東京都国分寺市 「国分寺市プレイステーション」
NPO法人国分寺冒険遊び場の会 |
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近頃、注目されている冒険遊び場(プレーパーク)の1つで、特に市民と行政の協働が進んでいるといわれている。「冒険遊び場」とは、子どもたちの好奇心や欲求を大切にして、やりたいことができる限り実現される場にしようと、通常公園にあるような禁止事項を設けず、「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーとした遊び場である。 |
国分寺市プレイステーションは、昭和57年に財団法人プレイスクール協会によって開設されて以来、財団職員であるプレイリーダー(青木稔氏 愛称バンちゃん)が常駐していた。平成10年秋には市民団体「国分寺市プレイステーションの会」が設立され、活動は順調であったが、直後に運営上の都合から財団の撤退が決定した。しかし、存続を希望する市民、行政、財団職員による話し合いが行われ、市が国分寺市プレイステーションを市立社会教育施設と位置付け、運営のための予算を確保するとともに、運営を市民に委ねる方法が検討された。なお、青木氏は、財団を退職してまでも、国分寺市プレイステーションに残ることになったことが、市民をさらに発奮させ、市の担当者も奔走して準備、調整したそうである。そうしてNPO法人「国分寺冒険遊び場の会」が誕生し、市が「国分寺市プレイステーション条例」を平成12年に定め、バックアップ体制をとっている。 |
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会の活動について、国分寺市プレイステーションの開園は、火曜日から日曜日(第二、第四)の10時から17時であり、他に、プレイリーダーが遊び道具や工作材料等を持参して市内の公園に遊びを配達する「遊びの出前プレイキッズ」を実施したり、遊び場レポートを作成するなど、「まち全体を遊び場に」を目指して活動している。 |
国分寺市プレイステーションについて、ここは、国分寺史跡の近くの閑静な住宅を抜けた所の民有地で、広場、小屋、デッキやロープブランコなどの手作り遊具、柿や栗の木、畑まである。広さは約2000uであるが、デッキのある部分が盛り上がっていて向こう側が見えないようになっているため、もっと広く感じた。小屋はシートや板など手作りの増改築がされているため雑然としていて、一見、殺風景に感じた。しかし、しばらくいると、その手作り感が、秘密基地のようでもあり、一方で、生活感を感じるくらいのなつかしさがあった。また、この土地は民有地であることから、都市公園法の規制がかからないので、焚き火や工作物の設置がやりやすいそうである。訪問した日は、柿が実っていたため、上手に木に登ったり、下から棒でたたき落とそうとしたりしている子ども達や、廃材を釘で打って何やら作っていたり、土をこねて丸めていたり、木に張られた丸太を渡ったり、焚き火をしたりするなど数人ずつがグループになって遊んでいたが、みんな目を輝かせて夢中になっていた。少し飽きて場所を移ると、他の子ども達がその場所に移るなど自然に遊びが流れていることがおもしろかった。大人が感じたなつかしい生活感は、子ども達にとって安心感と何かができそうという魅力とも言えるだろう。 |
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遊びの出前プレイキッズについて、これは、国分寺市内3か所の公園に週1回ずつ、遊び道具やおやつの材料をもって出かけて、日頃あまりできない遊びをする機会を提供する活動である。このことは、国分寺市プレイステーションに遠い子ども達へ遊び機会を提供するだけでなく、たまたま通りかかった親子連れや興味をもってくれた方にも、まち全体の遊び場づくりの仲間になってもらうというねらいがあるそうであり、より開かれたプレーパーク活動とも言えるだろう。 |
遊び場レポートについて、これは、30人余りの探検隊を結成し、市内の公園・緑地・広場・その他遊び場、計190ケ所を実際に自分たちで回って調査して作成したものである。さらに、遊具や植栽について、利用者の視点から点検したり、新設や改修を予定している公園について、周辺に住む市民からの要望も聞いた上で行政と協働して提案や意見交換をしながら合意形成を図っているそうである。 |
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この団体は、子供たちが地域でいきいきと遊び、豊かな心をもって成長することを願っているため、ただ単に行政から遊び場の管理運営を委託されていることにとどまるつもりはなく、上記の事業以外にも多くの大人が子供の遊びを認め、まち全体が子供の豊かな遊びを保証するような事業を行っていく予定でいる。すなわち、プレーパークの公共性と遊びを通じた身近な視点と、「まち全体を遊び場に」という大きな視点の両方から目標実現に向かうアプローチであり、このことが、国分寺市プレイステーションに関わる市民やスタッフにとって、大きな魅力になっていると考える。さらに、市民・プレイリーダー・行政が協力して運営するプレーパークは、子供たちの成長を願う人々を結ぶコミュニティでもある。この場を通じて地域の人々のつながりができ、公共の場に自主的に参加することで「まちは自分たちのもの」という意識が芽生え、人にやさしいまちづくりが実現すると考える。 |
また、子ども達がいきいき遊ぶことのできる環境の作り手として、20年近くプレイリーダーをしている青木氏(10月29日に関東地区の児童館職員有志の集まりにて話をうかがった)の存在は大きいだろう。他に、NPOの長所であるフットワークの軽さを活用したり、意欲や行動力が旺盛そうな構成員をまとめ、遊び場からまちづくりを目指しているNPO法人国分寺冒険遊び場の会代表の角麻里子氏(今回の調査時に話をうかがった)と、フリーライターで全国の遊び場に詳しく、11月10日に静岡での1日プレーパーク開催時に講演をした加賀谷真由美氏、さらに周辺児童館職員他多くの市民がこの国分寺市プレイステーションに楽しみながら関わっている。しかし、このことについて、これだけの人材がいたからできたことだとは思わない。遊び場、遊び場への考え方やそこに関わる人に魅力があって、その魅力が魅力を呼び、人が人を呼んで、人材が集まったとも言えそうである。 |
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詳しい情報は、公式ページ「NPO法人国分寺冒険遊び場の会」へどうぞ! |
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ふじのくにプレーパークねっとへのリンク(静岡県内のプレーパーク情報) |
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