2001年10月の徒然草紙


「徒然草紙」2001年10月版です。
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2001/10/29

月末に向けてのラスト・スパート。てなわけでもないのだけれども
富士見ファンタジア文庫刊行、秋田 禎信著「エンジェル・ハウリング3 獣の時間 - from the aspect of MIZU -
サブタイトルが妙に長い本である。
書き下ろしと月刊誌連載とで同一世界・同一物語を描きつつ、主人公を変えて進行するある種のクロスオーバーもの。
クロスオーバーというと少し語弊があるか。
1巻目と2巻目を読んで意外と気に入った話だったのだが。
別に戯曲を差別するつもりは全然ないけど、小説買ったつもりなんだけど。
というのが偽らざる感想か。
なんか、こう、ト書きを読んでいるような。
奇数巻は暗殺者が主人公ということで、著者お得意の滑りまくる中途半端なギャグもなく、シリアス一辺倒。
それはいいんだが、いかんせん山ないし谷ないし。平坦な道が延々と続く、というか。
読むのが苦行にすら感じてくる、という。
それでもきっと続き、かうんだろうけど。


2001/10/28

ライトノベルというには少し違和感がある。じつは、ジュブナイルと呼ぶのが一番似合っているような気がする本。
朝日ソノラマ刊行、岩本 隆雄著「ミドリノツキ(下)
後書きから読む本も自分の場合、多いのだけれども、この本は後書きを読もうと開いた瞬間に
絶大なネタバレがまっていたりする。頭っから読んでよかったよ。うん。
キヨクタダシイBoy Meets Girl な話で、最終巻であるこの巻では物語が二転三転四転。
もうころげまくり。
最終的には、ああ、やはり、とおもわせたのだけれども、あの転ばせかたある意味気持ちいいものだった。
とはいえ、最後になってどうも詰め込みすぎの感がして、少々息切れ気味か。
もう少しこう3巻の中で物語りの山谷をバランスよく配分してくれれば、とも。
そりゃ最終巻で山谷がはげしくなるのはわかるけれども。


2001/10/15

最近、何やらがんばってるな、おれ。(苦笑)
ハルキ文庫刊行、笹本 裕一著「ほしからきたもの@
えー・・・エリアルもおわっておらず、RIOも再版し、(これもシリーズらしいが)小娘も出して欲しいのだが、新シリーズだそうで。
ええい、いいかげんにせい、ともいいたくなるが。正直。
おそらくは現代とほぼ同じ時代。もしくは近未来。
一般に知られることなく、密かにUFOとの戦闘を続ける基地に12歳の少女が飛び込んできた。
エースパイロットになる、とのたまって。
てな感じで始まるこれ。12歳のくせしてムスタングという、名前は聞いたことあるがよくはしらない飛行機で
ジェット機と空中戦をやらかし、手玉にとれる腕をもった少女が主人公。
イメージ的にはそれでもバーンストーマーという同じ作者の第一次世界大戦のあたりの話を思い出した。
・・・あれもシリーズの第一巻で止まってたような。
まぁ、笹本節というか、一般人をよせつけない濃さがあるというか。(苦笑)
とはいえ、主人公とおそらくはライバルになるであろう少女とキャラがかぶってしょうがない。
双方勝気なキャラで、だからこそぶつかり、それがネタになるのだろうけど、いかんせん、読んでてどっちがどっちかわからなくなる。
作者らしくない手法だなぁ、などともおもったり。
自分は作者のファンではあるので、(実際、市販された著書は全て読んでいるハズ)楽しく読めはしたが。


2001/10/13

電撃文庫刊行、佐藤 ケイ著「天国に涙はいらない 4 男色一代男
早くも4冊目。同期にデビューした(はずの)作家の中ではずいぶんと早いペースで刊行している。
実の所、かなりヘビーなテーマを抱えているのだが、それをギャグで包み込んでかなり読みやすくさせている。
テーマを感じさせない、というべきか。
いいことかわるいことかはしらんけどね。

今回は、なんと言うか、キツネとたぬきの化かしあい、というか詐欺師同士の詐欺合戦というか。
登場人物の口のうまさというのは見習いたいものだ、と思いつつも、なーに馬鹿なことを
言ってんだか。と読んでみたり。
おそらく、そうやって冷めた眼に読むのが一番正しい読み方なのではないかと。(苦笑)
いや、「正しい」読み方なぞあるわけがないのだけれども


2001/10/09

わけありで、というか少し時間ができたので書いていたり。
電撃文庫刊行、秋山 瑞人著「イリヤの空 UFOの夏 その1
戦争が間近に感じられ、うわさはされているものの、まだおきていない、現代とそっくりでちょっと違う世界の話
そんな世界の中での Boy Meets Girl の話。
この人、人類危機的状況だとか人類ほろんでるぢゃん的な状況の話ばかりだったのだけれども、
こういう話もかけるんだな、と。
旧き良きジュブナイル、てな感じで。

隔月刊行されている電撃hpという雑誌に連載されていたものに、ちょいと加筆、書き下ろしの短編を加えての発行である。
第3話前編で1巻がおわるというむごい状況だったり。
電撃hpはなぜかもっているので、よんでしまうのだろうなぁ。

よい話だし、安心して読める。読めるからよいのだけれども・・・
はやいところE.G.コンバットファイナルを出してほしいぞ(苦笑)


2001/10/08

はやり月初はどうしてもいそがしくて、なかなか更新の時間がとれなかったり。
更新というより、コレを記録する時間、というべきか。
読んではいるので、過去分になってしまうのだけれども。
電撃文庫刊行、川上 稔著「都市シリーズ 機甲都市 伯林 5 パンツァーポリス1943 Erste Ende

第二次世界大戦のドイツをモチーフに飛行戦艦はでるわ魔法じみたものはあるはあげくにはロボットまで出てくる
異世界もの。長く続いた伯林もこの巻でおしまい。
前作である巴里もそうだったのだけれども、「ループする時間からの開放」がテーマといえばテーマ。
ただ、文章に独特のリズムとか言い回しとかあるので、人によってはとっつきにくいかも。
それに、これは伯林1からよみなおさないと、わかんない部分とか忘れてる部分とかもある。
斜め読みは出来ない種類の本ではある。
サブタイトルのErste Ende はドイツ語で「最初のおわり」とでも訳せばよいか。

物語の憶測はついていたのだけれども、つまりはお約束通り、と。とはいえ、
それだけでもなく、考えなかった終息のさせかたをしているのがびっくり。
たまにはこういうのもよいかと。
とはいえ、いかんせん間があきすぎた。最初から読み直す必要がある。

最初といえばこの一連のシリーズの最初、伯林1937と表紙の構造が同じ。
ちゃんと、年をとって成長した主人公たちが書かれているのが少し笑えた。


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