大津皇子関連の本
・『天翔る白日〜小説大津皇子〜』 黒岩重吾
大津皇子は通説では高市皇子、草壁皇子についで第三皇子とされていますが、『天翔る…』では草壁皇子より大津皇子のほうが先に生まれたとしています。『懐風藻』の記述では、大津皇子を「天武の長子」としていること、草壁皇子・大津皇子がともに娜大津で生まれているのに「大津」の名が草壁皇子につけられなかったことをその理由にしています。もし、大津皇子の母で鵜野讃良皇女(持統天皇)の同母姉である大田皇女が生存していたら、皇后になったのは讃良皇女ではなく大田皇女で、皇太子になるのも大津皇子であったはずとつい思ってしまうのは、作者も同じようです。
初めて読んだ大津皇子関連の小説が『天翔る…』だったので、わたしの中の大伯皇女像、大津皇子像はこの作品にだいぶ影響されているかもしれません。
・『大津皇子』 生方たつゑ
大津皇子をすぐれた歌人としてとらえるところから、生方さんの大津皇子像を作り上げています。鵜野讃良皇女を勝ち気で聡明、そして自分の産んだ皇子によって自らの位置を確立しようとする権力欲の強い女性として描いています。
わずかな出番しかないのですが、大津皇子妃である山辺皇女が魅力的です。
・『死者の書』 折口信夫
歌人・釋超空であり、民俗学者、さらに古典文学の研究者でもある折口信夫さんの作品。大津皇子をモチーフにしています。天若日子や隼別、大伴家持、藤原仲麻呂などが登場するので、難解です。
・『裸足の皇女』 永井路子
大津皇子妃、山辺皇女の物語です。
・『天紙風筆』 赤瀬川隼
歴史短編集です。「天紙風筆」は吉野の盟約の場面から始まります。朝政に参与させられることになった大津皇子は、この国のことをもっと知りたいと思い、額田王を訪ねます。額田王は大津皇子に有間皇子の事件について語り、自分の身を心配するよう忠告します。「夭折鬼」は大津皇子妃、山辺皇女の物語。怨霊となった山辺皇女が老女となった額田王の前に現れます。皇女の目的は、鵜野皇后に復讐をすること。皇后を長生きさせ、我が子や孫の夭折を味わわせるのが目的だったのです。
・『天上の虹』(1〜17巻) 里中満智子 講談社(mimiでしたが、今は書き下ろし)
このサイトに来る人にこのマンガを知らないとは言わせません(笑)
・『眉月の誓』(全4巻) 長岡良子 秋田書店(ボニータコミックス)
「古代幻想ロマンシリーズ」の中の1つです。主役は大津ではありません。藤原不比等です。
でも、この大津はなかなかです。