近年、地域や職場の団体に参加する若者は減っているといわれている。しかし、阪神・淡路大震災ボランティアに参加したのは20代と30代の若者が多く、全体の57%を占めた。(ながた支援ネットワーク調べ)このことを理解するには、団体活動に参加することについての若者の意識調査が必要である。また、しずおか未来づくりネットワーク参加4団体のヒアリング調査(第3章)でも、「若者の参加を期待するものの、どうすれば若者が入会するかわからない」といった答えが目立った。
そこで、目的型コミュニティに参加する立場である若者側の意識と実態を把握することを目的として、20代から30代の人を対象にアンケート調査を実施することにした。さらに、同時に本研究の結論の柱の1つとする若者エネルギーの活用方法についての提案を募集することにした。
なお、我々の考える「目的型コミュニティ」の定義が一般にはわかりにくいことから、意識調査部分については、「ボランティア活動」に置き換えて調査している。
質問項目は、以下のとおりである。
また、フェイス(属性)質問項目は以下のとおりである。
回収効率を上げるため、共同研究グループ「Modern-chick」のメンバーの知人等を通じて、直接、間接的に対象者に調査票を配布した。また、分析に最低限必要な 300件以上の調査票回収を目標としたため、配布数は 500件とした。概要は以下のとおりである。
配布数 500件に対して、有効回答数 351件、有効回答率70.2%であった。また、回答者の像は以下のとおりである。
項 目 | 内 容 |
性 別 | 男性 194人(55.3%),女性 157人(44.7%) |
年 齢 | 平均 28.1歳(クラスの中央値×度数から算定) |
結婚・子供の有無 | 独身 247人(70.4%),子無72人(20.5%),子有32人(9.1%) |
職 業 | 官公庁 166人(47.3%),民間 137人(39.0%),他48人(13.7%) |
性 別 | 男 性 | 女 性 | 合 計 |
χ2 値 12.08463 自由度 1 P 値 0.000508 (有意水準)
入っている | 104 | 55 | 159 |
入っていない | 90 | 102 | 192 |
合 計 | 194 | 157 | 351 |
男性の方が、仕事以外の団体に加入しているといえそうである。
年齢区分 | 20〜24 | 25〜29 | 30〜34 | 35〜39 | 合 計 |
χ2 値 2.067871自由度 3 P 値 0.55854 (有意水準)
入っている | 37 | 63 | 34 | 25 | 159 |
入っていない | 55 | 77 | 32 | 28 | 192 |
合 計 | 92 | 140 | 66 | 53 | 351 |
20歳から39歳までの年齢区分では、団体加入に有意差はなかった。
結婚・子供の有無 | 独 身 | 既婚子無 | 既婚子有 | 合 計 |
χ2 値 6.542538 自由度 2 P 値 0.037958 (有意水準)
入っている | 101 | 40 | 18 | 159 |
入っていない | 146 | 32 | 14 | 192 |
合 計 | 247 | 72 | 32 | 351 |
結婚していることや子供がいることは、必ずしも団体加入の妨げとはならないようである。
職 業 | 官公庁 | 民間企業他 | 合 計 |
χ2 値 46.65421自由度 1 P 値 8.47E-12 (有意水準)
入っている | 107 | 52 | 159 |
入っていない | 59 | 133 | 192 |
合 計 | 166 | 185 | 351 |
官公庁の方が、民間企業等よりも団体に加入しているといえそうである。
1 団体活動をする時間がないから | 78人 | 40.6% |
2 団体活動をするのがわずらわしいから | 75 | 39.1 |
3 適当な団体を知らないから | 90 | 46.8 |
4 勧誘してくれる者がいないから | 16 | 8.3 |
5 関心がないから | 68 | 35.4 |
6 金がかかるから | 8 | 4.2 |
7 その他 | 1 | 0.5 |
非加入の理由は、「適当な団体を知らない」「時間がない」「わずらわしい」 「関心がない」がそれぞれ4割前後を占めている。特に「適当な団体を知らない」については、これだけの情報過剰な中で適当な情報を見つける困難さを示していると考えられる。また「時間がない」については、仕事と余暇の両面において、活動の場と機会が多様化して多忙になっている現代においては、当然の結果だろう。
1 スポーツ | 104人 | 65.4% |
2 趣味・教養 | 55 | 34.6 |
3 親睦・情報交換 | 25 | 15.7 |
4 ボランティア | 26 | 16.4 |
5 社会活動(自治会、住民運動など) | 32 | 20.1 |
6 その他 | 8 | 5.0 |
活動内容では、「スポーツ」が圧倒的に多く、その半分が「趣味・教養」、以下「社会活動」、「ボランティア」、「親睦・情報交換」と続く。
1 職場の団体 | 75人 | 47.2% |
2 学校の団体 | 8 | 5.0 |
3 地域の団体(職場や学校の団体以外) | 96 | 60.4 |
4 全国的な団体(職場や学校の団体以外) | 19 | 11.9 |
5 その他 | 11 | 6.9 |
団体の種類では、「地域の団体」が最も多く、「職場の団体」が続いている。 「その他」のうち、8人がパソコン通信であり、地理的制約を超えた新しいコミュニティの種類といえるだろう。
1 特技を身につけ生かしたいため | 34人 | 21.4% |
2 余暇を有効に過ごすため | 88 | 55.3 |
3 よい仲間を得るため | 80 | 50.3 |
4 自分の人格向上や成長に有益であるから | 52 | 32.7 |
5 義理だから、頼まれたから、やむをえず | 42 | 26.4 |
6 ただ何となく | 12 | 7.5 |
7 その他 | 20 | 12.6 |
団体への加入動機では、「余暇を有効に過ごすため」と「よい仲間を得るため」が、それぞれ50%を超えている。また「義理だから、頼まれたから、やむをえず」や「何となく」といった消極的な動機が、合わせて30%を超えている。