2002年9月の徒然草紙


「徒然草紙」2002年9月版です。
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2002/09/29

ピックアップのラスト。
徳間デュアル文庫刊行、神林 長平著「ラーゼフォン  時間調律師
びっくり。神林である。神林がアニメのノベライゼーションを書いたんである。
はじめてじゃなかろうか。
作者の作品は「敵は海賊」や「雪風」がアニメ化されてはいるようだが、逆ははじめてだよな。
と、まぁ単純なノベライズではなく、主人公すら変えて、エジプト神話を屋台骨にもってきて、思い切った改変をしているのだか。
原作となるアニメは飛び飛びでしかみなかったし、最後は「あ。オーガス」という感想しかもたなかったが。
時間のループの中に巻き込まれた主人公、そのループから抜け出すだめに、平行宇宙にいる自分からのメールをきっかけに、
ラーゼフォンを探し出すこととなる。
まぁ、SFアニメしてはいるんだが、印象的に「リプレイ」という小説を思い出す。
繰り返される時間、というのはどうも否定的に捉えられるふしがあるらしく、ループする時間が受け入れられる小説は読んだことがない。
まぁ、ループする時間というのはつまり、エンドレスなので、受け入れてしまったら話にならない、というのが一番大きいのかもしれんが。


2002/09/28

ピックアップその3。
徳間デュアル文庫刊行、上遠野 浩平著「あなたは虚人と星に舞う
徳間デュアルでの作者の連作。「虚空」「虚夢」に続く3作目である。
冒頭の一文でブギーポップの世界とのリンクをさらに強めたこのシリーズではあるが、
だからといってブギーが出るわけではない。
まぁ、あまり難しく考えずに楽しむが吉、という奴であろう。
時間軸が故意に無視された登場人物が出てくるし、短編につながる部分もある。
特に「鉄仮面」と「虚空」を読んでいるとさらににやけることができるかも。
そう、にやける、という程度であって、決してそれらを読んでいないとこの作品が読めないわけではない。
各作品を何気に同一世界に置く、自分の知ってる範囲では印象に残っているのは新井素子なのだが。
これで最後なのかな?どうも、さらに世界は変遷していったようだし。そっちのファンタジックな世界も
この作者、書き始めたし。


2002/09/27

ピックアップその2。
ハヤカワ文庫JA刊行、神林 長平著「蒼いくちづけ
テーマ的にはありきたりなのだが、さすがに神林である。
これ、うけつけない人は徹底してうけつけないだろうなぁ、という文体。
神林も好きではあるのだが、それでもよくわかんなかったり、受け付けない時があったりするし。
恋人(と信じていた男)に裏切られたテレパスがその思念だけを周囲にまきちらし、災いとなってゆくテレパスハザードもの。
こう、あらすじをひどく簡単に書くとそれこそありきたりな話になるんだけれどもね。
自分的に「真の言霊使い」と認定する。いや、認定されても向こうは困るだろうが。
兎に角、「死」とか「生命」とか、いままで書き続けた作者のことである。
一風変わった話にはなっていた。
タイトルが実に意味深だしね。


2002/09/26

おひさ。WIZ8とROでなんだか時間ないし。
でもまぁ、通勤時間とか使ってよんではいるけどね。
ということでピックアップで。便宜上日付は木曜日からはじまるが、まぁ、気にすな。
講談社ノベルズ刊行、田中 芳樹著「春の魔術
以前は別の出版社から出てたシリーズの続編。おそらくは最終巻。
何年ぶりかねぇ。
シリーズは「夏」から始まって四季を巡って春で終わるというわかりやすいものだが。
どうやら以前のシリーズの登場人物が出ているらしいのだが、すでに忘却のかなた。
あんただれ?ってなもんで。
この作者の作品は出版社をかえての再販が多いのだが、ここ数ヶ月、妙に多発してる。
なんかあるのかなぁ?
「夏」が出た当初はまたクトゥルフものか、と思って読み進めたら違っていた、とちょっとした驚きもあって、
何気に気に入ってたのだが。
感覚がかわってきたのかねぇ。今作はイマイチであった。


2002/09/15

電撃文庫刊行、秋山  瑞人著「イリヤの空 UFOの夏  その3
物語も佳境。ますますもって「最終兵器彼女」状態ではあるが。
なんだかどんどん不吉な展開にはなってきましたな。ライトノベルらしからぬ。
猫の前例があるので、なんともいえないところ。それに今のところ打開策もみあたらないし。
いやまぁ、戦争がおわってしまえばどうってことないんだろうけどな。
問題はその戦争がそもそも何なのか、はっきりとはされていない所か。
「北」なのか、それとも「上」なのか。
戒厳令下のあの町で、重要人物と手に手をとっての逃避行をした主人公。
次巻はその顛末というか。
なんとなく、あっさりと「追っ手につかまりました」でおわりそうな気もひしひしと。
国家権力なめちゃあかんぜよ、とか。


2002/09/14

富士見ファンタジア文庫刊行、舞阪  洸著「火魅子伝 9
何気に面白いと思える架空歴史風ファンタジー。
いや、古代日本にビキニとかセーラー服が出た時点でアウトといえばアウトなんだけどね。
今巻でようやくヒロイン勢ぞろい・・・のハズ。
それもあってか、閑話休題、ってな感じだった。
あるいは1クールおわって後半、ってか。


2002/09/08

角川スニーカー文庫刊行、三雲 岳斗著「ランブルフィッシュ C 伝説崩壊編
とりあえず、JARO。(苦笑)
全然伝説崩壊してないし。
まぁ、そこそこ楽しめたのでよし、とする。
よくよく考えると登場人物の行動がチグハグだったりするが、気にしてはいけない。
っていうか、きにしたらやってけない。
こんなもん(こんな、よばわりはひどいが)ノリと勢いだ。
ハードSFならね、緻密な描写とか、しっかりとした科学技術に裏付けされたうそ、とかいるんだろうけど。
と、そこまでハードSFとて読み込んだりしていないのだが。
ううむ。やはりもう少し良質な本をよまねば、どんどん自分がバカになってゆくな。


2002/09/07

角川スニーカー文庫刊行、霧島 ケイ著「琥珀のティトラ聖女さま、走る!
霧島ケイという作家の作品はあまり読んだことがなくて、それでも、後書きなどによると
主人公がいぢめられて苦労してちょびっと報われる、てな話が多いらしい。
少女漫画的、というのか。
前田珠子もそうなんだが、あれに比べるとこちらのほうが遥かに健全、というか読んでてイタクない。
2巻目で、3人の聖女の性格を忘れているせいもあってか、イマイチのりきれなかった部分もあるので、
読むなら1巻目からのほうがよいかと。
2巻目ということもあってか、聖女たちの性格なんかも一言ですまされている部分もあったし。
一番要の所を簡単にすませたらいけないよなぁ、などとおもったりも。


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