1. ボランティア活動についての意識

    1ボランティア活動のイメージ(人数)

  まったくそう
思う
まあそう思う あまりそう思
わない
まったくそう
思わない
( 1) 時間的に余裕がある人がやる  26 186 108  31
( 2) 思いやりのある 108 198  41   4
( 3) 魅力的な  23 146 162  20
( 4) 信頼できる  23 181 125  22
( 5) みせかけの   7  60 219  65
( 6) 人気のある   3  26 253  69
( 7) 遊びよりおもしろい   2  38 222  89
( 8) 責任感のある  90 189  64   8
( 9) おせっかいな   4  39 231  77
(10) やりがいのある  63 208  74   6
(11) 冒険的な   8 101 188  54
(12) 勉強になる  91 219  34   7
(13) かっこいい   6  55 230  60
(14) 恥ずかしい   5  53 203  90
(15) 明るい  13 124 186  28
(16) まじめな  70 216  53  12
(17) なくてはならない 105 156  80  10
(18) 金では得られない 124 179  44   4
(19) 困った人を助ける 123 184  39   5
(20) 無報酬の 118 156  67  10
(21) 強制的な   2  21 193 135
(22) 社会のために役立つ 104 210  35   2
(23) 自らすすんでする 138 167  41   5
(24) 社会を変革する  18 109 177  47

2ボランティア活動についての肯定・否定イメージの割合(%)

また、肯定・否定する者が多いイメージ別に、多かった項目は下表のとおりである。

なお、「まったくそう思う」と「まあそう思う」の計を肯定するイメージとし、「あまりそう思わない」と「まったくそう思わない」の計を否定するイメージとした。(以下同じ)

肯定する者が多いイメージ  (%) 否定する者が多いイメージ  (%)
1 社会のために役立つ 89.5 1 強制的な 93.4
2 勉強になる 88.3 2 人気のある 91.7
3 困った人を助ける 87.5 3 遊びよりおもしろい 88.6
4 思いやりのある 87.2 4 おせっかいな 87.7
5 自らすすんでする 86.9 5 恥ずかしい 83.5

肯定する者が多いイメージには、ボランティアの貢献性や公共的イメージが表れている。否定する者が多いイメージのうち、「強制的な」や「おせっかいな」が多いことから、ボランティアの自主性や貢献性が表れている。また、「遊びよりおもしろい」に否定的で、「勉強になる」に肯定的であることから、「遊び」より「勉強」に近いイメージとして捉えられている様子がうかがえる。

3男女別ボランティア活動についての肯定・否定イメージの割合(%)

4積極的加入者とそれ以外(非加入者含む)の肯定・否定イメージの割合(%)

なお、加入動機のうち「義理だから、頼まれたから、やむをえず」と「ただ何となく」以外を「積極的加入者」(117人)とし、非加入者との計を「それ以外」(234人)とした。また、項目ごとに10ポイント以上の差があるものを太線枠で表示している。

  男  性 女  性 積極的
加入者
それ以外(非
加入者含む)
( 1) 時間的に余裕がある人がやる 61.3 59.2 57.8 62.4
( 2) 思いやりのある 85.6 89.2 86.2 87.2
( 3) 魅力的な 46.4 50.3 49.5 47.4
( 4) 信頼できる 55.2 61.8 64.2 55.6
( 5) みせかけの 24.2 12.7 11.9 23.1
( 6) 人気のある 10.3  5.7  8.3  8.5
( 7) 遊びよりおもしろい 13.9  8.3 11.0 12.0
( 8) 責任感のある 74.7 85.4 81.7 77.8
( 9) おせっかいな 13.9 10.2 13.8 12.0
(10) やりがいのある 69.6 86.6 82.6 74.4
(11) 冒険的な 28.4 34.4 36.7 27.8
(12) 勉強になる 82.5 95.5 89.9 87.2
(13) かっこいい 17.0 17.8 21.1 15.4
(14) 恥ずかしい 22.7  8.9 15.6 16.7
(15) 明るい 34.5 44.6 47.7 34.6
(16) まじめな 77.8 86.0 85.3 79.9
(17) なくてはならない 69.6 80.3 76.1 73.5
(18) 金では得られない 80.4 93.6 91.7 83.3
(19) 困った人を助ける 84.5 91.1 89.9 86.3
(20) 無報酬の 72.7 84.7 80.7 76.9
(21) 強制的な  7.7  5.1  3.7  8.1
(22) 社会のために役立つ 84.5 95.5 93.6 87.2
(23) 自らすすんでする 79.9 95.5 94.5 82.9
(24) 社会を変革する 29.4 44.6 46.8 31.6

女性に、「やりがいのある」、「自らすすんでする」、「社会を変革する」といった自主性、貢献性や公共的イメージを肯定する人が多いようである。男性は、「みせかけの」、「恥ずかしい」といった偽善視的、消極的イメージを肯定する人が多いようである。

積極的加入者に「明るい」、「自らすすんでする」、「社会を変革する」といった娯楽性、自主性、貢献的イメージを肯定する人が多いようである。それ以外(非加入者含む)の者は、「みせかけの」、「強制的な」といった偽善視的イメージを肯定する人が多いようである。

5ボランティアイメージの因子分析

ボランティアについてのイメージをより深く分析するため、因子分析を行った。因子分析では、ボランティアに対するイメージがどのような因子によって構成されているかを知ることができる。

因 子 名 項       目 因子負荷量 寄 与 率
第1因子

社会貢献
 スケール
1 社会のために役立つ
2 困った人を助ける
3 まじめな
4 なくてはならない
5 責任感のある
6 思いやりのある
7 金では得られない
8 やりがいのある
9 自らすすんでする
10 無報酬の
11 社会を変革する
12 信頼できる
13 勉強になる
0.703
0.679
0.584
0.578
0.574
0.554
0.537
0.476
0.462
0.460
0.421
0.405
0.405
16.3%
第2因子

娯楽、趣味
 スケール
1 人気のある
2 魅力的な
3 遊びよりおもしろい
4 冒険的な
5 かっこいい
6 明るい
0.604
0.575
0.559
0.487
0.462
0.380
 9.5%
第3因子

偽善視的
 スケール
1 みせかけの
2 おせっかいな
3 強制的な
4 恥ずかしい
5 時間的に余裕がある人がやる
0.596
0.491
0.491
0.412
0.401
 7.8%

因子分析の手法としては、抽出される因子が3つ以上であると予想されること及び解釈しやすい因子を抽出することの2つの理由から、バリマックス法を適用し、コンピュータを使って計算を実施した。

前表は、ボランティアイメージについての回答を変数として、3つの因子で説明しようとした場合の各変数の因子負荷量(説明する強さを表す)と因子の寄与率(サンプル全体のうちでの解析)を示している。3つの因子の寄与率の合計は、33.6%であり、これだけで全てのボランティアイメージを説明することはできないが、ボランティアに対する意識にある程度迫っているといえるだろう。

第1因子で負荷量の多い「社会のために役立つ」「困った人を助ける」「まじめな」「なくてはならない」は、社会への貢献性を示している。また、「自らすすんでする」「無報酬の」といった自主性や無償性を含んでいる。したがって、この第1因子は「社会貢献スケール」とでもいうべき性質であろう。

第2因子は、第1因子とはっきり異なる様相となった。負荷量の多いのは「人気のある」「魅力的な」「遊びよりおもしろい」「冒険的な」であり、社会貢献ではなく、自分自身の楽しみや遊び心を強く示している。したがって、この第2因子は「娯楽、趣味スケール」とでもいうべき性質であろう。また、ここで特に興味深いのは、前述の2ボランティア活動についての否定イメージの割合が高かった「人気のある」と「遊びよりおもしろい」が、若者の心理の中には浸透しているということである。

第3因子で負荷量の多い「みせかけの」「おせっかいな」「強制的な」を一括りで命名することは難しいが、ボランティア活動をやや否定的にイメージしているといえそうなので、ここでは「偽善視的スケール」と命名することにする。

これらの結果から、ボランティア活動に対して、以前から存在しているといわれてきた「社会貢献的イメージをもっている人」や「偽善視的イメージをもっている人」以外に、「娯楽や趣味の一つにすぎないというようなイメージをもっている人」が増えてきたといえそうである。また、これらは、1〜4で得られた表面的でストレートな回答とは異なる、現実のボランティアに対するホンネの部分が明らかになったのではないかともいえそうである。

考察

他の調査結果でもよくみられることだが、(6)ボランティア活動についての意識では、表面的な回答と因子分析による結果にズレが生じた。その原因が、ボランティアそのものにあるのか、回答者の層のズレによるものかはわからないが、重要な問題であり今後も分析・研究が必要であろう。