富士見ファンタジア文庫刊行、星野 亮著「ザ・サード ただ、それだけのこと」
月刊誌に連載したものをとりまとめた短編集。書き下ろしが「中篇」として本の半分占めるってなんだかなー、と。
長編のほうはどうなっているのかわからないが、もしかすると連作短編とかで続けるといいネタかも。
今回最初の短編でほろ苦い終わり方をしてて少しこの作者見直してみたりもした。
作家になったかといって書きたいものがいつでも書けるわけじゃない、ということをポロリとこぼしてたが
まぁ、資本主義社会ではねぇ。
リサーチとかマーケッティングをプロがやって、その情報をもらえる、と思うしかないんだろうけど。
自分のようなマイノリティは結構これがくせもので。
富士見ファンタジア文庫刊行、榊 一郎著「ストレイト・ジャケット 8 イケニエのロンリ 〜THE SACRIFICE 2nd.HALF〜」
読んだタイミングの問題で同月に紹介するか、一応2ヶ月連続刊行で終わらせた続き物。
このシリーズにしては薄い、というのが最初に感じたが、中は相変わらず黒かった。
中で言っていたイケニエのロンリは、実のところ共感できる部分があって、
ホントはそれじゃいけないんだろうけど、アレだね。下向き精神状態の時に読んじゃいけないね。
新兵器も入手、シリーズとしても佳境を迎えており、目が離せないのだけれども、
いかんせん黒すぎてなぁ。
まぁ、因果応報はキッチリとしてるので黒さはあるとはいえ、一応それなりのけりがみえるのでまだマシかと。
ま、レーベルがレーベルだしね。
電撃文庫刊行、甲田 学人著「断章のグリム 1 灰かぶり」
全シリーズでライトノベルでのホラーというジャンルでしっかりとシリーズ完結させた作者の第二シリーズ。
ライトノベルでのホラーというのはあまり数がなく、その中でもこの作者は出来の良いほうだと思われる。
ただ、ホラーよりどちらかというとスプラッタにシフト気味なのはちょっと勘弁して欲しいところ。
前作が無力な人が主人公だったのに比較して、今作はいってしまえば狂気に仮面ライダー。
昔、力を使えば使うほど狂うとか記憶をなくす、とかいう設定のヒーローものがあった記憶がある。アニメだったかな?
そんなのり。
ヒロインはあからさまにツンデレだが、主人公たちが使う力の源が狂気なので、どうなるだろ。
パターン化しやすいが、童話からネタが持ってこれるのがいいっていえばいいけど。
調査も大変だろうけどな。
FF12にどっぷりで、書き込みも駆け込みで。しかも遡及
ハヤカワ文庫刊行、マイクル・クライトン著「プレイ −獲物−」
久しぶりのハヤカワ。この作者は前作のタイムラインが結構気に入って、作者買いしたもの。
SF風味のホラーというか、動物パニックというか。
レイトショウレベルのB級かC級の映画でよくある、アリの群れとかハチの群れが人間を襲う!という奴。
あれを地域をごく限定してSF風味にナノテクノロジーとかバイオテクノロジーとかギミックを使ったもの。
何気に終わり部分が端折られた感じがして、尻切れトンボ風。
上下巻で刊行されたけど、日本語訳で3分冊くらいのボリュームにできた気がするけどな。
いや、悪事の証拠がHDDの中に全部あって解説されて終わるってどうよ?
電撃文庫刊行、久住 四季著「トリックスターズD」
比較的早いペースで刊行されている新人作品。
わりとわかりやすいトリックでミステリーというより、看板文句らしく魔術師の騙るファンタジー
になるのだろう。
で、そのことを今作では自ら登場人物に言わせたりしている。こういうのもリサイクル作品というのかなぁ?
初めて主人公らしいイラストが(逆光で顔なんかは隠してたけど)登場。
・・・これすらトリックの可能性もあるが、ま、多分、これだろう。
残るものはないけど、結構気に入ったり。
角川スニーカー文庫刊行、茅田 砂胡著「レディ・ガンナーと二人の皇子(下)」
1年に1冊のペースで上中下が出るってのはどうよ、というか・・う〜む。
最終巻ということでようやく二人目の皇子登場。確かに出しずらい状況というか、キャラだな。
主役級のキャラが既にスペック判明している以上脇役などにその目を向けないといけないわけで
そういった点では、今作では異常としか思えない制度を際立たせた点がうまかったというか。
最初の頃に感じた疑問も最後の最後で結局人の業か、と答えを見せてくれたし。
ハヤカワ文庫刊行、神林 長平著「小指の先の天使」
久しぶりの神林。以前単行本になったものの文庫版。
連作短編になっており、災厄に見舞われた地球とその未来の歴史が裏に流れているのが
読んでいるとわかってくる。
テーマとしては(はっきりとは書かれていないが)「人が生きること」、と読み取った。
(無論、自分がそう読み取っただけで、違うかもしれないが。)
そのテーマを軸にして作品は数百年の作品内時間の経過を見せながら連なっている。
ところが、この連作短編は一番最初に書かれたのが1981年、最後に書かれたものが2003年と
20年にわたって書かれている、という。
どんな人でも20年あれば変わる。変わらないほうがおかしいとも思う。
にもかかわらず、作品は変わっていない。きちんと「連作」の形を取っている。
その不思議さがなんともなく心を捉えた。
富士見ファンタジア文庫刊行、榊 一郎著「ストレイト・ジャケット 7 イケニエのヒツジ 〜THE SACRIFICE 1st.HALF〜」
同時期に出た同じ作者の別シリーズと比較してしまったせいではなかろうが、黒さ爆発というか。
作者の代表作のひとつでもスクラップドプリンセスでも時折こうした黒さは出たが、このシリーズではそれが顕著。
まぁ、それをウリのひとつにしているシリーズだからしかたないというかなんというか。
ぶっちゃけ、「だが、そこがイイ!」
その程度にはこちらも壊れてるわけで(苦笑)