きょろきょろとあたりを見まわしながら、レナががそわそわと脚を動かす。
それを視界の端に捕らえたクロードは、読みかけの本をサイドテーブルに置くとにこりと笑った。
「レナ?どうしたの?」
「んっ…何でも…ないけど…なんか、皆帰って来るの遅いなぁ…って。」
下を向いて頬を染めたレナに苦笑して、クロードは立ち上がるとレナの腰掛けているベットに近付く。
「そうだね。」
とすんと隣に腰掛けると、レナの手をきゅっと握り締めた。
それにぴくんっと身体を震わせるレナ。
「く…クロード?」
「何?」
頬を僅かに染めてレナが顔を上げる。
ばちりと目と目が合って…ふわりとクロードの香がレナの鼻を擽った。

「んっ…!?」

驚いて見開かれたレナの瞳に映る、クロードの金色の髪。
呼吸すら忘れる程に驚いて、レナはぱちぱちと瞳を瞬く。

唇が離れたと同時に、レナが何かを言おうと口を開き、
しかしそれはクロードの意地悪な瞳によって言葉にならなかった。

「レナがそうやって唇にちょこっと力を込めて、周りを気にするのはキスが欲しい時だよね?」
「そんなことないもん。」
「嘘。目が…キスしてっていってた。」

嬉しそうに、楽しそうに笑ったクロードに、レナは頬を真っ赤に染めると俯いた。



あとがき

うむ。
どこが誘い受けなのだか。
誘ってるのは唇と瞳…ってのが書きたかったんですがね!!
あっはっはっは。