電撃文庫刊行、成田 良悟著「バッカーノ The Rolling Bootlegs」
今年の電撃新人賞受賞作のその3。
賞としては3作中一番ひくかったか?しかし、自分的には一番の良作。
テーマ性0の純然たるエンターテイメント。
主役のキャラにはイマイチ魅力を感じなかったが、脇役であり最も重要な役どころだった泥棒カップルがよかった。
話は不老不死の酒を巡って禁酒法時代のアメリカを舞台にギャングたちが大騒ぎをする話。
不老不死をテーマにすると、大概己を不老不死にして世界征服を企てる悪党と
不老不死になったが故の苦しみからそれに対決する主人公、という図ができるし、
主人公はよく不老不死故の孤独になやまされるのがSFとしてある話ではあるが、この本は
いってしまえば「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というやつ。
あるかなぁ?とおもわないでもないが、作中でもあまり不老不死の孤独、という部分がでなかったせいか、
ラストもすんなり受け入れられた。
ややハリウッド的な映画風味のある作品。
電撃文庫刊行、高野 和著「七姫物語」
今年の電撃新人賞受賞作のその2。
宮崎はやお作品風。主役の少女の悩みがもう少し表にでてきてもよかったかと。
あと最後の決意が唐突にかんじなくもなかったか。
キーリオよりは自分の感性にあった話ではあった。
群雄割拠の時代に戦士と軍師のふたりの男が孤児となっていた少女を前の王様の遺児として
天下統一のために担ぎ上げた、と簡単にまとめればそれだけの話。
戦乱の世の中なのだが、主役が少女で、少女の心境を中心に語られているため、あまりドロドロしさはない。
嗜好的に少女ではなくて、その裏で徘徊している軍師たちの謀略のほうがみたかった、というのは
・・・まずいな。ますますもって、ライトノベルが読めなくなりつつあるのか?
電撃文庫刊行、壁井 ユカコ著「キーリ死者たちは荒野に眠る」
今年の電撃新人賞受賞作の1。
よくできた話だし、クリア感があるが、自分的には少し物足りない。
もう少しバイオレンスしてもいいのではないか、とも思ったけれども。
これは作者が女性故の感性の違いなのか、本のターゲットとしている年齢層と自分との差なのか。
何気に悩ましいところではあるが。
死者の姿を見、声を聞くことができるがゆえに孤立していた少女が青年と出会い、
青年の連れていた幽霊ラジオの願いをかなえるために荒野を旅する。
そういう話なんだが。
テーマが見えずらい、というのと純粋なエンターテイメントとしてみるには面白さが足りなかった、というのが
ズレを感じた最大のところなんだろうけど。
年、のせいとはおもいたくないがな。
富士見ファンタジア文庫刊行、滝川 羊著「神々の砂漠 風の白猿神ハヌマーン」
非常に古い本である。初版が平成7年。
シリーズものを想定していたのだろうし、終わり方もいかにも続くといった感じではあったが、
結局今に至って続きは出ていない。作者の名もきかないしな。
内容は非常に素直なボーイミーツガールの成長もの。
ひねりもなにもない、ちょっとミステリアスな少女と熱血少年の出会いから少年の成長を描いたものだが。
素直ゆえに書くには難しい話なのだろうが、読んでて安心できた。
水戸黄門だとか大岡越前のような、定番ゆえの安心感なんだろうけどな。
でもこれは、続き書くの難しいだろぉなぁ・・・(苦笑)
角川スニーカー文庫刊行、浅井 ラボ著「されど罪人は竜と踊る」
新人の作品。これは拒否反応示す人多いかも。
私自身は力いっぱいツボにはまった。
もともと原理もよくわからない、法則もない、なんでもできる「魔法」というのに食傷してたせいもあって。
あとちょっと変わった魔法システムが好きだ、というのもあるんだが。
重にそこ。ただ、全体的にぱっとみ難解な言葉や文字を多用しているせいで上の拒否反応が多いか、とかんじたが。
物理現象をなんらかの手段で引き起こす魔法、というには見たことあるが、化学現象、というにはみたことないんだな。
きっとそれが原因のすべてではないかと。
あと、強いて言えばリンゴのポッキー食い。いや、これは萌えのほうだが(苦笑
電撃文庫刊行、古橋 秀之著「IX ノウェム」
中華風武侠小説。読んだことはないが、金庸という作家の作品に影響をうけて書いたらしい。
直前に読んだのがハヤカワ系だったせいか、するりと、あまりインパクトなく読めてしまった。
お約束の連続だったしな。
趣味としてはもっと生身のアクションもののほうが好みなので、この小説みたいに武器を使った上で仙人じみたバトルというのはどうも。
とはいえ、露骨なまでの続きもの。たぶん、読んでしまうだろうな、と。
ハヤカワ文庫刊行、ロバート・J・ソウヤー著「イリーガル・エイリアン」
最後はちょっと蛇足かな、とおもわないでもないけど、それも含めてソウヤーらしい作品ではある。
裁判ネタのSFなのだが、アメリカらしいといえばらしいのか。
なんていうか、相手の言葉の隅っこをつついて(アラをさがして)せめてうやむやにする、というのが
裁判のありかたのような気がしないでもない。これを読んでる限りでは。
陪審員制度がそういう風潮を作ってる、としたいのだろうか。
角川スニーカー文庫刊行、三雲 岳斗著「ランブルフィッシュ C 凶天使襲来編」
閑話休題、というところか。
前回で校内での騒ぎがひと段落して場面転換のための巻、といったところか。
登場人物多すぎでわけわからんし。
途中であった文化祭のミスコンの位置づけもよくわからん。伏線だったのかねぇ?
何をどうやったって、現実には無理なんではないかとおもうんだが。
ま、そのへんはフィクションだ。
とまれ、裏もでてきた。ふろしきがたためるかどうかわからんが(レベリオンの例もある)
生暖かく見守っていこうかと。