新・風の歌 星の道 シリーズ

角川スニーカー文庫 全5巻

 

おおまかなお話

 兄である王、シャリアールからユード国貴族の子弟アルガーの帰国の護衛を命じられたディスクリート。アルガーはバ・ンガと呼ばれる邪術師たちにねらわれているらしい。
 自称・ディスクリートの守護者である妖魔のタニアもくっついてきたが、それよりも大変な同行者ができてしまった。
 ディスクリートの最愛の姪……つまり、ソードとレティシアの娘であるセラフィン。
 彼女はレティシアにフィンレックに伝わる「義務」の旅の話を聞き、リルを連れて冒険の旅に出てしまったのだ。
 セラフィンに偶然出会い、一緒に旅をすることになってしまったディスクリート。しかしアルガーに向けられる刺客は容赦ない。セラフィンとアルガーを守りながら無事ユード国にたどりつけるのか!?

りあるの超個人的感想文

 とにかく、セラちゃんかわいい!!!
 本当にかわいいです。リルちゃんとセットで欲しいくらい(笑)
 ソードが子煩悩になっちゃうのも頷けます。かなり良い親をしてるソード&レティシアがなんだか微笑ましくっていいですね♪

 ディスクリート、冴木作品の主人公らしく不幸をきちんと背負ってます(笑)
 タニアもくっついてきているし。「情けない護衛役」呼ばわりされちゃうし。
 でも彼は最愛のセラちゃんのためなら何があっても頑張るのです、彼は(笑) ええもう、涙ぐましいくらいに。

 なんというのか、旅をしながら世間を知る、というような雰囲気もあります。
 そこにアルガーの秘密やユード国の事情が挟まってきて、縦にも横にも謎の糸が折り重なっています。
 でも、やっぱり一番大きいのは様々な価値観の人間との出会いかもしれません。
 2巻での、一行を狙うムテムイアとディスクリートとの会話にはどこか哀しさが漂っています。分かっていても、心の底まで分かり合うことの出来ない大きすぎる境遇の違い。世の中は、そういうものに溢れているものかもしれません。
 そんな中でセラは違います。彼女は何も知らないから、知らないからこそ純粋で曇りのない瞳ですべての人(人だけでなく動物にも)に接するのです。それは時には危険を呼ぶことにもなりうることですけれども、逆にピンチを脱する力にもなります。相手を救う力にもなります。セラは自分を貫く強さをもうすでに持っているのです。
 そういうところはホントにレティシアに似ていますね♪ さすが、二人の子どもです(^^)

 終盤に近づくにつれて、身につまされるエピソードが増えていくのはやはり冴木作品ならでは、という感じです。
 今回はやっぱり、子どもの強さというのが1番のテーマに思えますね。セラちゃんはもちろん、その友達も。

 ラストのシャリアールなんて、相変わらず妄想師の鏡みたいなこと言ってますしねえ(笑)
 レティシアの言葉から考えると、ひょっとしたらまた続編もあるかもしれません。楽しみにしています♪

 

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