったり、空を見上げることが多くなった。
     
ここのところ、よく聞いているのが、はなうたサーカス
「closet music」というアルバム。
たて笛や打楽器が奏でる、物語のような音楽。
すべてインストで、言葉は曲名にしかないのだけど、
頭の中でぱらぱらと絵本をめくっているような気持ちになる。
     
雨の日のオットセイ
晴れてる冬の日曜日
はりねずみのパン
電車の旅
はらぺこロドリゲス
散歩するたび象にあう
昼寝の水泳
冬の流星観察
うみ
森の、雨の
十一月のひとひら
  
いくつか曲名を、と思ったのに、全部書いてしまった。
どれもすてきなのだもの。
アルバムのタイトルの「closet music」というのもとってもいいと思う。
ブログを読んでいると、ライブもとっても楽しそうで、
いつか観に行きたいと思っているところ。
   
こちらで試聴もできるようです。
   
CDのジャケットの絵は、メンバーでもあるイシイリョウコさんが描いたもの。
持っていて嬉しくなるようなかわいらしさです。


2008.09.21  よそゆきのブックカバー ・・・いづみ 


先日、Yoda Hidemiさんのブックカバーを購入しました。
古書と紅茶染めの布で作られていて、アンティークのような風合い。
まるで特別な日のワンピース。

いつかは、この”よそゆき”を着せた本を持ってでかけたいけれど
今はまだ、鏡の前でひとりファッションショーをする時みたいに
部屋で眺めているところです。


今年の夏は少し長い夏休みをもらって、避暑地(?)で過ごしました。
おとなしく本を読んで、遠い国に思いを馳せたり。
うとうと眠ってばかりいました。


眠りといえば。
庄野英二さんの「ロッテルダムの灯」というエッセイ集の中にある
「私が見たもっとも貧弱なバラ」の話。
ジャワ、ジャカルタ市の夜市でのこと。
一人の老婆が、小さな店で籠に花を山と積んで売っていたそうです。


  花屑。花と呼ぶよりは花屑と呼ぶのがまったく適切な花々であった。
  「バラ」や「くちなし」「茉莉花」「夜来香」「あらせいとう」などの花だけ
  積みあげられ、熱帯の夜気にむれてあたりに匂いをまき散らしているのである。


こんな光景なら私も見たことがあります。
南国の花が熱い空気に蒸されて放つ、甘くむせるような香り。
長くそこにいると酔ってしまいそう。
私が見た花々は、おそらくお供え用で、フルーツケーキのように
形の作られたものや、葉っぱに小さく盛られたものでした。

ジャワの老婆が売っていたのは、どれも小粒な花。
その貧弱な花々の使いみちとは・・・


  その花屑は白い蚊帳の中のベッドの白いシーツの上にふりまくために
  使われるのであった。花のしとねに寝て、蚊帳の中の花の匂いに
  むれながら夢路をたどるのだ。
  ソロモン王のベッドならずとも、貧しきタナバン部落の新婦のベッドにも
  ニッパぶきの商女のベッドにも、その花屑はまき散らされるのであった。


花屑と思えたものが、なんて豪華な花々なのでしょう。
貧弱なバラ。だけどロマンティックなバラですね。