少々変わりダネを。
講談社ノベルズ刊行、上遠野 浩平著「殺竜事件 a case of dragonslayer」
ライトノベルには違いなのだろうが、どうも、推理小説に分類されているようである。
でもファンタジー。
2大国間の停戦協定を結ぶ地として選ばれた「竜に守護された地」で、強大無比な魔力と力を誇るドラゴンが殺された。
どうあってもその殺害方法をさがさなければいけなくなった戦地調停士は連れとともに、最近竜と会った5人を求めて旅立った。
残された時間は1ヶ月。
はたして竜の殺害方法は判明するのだろうか?
ファンタジーでなければならなかった理由はこの殺害方法にある。どうやって竜を殺したか?
なかなかによくできた話。尤も、かなりずっこいギミックはありますがね。
推理小説として出来がよいかどうかは不明。あまり推理小説よまないし。
なにより犯人探し(WHO)ではなく、殺害方法(HOW)を探している。探すのはいいんだけど、
結局最後に会った人の一言ですべてが決着ついてる、という。
それ以前にであった人とかの話もあるので、なんとも言えないところか。
雰囲気はやはり、というか当然というべきか「ブギーポップは笑わない」に似ている。シリーズ作ではなく、最初の奴。
やや理解のついていけない所があったり、あまりにもあんまりな所があったりするけど、ライトファンタジーとして読めば全然OK。
っていうか、たとえ破綻してても「ライト」の3文字があれば自分的には(限度はあれ)許容してしまう深い心があったりするので(苦笑)
評価にもならんが。
主人公の戦地調停士(交渉人みたいなもん)ってのが常に仮面をかぶっている。これはまぁ理由あってのことなのだけれども、
イラストが金子一馬ってのは、なんか意味あるんだろうか?
ハルキ文庫っていうか、ハルキ出版か。
古い作品を再発行してくれてるある意味オタク心をつかんだ出版社。
でも責任者はあの人なんだよね。(苦笑)
新刊ってのは存在しないのだろうなぁ、とおもっていたのだけれども、
意外と出ているらしい。今回の本もそう。
とはいえ、知らん人だ。・・・やっぱあの事件が引いてるのかなぁ。
平谷 美樹著「エンデュミオン エンデュミオン」
「みき」ではない。「よしき」と読む。れっきとした男性作家である。
アメリカの田舎町で起きた少年を巡る事件と月の開発基地でおきた亡霊さわぎ、
そしてアポロ計画に携わった老人たちの周囲と3個所でおきた事件が月に集約
してゆく。
そこには「セレネ」と「エンデュミオン」の神話になぞらえられた「神」と「人類」との対決があった。
物理的な位置関係がよくわからない。情景描写などはしてあるけれども、
なまじっか「ケネディ宇宙センター」だとか「月」だとかSFものにはなじみの深い場所が出ているだけに
明確な位置関係が把握できなかった。
あとは「神」の正体だとかについても何がなんだか。
心理学を持ち出してきたそうだけれども、よくわかんない。
「少年」が月にいくことでなにがどうなるんだろう、とよくわからないまま物語は進み、
何やら爆発したらしいが結局それが何を意味したのか理解不能なまま終わっている。
読解力がないだけか?(苦笑)
むぅ。
初めて広告で出版を知ったときは書き直し?とか思ったもんだが。
電撃文庫刊行、川上 稔著「都市シリーズ 機甲都市 伯林 パンツァーポリス1937」
長いタイトルだな。
都市シリーズと呼ばれるシリーズの第一作「パンツァーポリス1935」の2年後の話だそうである。
この作品、前作の「巴里」のおかげで前後関係がよくわからなくなっているのだが、
今回でもそのへんは不明のまま。何しろ前作より前の時代の話である
とはいえ、前作「巴里」に出たギミックやこれまた昔の話である「架空都市 倫敦」の話題とか出ているので
それなりのつながりはあるのだろう。
高速飛行を可能とする特殊な戦闘機の話である。
なんか運命とか色々小難しいこと言っていたけれども無視しても特に問題なし。
ひたすら主役メカ(とおぼしい)の疾走感を感じていれば全てOKてな作品であった。
ライトノベルの鑑だね。あるイミ。
とにかく「巴里」の事件で既存作(とくにOSAKAあたり)がどうなったのか、
を
はっきりしてほしいな、と思うこの頃だったりする。
先月読んで、そこそこいけてたせいなのだろう。続編である。
電撃文庫刊行、中村 恵里加著「ダブルブリッド2」
前巻で不明だった主人公(男)の心境がちょびっとだけでていた。
でもまだ不足。
人ならざるものと人との交流という大きなものがあるのだから、もっと細かく書いてもよいのでは、とか思ってしまう。
とはいえ、あまり細かくしすぎるとテンポが喪われるのも事実で、そうなるとライトノベルの範疇にいれてよいものかどうかが悩むところ。
根っこの部分のおいしいテーマを添え物にして何をやっているかというとアクション。
ま、キライではないし、よいか。
主人公たちのバックで暗躍する勢力の思惑がまだ見えていない分どう物語が転ぶかわからないが、まだまだ続きそう。
一つ疑問。
作中に「餃子にラー油と芥子をつけて食べる」というシーンがあったのだが、作者は実際、餃子をそうやって食べているのだろうか?(苦笑)
ファミ通文庫刊行、秋津 透著の「放課後宇宙戦争5 幻霊(ファントム)への直接連結(ダイレクトアクセス)」
タイトルに偽りアリなアレである。今回もかろうじて1シーンだけ放課後な様子が出ていた。
むぅ。出ている以上、JAROには訴えることができんな(苦笑)
冗談はさておき。
前回、戦闘の真っ最中で「続く」となっていたが、今回はその戦闘の決着とそれから波及した作戦の経緯となった。
あまりといえばあまりな決着。
とはいえ、次回でラストということで、銀河を分けた大戦争(ちなみに地球はそんなことも知らずに一部が巻き込まれただけ)
のケリがつくとはおもえないのだけれども。
そもそもあと一巻でおわらせるにはおしい数々の設定やら登場人物やら。
まさか第一部完とか好評につき続刊とか・・・ありそうだなぁ(苦笑)
主人公に必須のパワーアップだとか、設定上どうしても軍属にならざるを得なかった主人公の悩みを作中で出しておきながら
あっさりと除隊可能にしたりとか多少うなる部分もあるのだけれども。もすこし悩んでもよいのではないだろうか、とね。
あいかわらずのルビの嵐に目が廻りそうな作品であることには間違いないですな。ハイ。