富士見ファンタジア文庫刊行、秋田 禎信著「エンジェル・ハウリング4 呪う約束 - from the aspect of FURIU - 」
二人の主人公を連載と書き下ろしとで使い分け、クロスオーバーさせる試験的作品。
いや、自分が知らないだけで他にもありそうな気もするが。
今回は連載分。
昏迷を極めていたストーリーもようやく見え始め、主人公が動き出した。
多分に作者の意図なのであろうが、今までは受け身な主人公のせいなのか、ひどく
うっとおしく感じられたのだが、
今回はそれほどでもない感触を得ている。
気に入ったのか、と聞かれると、実は答えがたかったりするのが問題なのだが。
惰性で買っているのかもしれん。
まぁ、このままずるずると買いそうな気もするんだけどね。
電撃文庫刊行、田村 登正著「大唐風雲記 洛陽の少女」
新人作品。新人とはいえ、結構歳のいった人のよう。
古代中国を舞台にしたファンタジーなのかな。
一応、主人公とされている少年がまるっきり活躍しない話でもある。
デビュー作で話がどうみて完結していない、というのがちょいと難だが、
読みやすい本ではあった。
タイムパラドックスもさらりとながしつつ組み込んであって、実はその辺りは
かなり突っ込みいれたい気分ではあるのだけれども。
新人らしからぬ作品ではあったな。
電撃文庫刊行、三雲 岳斗著「レベリオン 彼女のいない教室」
前巻のひきがひきだけに、なんだ、サブタイトルそういう意味か。などと思っていたら、
最後にああくるとは。
とはいえ、王道。
お姫様を救出する騎士の話だったのだな、とここまでは実感。
各キャラクターはそれぞれレベルアップし、ラスボスに備える、といわんばかりで。
まぁ、主人公のレベルアップは元々バンドやっていた、という設定もあるし、よしとしよう。
ヒロインのレベルアップが納得いかねぇしよぉ。
ヴァーチャファイター4ですらむづいのによぉ。そんなに簡単に拳法の達人の技を真似るなよぉ。
などといってみたり。
とはいえ、王道だけに安心してよめるとおもう。
作者の作風を思えば水戸黄門的な読み方ができるのではないかと。
電撃文庫刊行、うえお久光著「悪魔のミカタ 魔法カメラ」
今年の新人作品。ミステリーのようでいて作者自らミステリーであることを否定している作品。
ま、ライトノベルだぁな。
ネット上では比較的評判がよくて、それで購入対象外だったものを買ってはみたが。
自分的にはイマイチの感がある。
確かに本格推理などは読まないが、なぞ解きに対して拒絶反応をもってるわけでもなく、
なのになんだろ、この後味の悪さ、というか、イマイチ感は。
主人公のみならず登場人物のキャラはよかったとおもうのだが、さて、ホントのこの
違和感は一体何だろうか。
それが一番のミステリーだったり。
朝日ソノラマ文庫刊行、松谷 雅志著「真剣勝負!」
ネット上でそこそこ評判よかったので買ってみたもの。
超能力拳法モノではあるけど、主人公がその力にそこそこ苦悩し、解決を見る
というのがなかなかいいところか。
あまり苦悩しすぎるのも自分的にパスしたいし、苦悩しないのもある種食傷気味なんで、
そこがつぼにはまった、のだろうか。
はっきり行って、何度も読むような作品ではないのだけれども、
ま、再読しない作品ってのは山ほどあるしね。
ただ、続編が出たら買うかも。それなりに続編をにおわせるような作りしてたしな。
富士見ファンタジア文庫刊行、榊 一郎著「ストレイト・ジャケット 3 オモイデのスミカ 〜 THE REGET/FIRST HALF 〜」
初の前後編。
妙なアジを出す魔族といい、それに対してごくごくまじめにツッコム主人公といい、
この作品、コメディではなかったハズなのだが。
ヒロインのひとりである少女と主人公の出会いの物語り。
過去の話はいいのだが、書き出しで現在か過去か、一瞬悩む。
まぁ、現在にしか出てこないキャラのおかげ(第二のヒロイン)でなんとかなっているのだが。
過去の話のせいで、マッドサイエンティストの作成した「こんなこともあろうかと」新兵器
が登場しないのが残念といえばそうか。
角川スニーカー文庫刊行、都築 由浩著、「ベーカー・マティジュの繁盛記 密航者、月へ行く。」
ライトノベルだ。
まごうことなきライトノベルだ。
キャラ萌え優先、それがすべて。ストーリーなぞ二の次。
とにかくキャラに萌えろ、といわんばかりのものだった。
それ以上ではないな。それ以下かもしれんが。
せめてもう少しギミック的に凝っていればなぁ。
しかし、SFものを満足させるような設定をすると、それだけキャラ萌え描写が減るのでやめたのだろうか。
むむむ。
角川スニーカー文庫刊行、茅田 砂胡著、「
著者の作品にしては主人公が超絶無敵な掟破りではないので、上巻ラストの危機をどう潜り抜けるか、
ある意味楽しみだったのだけれども。
無茶するし。
まぁ、この手の作品ではよけて通れないテーマを表に出した、というところか。
にしても伏線なしの展開はあいかわらず、というかなんというか。
あいかわらず主人公がいい子すぎるのがちょっとかんに障りはするが、まぁ、私が
すれすぎている、とおもっておくことにしよう。
続編あるのかなぁ?これで終わってもいいとおもうんだけど。
ハヤカワSF文庫刊、アイザック・アシモフ著、「銀河帝国興亡史2ファウンデーション対帝国」
2部構成。タイトル作は前半、勢力を増やした帝国と暗黒時代を短縮するために、
ひとりの天才がつくりあげたファウンデーションとの戦争が書かれている。
天才、セルダンの構想通りに戦争はおき、そしてファウンデーションの勝利で終結する。
一方で後編になるとセルダンの構想にない「ミュータント」の出現により、ファウンデーションが壊滅する話。
そして、第二ファウンデーションが脚光を浴びてくる。
多分、第三巻の「第二ファウンデーション」へと話はつづいていくのだろう。
第一巻では人類の歴史の縮尺図を見るような思いで読んでたが、第二巻はファウンデーションの壊滅、
という事態が驚愕、というと大袈裟だけれども、まぁ、似たような感じか。
神林長平の「敵は海賊!」シリーズの登場人物に猫型異星人のアプロ、というのがいる。
彼の得意技が感情固定なのだけれども、その元ネタがここにあって、ああ、なるほど、とおもったり。
おそらくは、翻訳のせいなのだろうけど、読んでいると英文を直訳したような、妙な印象を受けた。
作品が古いせいなのだろうか、あるいは最近ロクな本を読んでいないせいだろうか。