自分の鼓動しか聞こえない。息をすることもわずらわしいくらいだった。 ただひたすらに足が動く。もつれそうになるのを必死でこらえながら、ただひたすらに大地をける。 左腕には熱い痛み。熱を持って体を駆ける。それすらも振り払うように足は動きつづける。 逃げなくては……。 何が体を動かしているのかも分からない中で、それだけははっきりと分かった。だが何から逃げればいいのだろう? どうして逃げなくてはならないのだろう? 「!」 「……夢……か」 ゆっくりと首を動かし、側に置かれた荷物に目をやった。そこからかすかに光がもれている。夜の深い闇の中でなければ分からないだろうというほどに、かすかで頼りない光。 「何を……『縛り付けた』……? どこに行ったんだろう、あの『光』は……」 唇に血がにじむ。ほのかな光はただただ、闇に溶け込むように静かにそこに在り続ける。 |
ほのかな(?)お気に入り回です。実はかなり重要な回なんですよね。 短いだけに、謎密度濃度は普段の倍以上。描写不足だと言わないで。。。(滅) サブタイトルは鈴木あみさんの曲からです。ずっと使いたくて仕方なかったものです(笑爆) |