空みて歩こう シリーズ

角川スニーカー文庫 全3巻

 

おおまかなお話

 スリのマユリはある日、貴族の子息であるサイの金入れをすりとろうとする。ところがその金入れに入っていたのは蝙蝠であるピロちゃんだった。
 「日当を払う」という甘い言葉にのせられて成り行き上彼の同行者となることになったマユリだが、なんとサイは追っ手に命を狙われていたのである。しかも差し向けているのは彼の実の父だというものだから……
 サイに愛され(笑)てしまったマユリの身に、行く先々でアクシデントがふりかかる。前途多難な二人と一匹の旅の果てには?

りあるの超個人的感想文

 テーマはずばり「愛」。これしかないでしょう。

 とにかくサイの「押して押して押しまくる愛情表現」が良いです(笑)
 あそこまでべたべたされたら見てるこっちが気持ちいいくらいですね(されている本人から見れば迷惑以外の何ものでもないですけれど(笑))
 剣を手にした時とのギャップがまた良いのです。かわいくってかわいくって(^^)

 そんなサイなのですけれど、彼も単なるお気楽貴族ではありません。キレ者と評判の……なのです。裏の事情も表のことも知っている彼の姿にはどきっとするものがあります。
 愛情に飢えた環境で育ったゆえに、人を深く思いやりマユリを心から愛し抜く。サイの悲しげな一言一言はわたしの心を刺しました。

 あと忘れちゃいけないのはトライム。そう、彼を忘れたら「虚しい……」を連呼されてしまう(笑)
 このキャラクターが好きです♪ 世の中に疲れたような言動、意味もなく連発する「虚しい……」。
 変装が得意でなりきるタイプっていうのも良いです。彼の女装は必見!
 エスメラルダも好きです。性格とか。
 なんていうか、女の中の女(笑)って感じですね。彼女が男嫌いになってしまったくだりはなんだか辛かったです。ほんの少しの行き違い……ってところが。

 前半は旅の途中で起きたエピソードを短編っぽくまとめた感じになっています。後半は……怒涛の展開ですね。
 ネタばれは避けるので内容は語れないのですけれど。
 サイの家庭事情、うずまく愛。後半のキーポイントです。

 とにかく、いろんな形の愛が詰められたお話です。個人的にはラストのマユリ&サイ、トライム&エスメラルダが好き♪
 愛の形、探してみませんか?(笑)

 

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