妄想巡礼日記・九州縦断編
この妄想日記の主人公は「日高御崎(ひだか・みさき)」。当駅の乗客である茨依居さんがモデルです。
主にお嬢様特急のキャラが登場します。あとこの話には一部、実話を含んで構成されてます。
前までキャラの合成画像を掲示してましたが使用画像の制限により使用できなくなってしまいましたので雰囲気だけ
でもと、それに関連づいた通常の画像だけの表示になってます。楽しみにしてた方々申し訳ありませんm(_ _)m
私は駅のホームに居た。あてもなく旅立とうと、とにかく南へ行こうと考えていたのだ。
いつも持ち歩いてるスケッチブックを持って武者修業なんてかっこ良くはないかもしれないけど・・。
とにかく旅がしたかった。新しい環境に自分を置いてみたかった。そして九州を目指す夜行特急に乗ったのだった。

長い長い夜行列車で過ごす時間。なにげに外を見て流れ行く景色をただただ眺めている。
私が居るのは解放B寝台と呼ばれる寝台車輌。そして上段。廻りの人等はすでにお休みのようだった。
「さて、俺もそろそろ寝ておこうかな。」とりあえず横になって寝る事にした。

夜行列車ってのは所々の駅で停車する。そのせいかふと目が覚めてしまった。「ここ、どのへんだろう?」
カーテンを開けて外を見てみた。すると通路のイスにスケッチブックを持った女の子が一人座っていた。
髪は長く、腰までは充分にあった。「かわいい娘だなぁ」としばらく見惚れていたら、
突然、急ぎ足で去ってしまった。・・・気付かれた?・・・そうでもないよなぁ?・・・

南宮崎に到着する。乗り換えて鹿児島に向かう事に。
昨日の女の子が気になってあたりを見回したが、
それらしい娘は居なかった。
「さて・・・席でも取ってくるか」
自由席車輌に行き、席を陣取る。そして列車は鹿児島に
向かって出発したのだ。
海側の席に一人座って、沿線の風景を眺めていた。でも
なにも列車の中でする事がなくスケッチブックを出す事に。
しばらく外を眺めながら筆を走らせていた。

女の子「すみません。隣、空いてますか?」
御崎「え?あっ良いですよ。どうぞ。」
女の子「ごめんなさい。では失礼しますね。」

隣に座った女の子を見てドキッとした。それは寝台特急で会ったあのスケッチブックを持った長髪の娘だった。
まさかこんな場所でバッタリ出会うなんて・・・。ひょっとして運命??・・・な訳ないか・・・。
結局、隣の娘と話す事なく西鹿児島に着いてしまった。
彼女も鹿児島で降りたみたいで、もしかするとまた
会えるかもってちょっと考えても見た。しかし、
「・・・なに考えてるんだオレは・・・」
ぶんぶんと頭を振って私も駅を出て観光に向かう事にした。

カゴシマシティビューバスに乗って城山展望台へ向かう。
展望台に到着する。あたりを見回しても
御崎「こういう観光地ってやっぱ旅行客ばかりだなぁ・・」
女の子「あら?あなたも来てたんですか?」

え?っと思って振り向いたら、なんとまたあの娘がいたのだ。

真美「あなたもここに絵を描きにきたんですか?」
御崎「え?ど・・どうして?」
真美「さっき列車に乗ってた時にあなたも風景を
書いてらしたので、そうなのかな?って思って。」
御崎「あ、そうでしたよね。いや〜良い景色ですよね。ここって。」
真美「そうですね。桜島と市内が一望できますね。」
「そういやぁ自己紹介してないですよね。
オレ日高御崎って言います。よろしく。」
「私は桜井真美です。こちらこそよろしくお願いします。」

そのあと二人並んで風景を描く事に。
同じ絵を描くって事で意気投合した私達は偶然にも同じような
九州旅行をしてることも判った。「明日も一緒に廻りましょう」
なんて言われたせいか私はホテルへの帰り道かなり
浮き足だっていたような気がした。

次の日。西鹿児島駅前で真美ちゃんを待つ。ちなみに朝6時前である・・・。
ふと時計に目をやる。待ち合わせまであと5分といったところだった。「・・来ないなあ・・」
朝も早いせいか、あたりを見回しても自分一人しかいない。「・・駅の中に行ってみるか・・」
駅の方へ歩くと、なにやら賑やかな笑い声が聞こえてきた。それは紛れも無く真美ちゃんの声であった。
お喋りに夢中の3人の中に割って入ろうと「やぁ。おはよう。」って声を掛けたところ、眼鏡をかけた娘が突然。

女の子1「なぁ〜に。ひょっとして私達をナンパでもしたいの?おあいにくさま。間に合ってますよぉ〜だ」
女の子2「オトトイキヤガレ。ヘイぶらざーデスネェ。」
真美「ち、違うんですよ。小麦さん。エレナさん。あ、おはようございます。御崎さん。」
ぺこりと私にあいさつする。
小麦「あれー?真美ちゃん知ってる人なの?」
真美「はい。昨日いっしょに鹿児島市内を廻ってたんですよ。」
小麦「なーんだ。それならそうと早く言ってくれればいいのに。私、伊東小麦。よろしくね。」
一方的に俺をナンパ男扱いしたのはお前だろうっと心の中で叫びつつ、
エレナ「ワタシは”エレナ=ユーリ=ノーディス”トもうしマス。」
「オレは日高御崎。こちらこそ宜しく。」

熊本に向かう特急列車の中で4人でいろんな話を交わした。この3人が知り合えた超豪華特急の話や
そこで出会った人達との話。でも殆どしゃべっていたのは小麦だけだったけど・・・。
・・・しかも特急車内のビュッフェで朝食をみんなで済ましたんだが会計を払ったのは何故か俺だった・・・・。
真美ちゃんは「前にヴェガで会った人も同じ事を言ってましたよ。」って教えてくれた。
この先の旅行がなにか不安になってきたぞ・・。

熊本に到着。しかし、その日は雨が降っていた・・・。駅に着くなりエレナが、
エレナ「オ城ヲ見ニ行キマショウ。忍者ニ会イタイデスネェ」小麦「そだね。御崎君。早く行こ♪」

小麦が私と真美ちゃんと手を引き、市電乗り場まで行く。やっぱりこっちの意見は聞いてくれないようだ・・・。

交通センター前電停で降りて徒歩で10分。熊本城に到着。

小麦「わぁー。エレナぁ〜。お城だよ、お城。」
エレナ「オー、サスガ日本ノ文化デース。」
小麦「いいなぁ〜。私もこんな家に住んでみたかったなぁ〜。」
真美「もしそうなら小麦さんはお姫様だったかもしれないですね。」
エレナ「ナラ、御崎サンは、小麦ノ帯ヲ廻スヒトデスネェ。」
御崎「おいおいおい!俺は悪代官かなにかか!?」
小麦「キャハハハ。それピッタリだよ。御崎君」

俺を指差し大笑いする小麦。俺ってそんな悪人顔なのか・・??

真美ちゃんがしばらく絵を描きたいというので廻りを歩く事に。
真美「わぁ、すごくいい眺めですね。」

真美ちゃんがそういって立ち止まり、見惚れていた。
山の上にそびえたつ熊本城をバックに白い路面電車が走る。
まさに絵葉書にでも使えそうなそんな場所だった。

真美「すみません御崎さん、カメラ貸してください。」
御崎「え?・・・あ、はい。」

カメラを渡し、真美ちゃんが写真を撮り始める。
あとで絵に描くのであろう。確かにここで絵を描き始められても
なぁ・・。通町筋電停のど真ん中だし(汗)

そして市内のあちこちを真美ちゃんは写真を撮り続けた。
雨が降っていなければ外にいて好きな場所で絵も描けただろうに。昨日、晴れてただけに余計に憎たらしかった。

次の日。小麦とエレナの二人を見送る為、博多駅に移動。
小麦「じゃぁね、真美ちゃん。またどっかで会おうね♪」
真美「はい。お二人とも道中気を付けてくださいね。
それじゃ私は長崎の方に行ってみますね。」
エレナ「オ二人サン。シーユー♪」

手を振りながら二人は駅の中に消えていった。
そしてしばらくの沈黙のあと、

真美「じゃ、行きますか?」

一瞬、えっ?と思ったが私も特に帰るつもりもなかったので

御崎「じゃぁ、今度は長崎に向かって出発♪」
ってな事で真美ちゃんと二人で長崎に行く事にした。

長崎は坂の多い街としても原爆が落とされた都市としても有名とあと七尾つばさちゃんの誕生日も長崎原爆記念日と
同じ日と、真美ちゃんは教えてくれた。 確かに俺も始めて長崎の街にいくんだよなぁ・・。楽しみだな。
・・・・・って七尾つばさって誰や??・・・・その後、長崎につくまで真美ちゃんと色々な話をした。
まるで昔から知ってる仲みたいに・・・。ずっと続けていきたいなぁ・・この関係を・・。でも別れる間際に小麦が私にこう言った。
小麦「真美ちゃんは誰かが側にいなくちゃすぐダメになっちゃう娘だからね。絶対一人にしちゃダメだよ。」
これが何を意味するのか判らずまま・・。

長崎に到着。日も傾き始めてきたので日本三代夜景と言われる長崎の稲佐山の夜景を見に行く事に。

真美「わぁ・・・・。・・・・きれい・・・・。」
真美ちゃんが息を飲むのも無理もない。ホントに絶景が広がっているのだ。
私の隣には景色に見惚れる真美ちゃんが居る・・・。「・・・やっぱ、かわいいなぁ・・・」どうやら私は真美ちゃんに
ホントに惚れてしまったのだろうか・・・。 そだ!私は意を決して隣に居る真美ちゃんにこう言ってみた。

「ま、真美ちゃん!またいつの日か二人でこうやって色々な観光地を廻ろうよ。俺だって絵を描くの好きだし」
景色に見惚れながら真美ちゃんは笑顔で答えた。
真美「・・・はい・・・。その時はよろしくお願いします。・・・・依居さん。」

言った瞬間、真美ちゃんが我に返ったのごとく「しまった」って顔で私を見ていた。完全に私の事を忘れ見惚れてたらしい。
私も自分であるはずの名前が”依居さん”と聞いた瞬間、頭の中が真っ白になりかけた。

真美「ご、ごめんなさい!つい、景色を見惚れて我を忘れていて・・ほ、ほん・・とに・・・ご、ごめんな・・さい・・・。」
まさに泣き崩れるかのごとく目に涙を溜めながら私にずっと謝り続けていた。

とにかく場所を換えて真美ちゃんから話を聞く事に。
”依居さん”とは茨依居さんと言って小麦達と同じく日本縦断特急ヴェガで出会った旅の仲間だった事。
今回、九州にやってきたのは一人でも旅に出れるように、自分に強くなりたかったのだと。
あまりにも自分には理解できないようなフクザツな理由だったので私はもうこの事には振れないようにしようとした。
でも、どうしてもひとつだけ聞きたかった。
御崎「真美ちゃん・・・。なんで俺に声を掛けたの?ホントは誰でもよかったんじゃ・・・?」
真美「ごめんなさい。・・・実は私、南宮崎駅であなたを見かけた時、依居さんだと思ったんです。
そして列車の中であなたに会ってから今まであなたと依居さんが重なって見えてしまって・・・。」

はっきり言うと俺は振られたのだった。ここで小麦が言ってたことがやっと判った。
真美ちゃんは極度の寂しがり屋なのだと。でもこんな真美ちゃんでも私は応援していきたいと思ってしまった。
相手が誰であっても真美ちゃんには必ず幸せになって欲しいと。そう願いたかった。
そして真美ちゃんと別れる間際「よ、よかったら、また明日も一緒に廻りませんか?」といわれ
少なくともこの旅行中は真美ちゃんのそばに居てずっと見守っていこうと思い、「うん、明日もまたね」と言って
明日も真美ちゃんと一緒に長崎市内を廻るのであった。

<妄想巡礼日記・九州縦断編おわり>