わたしが初めて出会った冴木忍作品がこれです。この作品がなかったら冴木作品にめぐり合うことはなかったでしょう。
そしてその中でも……
仁巳さん!! らぶ〜〜〜!!!
彼がいなかったら妖怪寺にここまではまらなかったと思います。彼との出会いがわたしの人生を変えたんです。 富士見ファンタジアの2巻は長編です。この後、数年の空白を経て作品は発表の場をスニーカー文庫に変えています。
ファンタジアの長編は、寺のご本尊から現れた《鬼》のミイラを追うことになった蔵人達の話です。主要キャラはほとんどここで登場しますから、後後語られる彼らの苦しみをより理解したいならファンタジアの方から読む方が良いと思います。
登場人物のひとりひとりの内面に切りこみながらの大きな流れ。
人が人であるということ。ラスト辺りの鳳雲が《彼》に言ったセリフにはどきりとさせられました。
蔵人がラストに呟くセリフもいい感じです。全体に流れる夏の空気がとても心地よいのですよね。毎年夏になると、読み返したくなってしまう作品でもあります。
角川スニーカーの方では短編の形をとっています。ファンタジアの「星空のエピタフ」とはまた雰囲気ががらりと違っていますね。
わたしのおすすめは仁巳さん主役の「遠く潮騒を聞きながら」。1巻に同時収録されています。
玲ちゃんがかわいいんですよ(>_<)仁巳さんのいとこである玲ちゃん。個人的にはこの二人にうまくいってほしいなあ、なんて思うんですが(笑)
うちに秘めた苦しみや悲しみ、そして怒り、憎悪。これらを抱えすぎてはいけないんですよね。ときには吐き出したってかまわないはずだって思うんです。そういったことを感じさせてくれる話です。
「花の影 水の月」も好きです。西荻さんの語る恋愛論がいい。
でも衝撃的だというなら「約束の日」(2巻収録)です。麻理ちゃんに泣きました。蔵人にとって、一番後味の悪い話だったんではないのかな。
もちろんお気に入りは仁巳さんなのですが(笑) 普段は全然、微塵も見せないのに時折見せる彼の弱さが好きです。
ファンタジアの方で、多輝に吐いた弱音みたいなものとか。でも同時に多輝をほんの少しでも救ってあげられてるんですよね。
「遠く潮騒を聞きながら」での玲ちゃんとの会話も好きです。蔵人ほど人間として(?)出来た人でもないし強くもないんだけれど、でも人を支えながら自分も支えられてるみたいなところのある彼が好きです(う、うまく言えない……)。
蔵人も好きですね。だって物語中では仁巳さんよりもてるんですよ(笑) 少なくとも3人にはもてている、ってにらんでます。
存在で人をほっとさせることの出来る人。彼の深さは読んでいるこっちまであたたかい気持ちにさせてくれます。
西荻さんもいいです。彼のちょっと大人な口ぶりにはどきっとしますね。(性格に難あり、とはいえ……(笑))
とにかく、魅力的な人達ばかりです。
個人的には蔵人と仁巳の男だっ! って思わせてくれるコンビが好きなんですが(笑) スニーカーではあんまりなくって残念です。
あと西荻と仁巳のコンビも好きですね(笑) ちぐはぐなのに妙に気が合うっていうか。そこにたぬまた(たぬきです)が混じったらもう……(笑)
スニーカー文庫での3巻の発売をもって、妖怪寺は物語として完結しました。
哀しいけれど、でもラストはとても妖怪寺らしくて。それに救われました。彼らはきっと、ずっと生き続けるんだろうな……少なくとも、わたしの中では。
楽しくってちょっぴり痛いお話を、ぜひぜひ読んでください。
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