冷たいものが、額から瞳にかけてを覆っているのが感じられた。 「……ん?」 わたしはそれを手でとった。冷たい水にひたしたタオル。でも、わたしを驚かせたのは目の前に広がる闇だった。……ここって、どこ? たしかわたしは、カジノにいたはず。そこで椅子につまづいて転んじゃって……あれ、そういえばトラップは? 「気がついたか?」 「トラップじゃない。驚かせないでよね」 「トラップ、ここどこ?」 「ここが、いいところだよ」 「だから、昨日言っただろうが。『いいところに連れてってやる』って」 「おれはひとっこともカジノがいいところだなんて言ってないぜ?」 「パステル、上向いてみ」 「え? こう?」 どきりとした。鼓動が早くなる。トラップに気づかれたくはないけれど、でもきっと、頬は赤くほてっているだろう。タオルの冷たさが心地よい。 「いいか。ちょっとそのまま待ってろ。………ほら」 「うわあ! きれい!!」 すーっと、空を駆ける幾つもの光。流れ星。 わたしたちの座っている、その側に生えたすっかり葉を落とした大きな木の枝越しに見える星々は、その木に咲く光の花のようにも見えた。冴え渡る夜空を喜ぶように、小さく瞬いている。 「すごい! どうしてこんなところ知ってたの?」 「なんだよ?」 「今日は、ありがと」 ちょっとわたしはうれしかった。そんな彼を見ていることが。
ルーミィとシロちゃんを起こさないように、わたしはそっとドアを開けた。 『A HAPPY NEW DAY! いい日でありますように T』 ……うそ。これ、トラップが…? そっと、それを胸に抱く。 静かに、時が新しい日の始まりを告げた。
たったひとつしかない今日が、始まる。そして、たったひとつしかないその瞬間に、あなたの心と共にいられたこと。 〜END〜 |
1999年2月8日。 当時の深沢先生公式ページの小説掲示板に投稿したこの作品が、わたしのフォーチュン創作の第一作目でございます。 それにしてもへぼへぼ……(爆) おまけにべたべたな設定に違いすぎるキャラ。ホントに、よくこれを投稿しようって気になったものです(核爆) HPにUPするにあたってざっと目を通したのですが。 それにしても、展開といい設定といい、読み進むにつれて「これホントにわたしが書いたの?」と言いたくなるわ(^^;; だいたい、何がやりたいのかぜんっぜん分からない内容だもんなあ(苦笑) この量の話にこんなにたくさんのエピソードを入れるのが間違ってるんですよねえ(核爆) それにしてもトラップのキャラがぜんっぜん違いますよね〜(爆) その後の2作(「大切な日だから」「On My Way To……」)を経て最近の創作を読むと、その違いが非常に分かりやすいと思います(笑) 多分、この創作を公式ページ投稿当時に読んだ方はほとんどいらっしゃらないのではないでしょうか? というわけで、2月8日、YURI’s アニバーサリー。 たったひとつのこの日に(笑)、なんとなく乾杯(笑爆) |