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「Dark Desire U」

『あ、ふぁああぁあ……こんな、莉々奈さんとイヤらしい事している姿なんて……考えち
ゃいけないのに……お尻の穴……どんどん熱くなって……莉々奈さん、に……あ、あぁあ
あああぁあっ!』
『うん……うん、私も、お尻の穴、とっても気持ちいいよ……菜々芭ちゃん……ン、く、
はあぁぁあああん!』
『ぁん……わ、私もイキます……莉々奈さんの、イヤらしい姿を見て……莉々奈さんと、
お尻の穴を弄りあう姿を想像して……イキます……! ン、はぁ……あっ……くぅうぅう
ううううぅ!!』

 表世界には公表できない水準の技術を使い、鮮明に音響設備から迸るはしたない絶頂の
宣言。耳にするだけでも、その声の主がどれほど表情と身体を甘く蕩けさせてしまってい
るか容易く予想がついてしまう程の淫らな響きを無視する事もできず、私は無言で歯を噛
み締める。それでも鼓膜を犯す嬌声は私の身体を蝕み、下着の中から柔らかな疼きが生じ
続けるのを止める事はできない。

「どうだい。この時の君はこんなに素直で可愛らしかったじゃないか。何時までも強情を
張るものじゃないと思うけどね」

 四肢を拘束されて耳を塞ぐ事すら叶わずにベッドに横たわる私の横で、ファルケが皮肉
っぽい口調で微笑みかけてくる。
 室内に設置された大型のモニターに映し出されるのは、以前にこの部屋で行われた恥辱
の記憶だ。ファルケの魔法であるダーク・デザイアの効果によって作り出されたシンフォ
ニックリリーの幻と共に、敵の眼前でイヤらしく昇りつめてしまった時の光景が鮮明に再
現されている。ファルケが目を細めて見やる画面の中に映し出されている私は一切身体に
触れられる事も無いままに感じ入ってしまっており、望み続けてきた正義の魔法戦士の姿
からはかけ離れた媚態を見せていた。
 スカートを剥がされた上にストッキングを破られて曝け出されている白い下着は、染み
と呼ぶのもはばかられる程に大量の愛液で汚れきっている。膝に枷を嵌められている両脚
は拘束されているだけではなく明らかに自分の意思でも開かれており、スーツから覗く乳
首は一切の刺激を受けていないにも関わらず硬く尖っているのが一見して分かってしまう。
 一般市民はおろか、私達の事を深く理解してくれている瑠々香さんですら頬を赤らめ心
音を高めかねない、イヤらしい反応をしてしまっているシンフォニックシュガーの姿。こ
れがファルケの捏造した映像ならば良かったのだが、残念ながら本当に私が曝してしまっ
た痴態であるのだ。しかも悔しい事に、私の身体はそんな自らが辱められた記憶を呼び覚
ます映像を見せられ、そして私と莉々奈さんが睦み合っているかの様な声を耳にするだけ
で新たな媚熱を帯びてしまっていた。

「さて、と。それじゃあ今日も始めようか。そろそろ君の我慢も限界じゃないのかな」
「ぁ……ファルケ……んく、ぅ……」

 画面の中で快楽に溺れきったかの様に身悶える私を横目で見つつ、ファルケは私の膝に
掌を当てると脚の付け根へと向かいゆっくりと太股を撫で擦っていく。魔物や触手の荒々
しい動きとは全く異なる、下手をすると優しさすら感じかねない丁寧な触り方。そんな今
までの責めとは程遠い緩慢な刺激にすら私は熱っぽく呼吸を乱し、アソコから新たな蜜を
滲み出させてしまう。
 そしてもう少しでファルケの指先が股間に触れるという直前、しかしファルケの手は今
度はお尻に回されて円を描く様に下着の上から動かされる。

「あん、もう……っン、はぁ……く」

 敏感に感じてしまう性感帯を避けながら身体を撫でるファルケの手つきに、口からもど
かしげな吐息が漏れ出てしまう。このまるで痴漢の様なファルケの触り方は今日に限った
事ではなくここ数日、更に言えば現在映し出されている莉々奈さんの幻像を利用した辱め
の翌日から続いていた。
 あの日以来、ファルケは隠し撮りしていた私と幻像の莉々奈さんが悦楽に乱れる姿を再
生しながら、こうして私の身体を撫で続けていた。胸の先端やアソコを避けて身体を這う
掌の動きは絶頂に導く程の快楽は与えてこないが、私の身体に僅かずつではあるが確実に
性的な疼きを蓄積させていった。更には視覚的には恥ずかしい映像から何とか目も背けら
れるが、耳に飛び込んでくる私と莉々奈さんの互いを淫らな姿に導きあう会話が一層私の
心をかき乱す。
 囚われの身となってからは毎日何度もイかされていた私の身体は、たった数日絶頂に至
れないだけで浅ましく火照ってしまい、気を抜いたならば言葉には出さずとも視線でファ
ルケにもっと激しい快楽刺激を哀願しそうになってしまう程に、現在の私の肢体は焦らさ
れてしまっていた。

「ほら。人間、正直が一番だよ。本当は君も気持ちいい事が好きなんだろう? 今すぐに
でもイかせてもらいたいんだろう? 今の君を見ていると、莉々奈ちゃんも哀しむんじゃ
ないかな」
「はぁ、っ……黙りなさい、ファルケ……っ……貴方が気安く莉々奈さんの名前を口にし
ないでください……くぅっ、んぅ! はぁ……そこ、は……あぁ……」

 ファルケが口にした莉々奈さんの名前に一瞬自分を取り戻すが、丹念にお尻を撫でてい
た指先が下着に浮き出た割れ目を一擦りした直後、一際甲高い喘ぎ声を発してしまう。し
かもスピーカーからは莉々奈さんが私にお互いのお尻の穴を愛撫し合いたいと思わないか
という淫らな問いかけが流れ出て、タイミングを合わせたかの様に私の耳を甘くくすぐっ
てくる。
 ファルケの掌の動きに合わせて反射的に腰をくねらせてしまいながら、身体の内側から
抗い難い欲求がじわじわと湧き上がってくる。そんな私の反応に当然ながら気付いたファ
ルケの指先にお尻の割れ目をくすぐられているうちに、次第に蜜液を零れさせている秘唇
よりも愛撫の刺激の奥に潜む禁断の窄まりで疼きが増していくのが感じられた。

「どうだい。もう一度聞くけど、君はこのままイかされたいのかな?」
「は、ぁ……イ、イきた……く、なんて……ありません……く、ぅん……」


 快楽への屈服という甘い誘惑のセリフを何とか喉の奥に飲み下して、自分でも分かる程
に力ない瞳ではあるもののファルケを真っ向から見据える。それでも情欲に疼く全身はお
尻を柔らかく嬲ってくる手の動きに集中してしまい、僅かでもお尻を撫でられるだけで下
半身の二穴はよりはしたなく震えてしまった。


「へぇ、そうかい。それじゃあ君の欲求は一度置いておくとして、身体的にはどうかな?
 今、もっと激しく身体を弄られたならば、君はイヤらしくイってしまうと思うかい?」
「あ、ふぁ……そ、それは……ン、やぁ……」


 淫猥な意図に満ち溢れたファルケの問いかけに答える事ができず、小さく羞恥の嗚咽が
零れ出る。その間にも股間からは滴り続ける愛液の甘い香りが更に強まっていき、腰はあ
ろう事かファルケに弄ばれているお尻をその掌に自ら擦りつける様に揺らいでしまう。自
らの身体が見せてしまう情けない反応と、快楽に溺れつつある現状を否定しきれない弱々
しい仕草を隠し切る事すら叶わず、恥辱と哀しみに顔を歪めながら思わずファルケから逃
げる様に顔を背けてしまう。
 そんな私のすぐ横で、狡猾な気配を全く隠す事も無く存在感を放つファルケが見下ろし
ているのが感じられる。それだけでお腹の奥から這い出てくる期待にも似た感覚に身体を
悩ましげに揺らす私に向かい、ファルケは再び口を開いた。

「フフ。このままでも君の投了は間もなくの様だが、ただ待っているというのも面白みに
欠けるしね。ここは一つ、ゲームでもしてみないかい?」
「は、ン……ゲー、ム……?」

 今の状況にふさわしいとは思えない、ゲームという単語。しかし幾度も辱めに曝されて
きた私の思考回路はその言葉にすら怪しい好奇心を覚えながら、無意識の内にファルケと
視線を交わしてしまう。

「そう、ゲームだ。ルールは簡単、これから俺は、君に対して今までしてきた様に激しく
犯してあげる。そして一定時間、君がイかずに耐えられたならば君の勝利だ」
「な……そ、そんなイヤらしいゲーム……ぁふ……お断り、です……ン」

 普段ならばともかく、今の私は数日に及んでまとわりつく様な愛撫快感と恥ずかしい映
像による精神昂揚を心身に刷り込まれてしまっている。もしも今そのゲームを受けてしま
ったならば、乳首への愛撫だけでも簡単に絶頂に追いやられかねない程に、私の身体は意
思に反して甘い感覚に飢えを感じてしまっていた。
 そんな敗北の可能性を極限まで高められているゲームに参加する必要性など微塵もない。
だと言うのに、私の身体はファルケの提案を悦ぶ様に熱く染め上げられていく。

「話は最後まで聞くものだよ、シンフォニックシュガー。もしもこのゲームに君が勝った
ならば、ご褒美をあげようじゃないか。そうだな……君とリリーの解放、なんてのはどう
かな?」
「なっ!?」

 ファルケが何気ない口調で語った言葉に、思わず身体の疼きも忘れて目を見開く。今ま
で私が願いながら叶える事のできなかった事柄を、まるでちょっとした景品の様に口にさ
れた衝撃が私を揺さぶる。
 もちろん、ファルケの言葉を鵜呑みにする事など到底できない。しかし今の状況が続い
たとしても、莉々奈さんを助け出すどころか私が自由になる事すら不可能に近いのだ。な
らば限りなくファルケに有利な条件であろうとも、今の私は断れる立場にいない事を自覚
する。

 ……そうだ。私がファルケの言ってきた自らの絶頂を条件としたゲームに乗ろうとして
いるのは、莉々奈さんを助け出したいから。それ以外の――そう、それ以外のイヤらしい
理由なんて決してない……。

「お、少しはやる気が出たようだね。だけどもちろん、その逆の場合、つまり君がイって
しまった時には罰ゲームもあるけどね」
「……一定時間というのは、具体的には?」

 不安が覗き見えていると自分でも分かる声で、ゲームの詳細に関して質問する。それだ
けでファルケは私がゲームを受ける覚悟を決めたと確信したのだろう。マスクから見える
口元を愉快気に歪めながら、ゲームに関する説明を続けた。

「そうだな。今の君の状況を考えるとできるだけ短時間にしてあげた方がフェアなんだろ
うけど、ご褒美がご褒美だからね。十五分、でどうだい?」
「十五分……」

 提示された時間を呟きながら思考する。普段の感覚で言えば長いとは言えないものの、
今の身体の疼き具合とファルケの陵辱の苛烈さを客観的に考えたならば絶望的にも思えて
くる時間だ。しかし同時にそれだけの時間を我慢しきったならば、この魔窟から莉々奈さ
んと共に抜け出せるかもしれないという希望も確かに存在している。
 大丈夫、私は魔法戦士だ。いくら身体は快感に対して鋭敏に反応する様になってしまっ
ても、十五分位は耐え切れる。
 そう自分に言い聞かせ、ファルケの提案してきたゲームと称した辱めに自ら挑む決意を
込めながらファルケと視線を交わす。

「ファルケ……もう一度確認します。本当に私が貴方の言った条件をクリアーしたならば、
私と莉々奈さんを解放してくれるのですか……?」
「あぁ。俺は君達を相手にするならばいくらでも卑劣な手段を使う悪党だが、そんな姑息
な嘘を吐く気はないさ。それに今の君達を一旦解放したとしても、未来は最早変わらない
だろうしね」

 私だけではなくて莉々奈さんをも愚弄するかの様なセリフを吐くファルケに怒りを覚え
るが、今は彼にその感情をぶつけても意味はない。それよりも己の精神力を高める方向に
活用してこの淫獄から抜け出して、その後に叩きつけるべきである。

「……分かりました、貴方の提案したゲームを受けます……」
「おや、確認は今ので終わりかい? 罰ゲームに関して何も詳細を聞かないで参加すると
は、もしかして本心ではそちらが望みだったりするのかな」
「く、ぅ……バカな事を言わないでください……単に、負ける気など全くないだけです…
…」

 邪笑を浮かべるファルケの言葉に反論しながらも、しかし身体には忘れかけていたイヤ
らしい疼きが蘇り始める。罰ゲームとやらの詳細に関しては分からないが、ファルケの提
案するものだ。私に淫らな辱めを施す事に違いはないだろう。

 もしかすると、ここ数日の快楽焦らしを補って余りある程に触手で全身を蹂躙され尽く
すかもしれない。
 もしかすると、久しぶりに外に連れ出されて衆人環視の中、魔法戦士シンフォニックシ
ュガーでありながら陵辱にすら淫らな声を上げてしまう様になった私を晒し者にするのか
もしれない。
 もしかすると、それこそ囚われている莉々奈さんに会わされて、ファルケの見ている前
で互いの肢体を慰めあう姿を観賞されるかもしれない。

 ファルケが課すかもしれない罰という名の陵辱行為を容易に思い浮かべられる様になっ
てしまった事を悔やみながらも、身体に渦巻き続ける媚感を懸命に抑え殺す。もしかする
と、これから行われるゲームで私達の運命が大きく変化するかもしれないのだ。ただでさ
え不利な条件の中で自ら辱められる事を了承した今、少しでも心身を落ち着かせなくては
ならない。淫湿な罰ゲームの内容を明確に聞いて、無駄に心をかき乱す必要など皆無なの
だ。

「ククク。まぁそう言わずに、シンフォニックシュガー。未来が予測できているからこそ
対策も立てられる。そうだろう?」

 しかしファルケからすれば、私への質問など最初から形だけのものだったのだろう。拒
否したにも関わらず、愉快そうに喉を鳴らしながら言葉を続けてくる。

「何、そんなに心配しなくてもいいさ。単に今君の穿いている下着を一週間リリーの顔に
被せたまま彼女を調教する。それだけだからね」
「…………え?」

 今、この男はいったい何を言ったのだろう?

 耳に入ってきた単語や文章の意味を理解しながらも、その意図する所が全くもって想像
もつかない。思わずファルケの言葉をそのまま脳内で再現し、罰ゲームの内容を熟考して
しまう。

(私の穿いている下着を、莉々奈さんの顔に被せる……? え……私の、今穿いている下
着、を……っ!)

 その異常としか表現できない仕打ちを完全に理解すると同時に、反射的に拘束されたま
ま視線を自分の下半身へと向けて剥き出しの下着を見つめてしまう。
 私の身体を包んでいるシンフォニックシュガーの衣装は前回の本格的な辱めの時のまま
だ。すなわちストッキングは破られており、そして白いショーツは全体の布地が透けて肌
や秘唇の色を隠してくれない程に愛液で濡れてしまっていた。
 下着を汚したイヤらしい蜜は、莉々奈さんの幻像と共に絶頂を迎えて尿の様な勢いで噴
出した時のものだけではない。その後の緩慢な愛撫を受けている時や一人の時間ですらも、
私の股間の割れ目からは絶えず恥ずかしい液体が分泌されてしまっていたのだ。

 これ程に快楽の証で汚れきった下着を莉々奈さんに見られる。そう言葉にしただけでも
顔が茹で上がりそうになる程の羞恥心に襲われてしまうというのに、それを遥かに上回る
仕打ち。思わず頭がクラクラして視界が揺らいでしまう。
 しかも劣悪な性格をしているこの男の事だ。本当に実行するとしたならば、ファルケは
事細かに私が受けた辱めを莉々奈さんに説明するだろう。すなわち私が莉々奈さんの幻が
演じる痴態を前にしただけで快楽に震え、莉々奈さんと共にお尻の穴を弄り合う姿を想像
しただけで絶頂に達してしまった事実を。
 例えそうなったとしても、莉々奈さんが私に軽蔑の視線を送る事などないとは信じてい
る。でも、できるならば生涯知られたくない秘密であるのだ。

 ……だというのに、ファルケに視姦されながら余りにも非常識な条件を突きつけられた
私のアソコからは、新たな滴りが下着から溢れてベッドの染みを広げていく。その量は、
明らかに太股やお尻を触られている時よりも増しているのが実感できた。
 まるで私の本心はファルケの言葉に悦びを覚え、より私の匂いが染み付いた下着を莉々
奈さんに渡したいと願っているかの様に……。

「どうだい? 君にとってもリリーにとっても、きつくはない内容だろう。むしろ二人と
も、悦んでくれるかな」
「ぁ、は……そんな、事……んぅ……」
「フフ――これから自分の顔に密着する君の愛液で濡れ汚れた下着を見せられたリリーは、
動揺を表情に浮かべるものの嫌悪の念は一切抱かず、それどころか頬を赤らめた彼女自身
の陰唇も粘ついた淫液で濡れていく」
「え……ファルケ、何、を……んぁ……ふ」

 欠片すら想像できなかった罰の内容に戸惑う私を見下ろしながら、ファルケは朗読する
かの様な口調で卑猥な言葉を紡いでいく。彼の言葉を聞いてはいけないと理性が警告する
が、私はその視線に射抜かれた様に顔を背けられず、耳を傾けてしまう。

「俺が手にしているだけでも愛液が床に滴り落ちる程に濡れた下着を麗しい顔に被せられ
たリリーは、呼吸をするだけで君のイヤらしい匂いが鼻腔を満たし、少しでも唇を開いた
ならば味覚でもその甘さを感じ取ってしまう。やがて彼女は積極的に呼吸を荒げて君の一
番嗅がれたくない匂いを胸の内に満たし、細い舌をクロッチの内側へ這わせてその味に感
じ入りながら自身も淫らに絶頂する――。どうだい、そんな風にリリーが快楽に喘ぐ光景
が、容易に想像できるだろう? 何ならその後、もう一度君にその下着を穿かせてあげよ
うかい?」
「イヤ、そんな……莉々奈さんは、そんな……ぁ、く、莉々奈さんに、そんな汚れた下着
を舐めてもらうなんて、ぁ、ヤァ……ダメ、です……ぁ、くぅん……んぁあ!」

 懸命に首を横に振ってファルケの妄言を否定しながらも、閉じられた瞳の奥では変態的
過ぎる行為にふけってしまっている莉々奈さんの姿が鮮明に映し出されてしまう。絶対に
莉々奈さんにそんな真似はされたくない、させてはいけないと理解しながらも、私の身体
は背徳的な秘悦に震えて嬌声と共に下着から新たな迸りが吹き上がる。

「おいおい、まさかまた想像だけでイってしまったのかい? まだゲーム開始前だからい
いけど、これじゃあ勝負は見えているね。今ならギブアップの宣言だけで許してあげるけ
ど、さぁどうする?」

 悔しいが、ファルケの言った事は間違いではない。私は確かに今、莉々奈さんの恥ずか
しい姿を想像しただけでイってしまった。もちろんこの事は恥じるべき事柄であり、声に
出して認める事などできる筈も無い。
 だが、同時に私にとってプラスに働いた点もある。軽いとはいえ絶頂に達した事で、僅
かではあるが落ち着きを取り戻したのだ。身体は相変わらず敏感なままになってしまって
いるが、それでも罰ゲームについて教えられた直後よりかはましな状態だと言える。

「は、ぁ……ファルケ、戯言はもう十分です……早くゲームとやらを始めてください…
…」
「オーケー。だったら、早速始めるとしようか」

 はっきりとゲームの開始を求めた私の言葉に頷いたファルケが、芝居がかった動作で指
を鳴らす。するとモニターから私と莉々奈さんの映像が消えた代わりにデジタル表示の数
字が映し出され、カウントダウンを開始する。
 私にとっては、正に自分と莉々奈さんの未来に関わってくると言っても過言ではない、
重要な数字だ。
 しかし私の意識がモニターへと向けられたのは本当に一瞬。その直後、視線は両脚を開
かされた股間のすぐ近くに向けられる。そこには私自身から漂ってくる愛液の香りに勝る
とも劣らぬ臭いを放つ異形――触手上魔が召喚されていた。

「あ……これ、は……」 
「君にはもう見慣れたものだろう? 今回のゲームでは俺の代わりに、彼に君の事を可愛
がってもらおうと思ってね」

 獲物を狙う海生生物の様に触手を揺らめかせる異界の存在は僅かな違いこそあれ、確か
に私や莉々奈さんにとっては見る以上によく知っていた魔物であった。人知を超えた力に
よる戦闘の後、ダメージや恥辱で動けなくなった身体を触手で犯された記憶は最早数え切
れない。
 今回の提案を聞いた時から、陵辱に魔物が使用される可能性は当然ながら考慮していた。
だというのに私は自分のすぐ近くに現れた不気味な姿から視線が離せず、心音はその鼓動
を高めていってしまう。
 ツヤツヤとした質感の触手にはコブなどの突起は存在せず、太さも人間のペニスと変わ
らないサイズである。だがそれ故に私の身体は痛みや違和感を抱く事無く触手を受け入れ
てしまい、そして人間には再現できない動きで責め立てられる事を即座に理解させられて
しまう。決して無視する事ができない腐臭はフェロモンと呼べる程に私の本能を刺激し、
臭いが鼻腔に届くだけで口内には新たな唾液が湧き出てくる。

 犯される覚悟は出来ているつもりだった。
 しかし数日振りに体験した陵辱者から発せられる好色な気配は、それだけでイヤらしい
刺激となって身体に降り注いでくる。本来なら肉体の全てを敵の好きにされる屈辱の想い
を感じるべき時だと言うのに、私の身体には想像だけでは達する事のできない深い法悦へ
の期待が満ちてしまう。

(は、ぁ……ダメ、です……まずは落ち着いて……んぅ……)

 余裕のつもりか、それとも私を更に焦らそうと企んでいるのか。召喚された触手はすぐ
にでも私に襲いかかれる近距離にいながらも、蟲が這うかの様な遅い速度でにじり寄って
くる。
 この様な魔物にすら侮られているのだという憤りも感じるが、時間を消費してくれるの
は好都合でもある。その間に可能な限り呼吸と心拍を整えながら、接触してくるその瞬間
への心構えを作っておく。

「は、ふぅ……くぅっ、んぁああぁあ!」

 しかし私の股間へと伸ばされてきた滑らかな触手が、ショーツ越しに秘唇へと擦り付け
られた途端に甘い叫び声が喉から迸ってしまう。
 触手は機械的とすら思える単調な動き方ながらも、私のアソコをなぞる様にその細長い
身体全体を擦り付けてくる。しかもその時にゆっくりとではあるが回転も加えられている
ため、与えられる刺激は一定ながらも複雑な快感を股間から全身に送り込んでくる。
 決して激しいとは言えない、むしろ陵辱前の戯れに近い愛撫であるというのに、久しぶ
りに直接的な刺激を秘唇に受けた私は、身体の芯に響く快楽に背を仰け反らせてしまう。

「おや。もしかして、もうイったのかな?」
「あ、くん……ば、馬鹿な事を言わないで、ください……ひゃん、ン、くぅううぅう…
…」
「あぁ、確かに君の身体は、全く満足した様には見えないね」

 ゲームが始まってまだ数分も経っていないというのに、喘ぎ声を抑えられない私に嘲弄
の言葉が投げかけらる。だが今は、そんな事に構っている場合ではない。下手に気を抜い
てしまったならば、余りにもあっけない敗北が現実のものになってしまう。
 例えどれだけイヤらしく身悶える姿を見られたとしても、決して絶頂には達しない。そ
う決意を固めて股間から襲い上がってくる悦感に身構えるが、触手はそんな私の想いを無
視するかの様にその身を秘裂から離していく。

「え……ン、はぁ……うぅ……」

 今の私など、何時でもイかせられるという驕りなのだろうか。先程の触撫によって私の
愛液で全身を濡らし、怪しい光沢を放つ触手へと訝しげな視線を送る。

「そんな心配そうな目をしなくても、今のは前準備で本番はこれからだよ。その触手は今
回用にあつらえた魔物でね。他の連中とは違って粘液を分泌できないから、まずは君の愛
液で挿入しやすくしたのさ。リリーには触手の媚薬なんて無しで、君の愛液だけでよがっ
て欲しいからね」

 表情に浮かんでしまっていた疑問に、わざわざファルケが情報を与えながら丁寧に答え
てくれる。確かに触手に触られたアソコはジンジンとした痺れに襲われているが、媚薬に
よる不自然な疼きではなく純粋に肉感的な刺激によるものだ。ファルケが嘘は言っていな
いのだと、他ならぬ私の身体が認めていた。
 まだファルケの陵辱に身体が馴染んでいなかった頃ですら、強制的に快感を引き出され
た魔物の淫液が使用されない。それは私にとって有利に働くと言っていい。だというのに
私の心臓の動悸は不安とそれ以外の衝動に昂ぶりを増し、じっと自身の蜜でコーティング
された触手を見つめてしまう。

「さ、それじゃあ本番開始といこうか」
「ぁ……」

 ファルケからゴーサインを受け取った触手が、先程よりも活発な動きで私に近づいてく
る。その動きに口元から甘さを含んだ声を漏らしてしまう私の下半身を目指し、生殖器を
連想させる肉蔦は魔法戦士の身体を嬲れる期待からか先端を震わせながら狙いを定めてく
る。
 いったい、この触手は次に何をしてくるのだろうか?
 罰ゲームを考えると、下着を破る事はまず有り得ない。ならば器用に脱がして、ファル
ケの目に潤みきった恥ずかしい割れ目を曝すのだろうか。いや、さっきのファルケのセリ
フから考えるとそれも考えにくい。ファルケは徹底的に私の愛液をショーツに染み付かせ
るつもりなのだ。恐らくは下着の中に入り込むか、あるいはずらして私の体内へと侵入を
果たすのだろう。

 そう予想し、触手が次に与えてくる快感と羞恥に備えを取る。だが実際に襲ってきた肉
悦は、私の想像を超えたものだった。

「ン……ヤ、くぅん!? あ……そ、そこは……お尻の、穴……ふぁあ……それに……下
着、脱がさないまま……? んあぁあ! ダ、ダメ……そんな、下着擦りつけたら……ヤ
ァ……くぅ……」

 触手が私をイかせるために辱めようと選んだ場所は、女の子がペニスを受け入れるべき
膣ではなく、本来ならば知識としては知っていても実際には快楽を受け入れてはいけない
排泄器官だった。
 そこまではまだ私も可能性は予想しており、もしかするとアソコと共に二穴を嬲られる
覚悟すらもできていた。
 しかし匂いを愉しむ様に蠢きながらお尻の割れ目に接近した触手は、下着を脱がしもず
らしもせず、更には内側に入り込む事もせずに、その湿りきった布地越しに私の窄まりを
くすぐり始めたのだ。つまりこの触手は、私の下着の内側を使って不浄の孔を拭い始めた
のだ。
 まだ進入は試みていないのか、濡れた下着をお尻の穴に押し当てながら皺の集まりを揉
む様に責め立てられる。初めて感じる布地越しの愛撫は、まだ優しい動きと言えるだろう。
だがお尻の穴に圧力を加えながら割れ目に沿って僅かに揺れ動く刺激は、否が応でも排泄
後の清拭を私に連想させる。

(イヤ……こんな、下着、もっと汚れて……あぁ……)

 囚われの身ではあるものの最低限の身の清潔は保障されているため、この様にお尻の穴
の表面を下着で擦られた位では変色させたりしないとは分かっている。だからといって生
理的に感じてしまう嫌悪と恥辱は並大抵のものではなく、到底理性だけでは抑えきれない。
しかも私がもしもイってしまったら、この下着を莉々奈さんの顔に密着させてしまうのだ。
 その事をしっかりと理解しているというのに、既に肛悦を知ってしまっている私の身体
は早くも魔物による淫辱に馴染み始めた。
 アソコよりも弄られるのが恥ずかしくて辛い部分を丁寧に解してくる刺激は、暴力的な
快感ではなくむず痒い様な心地良さを生み出していく。本来なら異物を受け入れるのでは
なく反対の役割をするべき孔は、次第に触手の愛撫に応えて少しずつ花開いていってしま
う。
 それはもちろん下着に隠されており、私ですら視認はできない。しかし見下ろしてくる
ファルケは、私の仕草や表情からはしたない変化を見抜いているのだろう。表情から滲み
出るイヤらしさが増していく。

「どうだい。リリーと弄り合いたかったお尻の穴を、触手に責められるのは。あぁ、無理
に答えなくてもいいよ。君がどう感じているかは、その艶姿を見ているだけでよく分かる
からね」
「イヤ……こんな風に、お尻の穴を触られるなんて……ン、ふぅ……せめて、下着……っ
……下着、脱がせてください……んぁあ……」

 本来なら犯される時に口にしていい頼みではないが、今の私にとっては恥ずかしいセリ
フを言ったりイヤらしく潤んだ秘部を曝す事よりも、このままお尻の穴を自分の下着で辱
められる方が余程辛い。ファルケの性格を考えると無駄ではあると分かりつつも、少女と
してあるまじき哀願を口にしてしまう。

「ハハ、君からそんなイヤらしいお願いをされるとはね。でも男心としては、もう少しそ
そる言い回しをして欲しい所ではあるな。そうだな、“お願いです、調教によって開発さ
れてしまいイヤらしく感じるようになったアナルが、触手で弄くられる様子を直接見ても
らうために下着を脱がしてください”。そう言えたなら君の下着を脱がしてあげるよ」
「なっ……あん、くぅん……そんな、恥ずかしい事……ぁ、ダメ……入って、くる……ん
ぅう……」

 ファルケの口にした懇願のためのセリフ、まるで性奴隷が慈悲を願うかの様な言い方に
絶句するが、その間にもお尻の穴に狙いを限定している触手は蠢き続けて背徳の愉悦を身
体に広げていく。薄布一枚とはいえ障害物があるためか腸内にいきなり挿入してくる事は
なかったが、焦らされきった身体には十分すぎる刺激が絶え間なく恥孔から響いてくる。
 現状を変えたいとは思いながらも、自身を徹底的に辱める言葉をこの男相手に口にする
事も容易ではない。躊躇いに心を縛られて行動を起こせず、ただ肢体を強張らせる事しか
できない。しかし触手はそんな私の事情など気にする事なく、遂に私の下着を巻き込みな
がら熱い粘膜の中へと潜り込み始めた。

「っ……ヤ、ぁ……触手、入ってくる……ン、は……下着、も……お尻の……中に……あ
ん、ふぁあ……」
「ほらほら、お願いするんなら早くした方がいい。俺の呼び出した触手だが、そいつも何
時まで我慢できるか分からないぞ」

 まだ本の先端が侵入しただけだというに、私の感じる痺れは格段に甘さを増してしまっ
ていた。両脚は強張り爪先が意思に反してピクピクと震え、唇の端からは飲みきれない唾
液が糸となって零れ落ちていく。
 身体だけではなくて心すら震わせてしまう邪な快感。それが単に触手が私の排泄孔を舐
める様に弄っているためだけではなく、罰に使われる下着が自身の汚れた体液で染められ
る事への倒錯した興奮からも生み出されている事を、私は認めなければならなかった。
 今私がなすべき事は、快楽に慣れ親しんだ心身を抑えて絶頂に達さずに十五分耐える事、
それだけだ。そう自分に言い聞かせ、私を淫らに堕落させようとする禁忌の快感の原因を
取り除くべく、恥辱に瞳を潤めながら口を開く。

「お……お願い、です……ン、はぁ……調教によって、か、開発されてしまい……ふ、く
……イヤらしく感じるようになった……っ……ア、アナル……が……っ、くぁあ!? ン、
あぁ……」

 一言口にするだけでも、心に抱いている大切だったものを自ら傷つけてしまう淫らな言
葉を紡いでいく。それだけでも私の心は磨耗させられてしまうというのに、アナルに食い
込み始めた触手は少しずつではあるが深く潜り込み、私の口から強制されていない喘ぎ声
を響かせる。視覚では分からないほどの僅かな振動を敏感になった腸粘膜で感じ取り、刻
一刻と鋭さを増していく秘悦に翻弄されながらも、早く下着を脱がしてもらいたい一心で
涎に塗(まみ)れた舌を懸命に動かしていく。

「ふぅ……ア、アナルが……ン、くっ……ぅ……触手で弄くられる様子、を……は、ぁあ
……直接見てもらうために……っ……下着を脱が……ひゃぅうう!?」

 後数秒で屈辱的な哀願を言い終えるその刹那、それまでお尻の穴の入り口付近を執拗に
舐(ねぶ)っていた触手がその身を私のアナルの奥へと潜り込ませてきた。挿入を受け入
れるのに十分と呼べる程の愛撫を受けて綻(ほころ)んでいたお尻の穴は、侵入に抵抗す
るどころか悦んで迎え入れるかの様に一息で長い触手を呑み込み、目が眩む程の快楽を生
み出すと共に私の口から情けない悲鳴を上げさせた。

「ハハハ、残念。時間切れだね。どうやらそいつが我慢しきれない程に、君のアナルは甘
くて魅力的だったらしい。さすが、シンフォニックシュガーの名前は伊達じゃないね」
「ヤ、んぁあぁあああ! そ、そんな……ひぅっ、ン、ふ、深い……イヤ、そんな奥まで
……あ、あぁ……ダメ、です……下着、汚れて……あぁああぁああ!!」

 肩を揺らしながら笑い声を上げるファルケの様子に、最初から私の頼みを聞く気などな
かったのだと痛感する。自分の見通しが甘すぎた事を理解しながらも、私は非難の声を上
げる事も強く睨み付ける事もできない。何の警戒もなしにいきなり腸内を挿し抉られた衝
撃に咽(むせ)ぶ私には、そんな感情を抱いている余裕など全く存在していなかった。私
にできるのは口から舌を突き出して喘ぎ声を上げながら、零れ落ちそうになる涙を何とか
瞳に留める事だけだ。
 太さこそ人間の男性器と変わらない触手だが、長さは比べ物になるものではない。その
柔軟な逸物が、刺激を待ち望んでいた粘壁を舐めながら一気にお尻の中を這いずりあがっ
てきたのだ。それだけでも絶頂に至っていておかしくない程の快楽に貫かれ、視界が白く
霞んでいく。
 人の身ではいかなる器官を用いても到達できない腸奥を突付かれるたびに、アソコから
は触手の陵辱に酔いしれる様に愛液が噴出してしまう。そんな己の反応を口惜しく思いな
がらも、同時に腸膜に擦り付けられる初めての触感が思考を侵していく。

(下着……お尻の奥まで入ってます……ダメ、こんな下着……絶対に莉々奈さんに見せら
れない……!)

 ペニス、舌、指、触手、バイブ。様々なものをお尻の穴に挿れられてきたが、今私のア
ナルの内を蹂躙している感触はそのどれとも異なっていた。触手を包み込んだ形でお尻の
中を擦ってくる下着の感覚は、今までに感じた事のない心地良さを私にもたらしてくる。
元々が女の子の一番大切な所を覆い隠す布地なのだ。その肌触りが悪いはずがない。私は
その事実を、腸壁に下着を塗り付ける様に擦られた事で強く実感してしまった。

「ひぅ……ン……イヤ、ダメ……こんな……っ……下着……お尻の中で汚しちゃっている
のに……感じちゃ……あぅっ、んぅううぅう!」

 触手の蠢きに合わせて腸液が分泌される程に、私のお尻の中は熱く蕩け下着を咀嚼する
様に蠕動する。いっその事そのまま破れてくれればとも思うが、シンフォニックナイツの
衣装の一部であるショーツは見た目の薄さ以上の強度を持っており、恥液で濡れて触手に
引き伸ばされても傷がつく気配はない。ただひたすらに、その白い布地に私の体液が塗り
込まれていくだけだ。

 そうして下着をお尻の穴の中で汚されるという惨めな責め苦に涙を零しながらも、身体
は貪欲なまでに怪しく甘美な快感を飲み下していく。最初から肉体的には限界が近く、精
神力だけが頼りの勝負だったのだ。しかし残り時間はまだ半分以上残っており、私の心は
乙女の矜持を傷つける倒錯的な辱めの前に疲労しきってしまった。
 まだかろうじて絶頂に達していないのは、この勝負に勝ちたいからではない。残された
理性が何とか罰ゲームを回避したいと訴えかけてきているからだ。

「ヤ……あ……ファル、ケ……ン、あぁあん! 私……もうすぐお尻の穴……触手と……
あふ……下着で犯されて……イ、イってしまいます……っ、くぁ……でも、でも……さっ
き言っていた罰ゲームだけは、許してください……お願い、です……ンぅ! 他の事なら
……何でもしますから……ひゃう、んぁああぁあっ!!」

 最早プライドにこだわっている場合ではない。無駄な足掻きであろう事は簡単に想像が
ついたが、それでも喘ぎ声と嗚咽を交えながら自らの敗北を宣言し、何とか罰ゲームだけ
は逃れたいと懇願する。
 今までの経験からして、ファルケが素直に私の言っている事を聞いてくれるとは思えな
い。それどころか、より過酷な要求をしてくる方が有り得るだろう。そう理解していなが
らも、心が砕かれる寸前まで追い詰められている私には他の選択肢は見つけられない。既
に残りの時間を気にする余裕すら失いながら、両の掌を握り締めて絶頂の間際で必死に耐
え忍ぶ。

「そうか、ギブアップかい。まぁ今の君程にイヤらしい魔法戦士なら、それも無理はない
話だな。でも、今更と言えば今更だからね。そうだな……。本当にギブアップしたいのな
ら、そのままオシッコを漏らしながら頼んでもらおうか」
「あぅ、くぁあ……オ、オシッコ……? それは、本当ですか……ほ、本当に、オシッコ
をお漏らししたら……っん、はふ……許してくれるんですか……?」
「あぁ、本当さ。ただしゲームは続行、君がイく前に漏らさないと、無意味に終わるが
ね」

 告げられたのは先程のはしたない哀願を上回る、自身の愛液と腸液で汚されたシンフォ
ニックシュガーの衣装の一部を、更に自分の意思で失禁して穢せという恥辱的な命令。し
かしその言葉に私は怒りを感じる事は一切なく、心の中が不思議な安堵と新たな不安に支
配されていく。

(オシッコを漏らしたら許してもらえる……でも、イく前にオシッコできる……?)

 アソコからは愛液が止めども無く溢れ蕩けているが、尿意はほとんど感じていない。集
中して搾り出せば漏らせるかもしれないが、下手に括約筋を引き締めてしまってはお尻の
中に潜り込んでいる触手すらも圧迫してしまい、より強い媚悦を感じる事は必至である。
 結局イってはいけないという条件を変える事はできず、膀胱と尿道に意識を回すも事態
を改善できる見込みはない。半ば途方に暮れていると、私の頭を優しく撫ぜる感覚が包み
込んできた。

「フフ。どうやらオシッコを漏らしたい気持ちでいっぱいだけど、オシッコが出せないと
いった様子だね。いいよ。少し素直になれそうな君に、特別サービスだ」

 髪を梳(す)く様に撫でているのがファルケの手だと気付くと同時、彼が再び指を鳴ら
す。するとお尻を犯していた触手がその動きを少しだけ穏やかにし、その代わりに私の頭
上の空間から新たな触手が姿を現した。
 形状はアナルを弄っている触手とほぼ同じ。しかし漂ってくる臭いは遥かに強烈で、数
人分の男性の精液を煮詰めて凝縮したかの様に濃密な性臭が鼻に届く。下手をすればむせ
返りそうになる激臭を間近で感じ取りながらも、出現した魔物に釘付けとなった意識はそ
れ以外の相違点も発見した。こちらの触手の表面には、黄ばんだ白濁液がこびり付いてい
るのだ。

「さ、俺の言いたい事は分かるよね? シンフォニックシュガー」
「あ、ン、はい……ン……ちゅ……んく……っ、ぁふ……あぁ……」

 ファルケに言われるまでもなく、顔に近づきながらも決して触れてはこない触手に向か
って唇と舌を出して、自ら触手に付着している粘液を口に含んでいく。舌を近づけただけ
で痺れを感じる程に濃厚な粘液の味は香りに反する事無く、ザーメンに酷似しながらもよ
り複雑な苦味を宿していた。一滴口に含んだだけで、まるで喉を超えて全身にまで染み渡
るかと思う程に身体が熱くなっていく。
 この魔液を飲んだならばオシッコを漏らせる事は、例えファルケの言葉がなくとも私の
身体が本能的に理解していただろう。しかし効果の程まではさすがに予想がつかず、一刻
も早く尿を溜めるため、渇きを感じた子猫の様に積極的な舌使いで触手液を口に運んでい
く。

「おやおや。そんな真剣に舐めるなんて、よっぽど君は触手の味が好きな様だね」
「ン……ヤ……そんな、触手が美味しいなんて……ぁむ……ちゅ、っ……私、は……早く
オシッコを……オシッコをお漏らししたいだけ、です……んむ、くうぅうう! あ、ダメ
……触手、舐めなきゃ……はぅ……ン……」

 自分の素直な気持ちを正直に口にしただけ。それだけの筈なのに心の内に秘めていた被
虐を望む欲求が悦びを訴え、今もお尻に埋まっている触手からの肉悦と合間って嬌声が上
がり、思わず舌が魔物から離れてしまう。口内から僅かでも淫汁の味が消えてしまった事
に耐え切れない程の不安と物寂しさを覚え、すぐに舌を伸ばして異形が分泌する粘液を舐
め取っていく。

「ふ、ぅ……まだ、ですか……オシッコ……あふ……早く、お漏らししたいのに……ン、
むぅ……ぁん、これ以上、精液みたいな汁を舐めていたら……またエッチな気持ち、が…
…んぅ……ちゅ……っ!」

 直腸と口内、正極に位置するニ穴で触手を感じる事で官能の波が高まりながらも、よう
やくお腹の中で排泄の欲求が湧き起こる。私の中に浸透していった触手の汁が、体内の水
分を排泄液に変えてくれたのだ。意識を集めていた膀胱が尿で膨らんでいく刺激すらも鋭
敏に感じ取りながら、緩んだ様な笑みを浮かべる。

「あは……もう少し……お漏らしまで、後……くぅ、んぁああぁあっ!? ヤ、ダメェっ
……ま、またお尻……激しく……んむ……くぅううぅうん!!」

 尿意の訪れで身体が弛緩した瞬間、それまで動きを鎮めていた直腸内の触手が、再びの
たうち回る様にその身を蠢かせてくる。口内を淫味で支配して私の意識を奪っていた触手
に嫉妬でもしたのか、適度な太さの身体をしならせて腸内を蹂躙し、自らの存在とアナル
快楽を主張してくる。
 その突然の刺激は私の意識をかき乱し、身体が数日にわたって望み続けていた絶頂を目
前まで引き寄せる。ここでイけたなら、それは今までの生涯の中で一番心地良い悦頂にな
るとは理解できていた。
 でも、私はまだイけない。濁流となって押し寄せる快感に思考が覆い尽くされる中、そ
れでも一つの想いは残っていた。

 ……そう、私はオシッコを漏らさなければならない、漏らしたいんだ……。

 その想いを胸に秘め、怒涛の勢いで押し寄せる秘悦に翻弄されながらも身体を可能な限
り弛緩させる。息んで放尿しようとすれば、その分腸内で暴れる触手を締め付けて肛姦に
よる刺激を増してしまう。自然な尿意の決壊を待ち続けると、やがて懸命に触手の粘液を
味わったのが功を奏したのだろう。魔の力によってもたらされた排尿欲求が遂に限界を超
え始めた。

「は、ふぅ……っ……あぁ、ン……ぁ、出る……く……オシッコ、漏れてきます……ぁ、
はぁ……」

 最初に刺激されたのは触感。出口から静かに滲み零れた尿は愛液とは異なる感覚で下着
を濡らし、瞬く間に股間からお尻までを新たな温もりで包み込んでいく。嗅覚はアンモニ
アを含みながらも不思議な甘みを感じさせる匂いを感じ取り、瞳を下半身に向けたならば
白かった下着が鮮やかな黄色に染められていく様子が見て取れる。下着を突き抜ける程の
勢いはないものの際限なく溢れてくる黄金水は、すぐに音も無くベッドにも広がって腰の
シーツまでをも湿らせていく。

 ……今までにも、何度も放尿は行ってきた。シンフォニックシュガーとなる前でも限界
まで我慢した後には心地良い開放感に包まれたし、ファルケや男の人に見られながらの調
教では絶頂にも至っていた。でも今のお漏らしは、どの記憶にあるオシッコよりも気持ち
いい……。

「あ、ん……はぁ……ぃぃ……気持ち、いいです……オシッコ、こんなに気持ちいいなん
て……あぁ、くぅう……っ、ひやぁあぁああぁ!? あ、はふ……わ、分かっています…
…っ……お尻……お尻の穴も、中も……犯されるのも気持ちいいです……だから、そんな
に暴れないで……ひぅ、あぁぁああぁっ!! あ……もう、私……感じ、すぎて……っく、
んぅうううう!!」

 失禁の快楽だけに心奪われていた私の反応が面白くないのか、最初に召喚されていた触
手が更に身体を力強く動かす。それまでは人のペニスでは刺激してくれない腸の奥底を突
付いてくれていたのだが、今度はその長い身体をストロークさせ、腸壁を引きずり出す程
の勢いで抽挿を開始する。
 まともな性行為では決して知りえない、排泄器官を固体が逆流してくる淫靡な感覚も確
かに目が眩む。だが貪欲な粘膜にしがみつかれながらも、お尻の穴から一気に触手が抜け
出ていく時に感じる排泄に似ながらもより鮮明な悦楽に、私は陶然とした声を抑える事が
できない。
 愛液と尿、そして腸液の混じり合った香りは頭上にある触手の臭いすらも凌駕し、魅惑
の匂いに鼻をヒクつかせながら、私の興奮は止まる事無く高まっていく。

「やん……あ、くぅん! ファ、ファルケ……もう、もうイってもいいですよね……? 
オシッコ、お漏らししたんだから……イっても……んくぁあ! ダメ……我慢、できませ
ん……お願いです……イかせて、ください……!」

 ファルケに断らずとも、全てを投げ出す気になれば絶頂に至る事はできる。だというの
に、私は激しすぎる悦楽の渦に巻き込まれながらも確認を求めて言葉を紡ぐ。
 未だに罰ゲームを恐れているのではない。それよりももっと強くて淫らな欲求に突き動
かされ、私はファルケに許しを請う様な視線を向ける。

「ハハハ。いいさ、淫らなるシンフォニックシュガー。はしたなく失禁する姿を見られる
恥辱的な悦びでも、尻穴を抉(えぐ)られる擬似排泄による肛悦でもいい。お好みの快楽
で好きなだけイけ」
「あ、ふぁ……はい……はい……! イ、イきます……私、オシッコでも……っ、ン……
お尻の穴でも、気持ち良くなって……ぁ、ヤァ……イ、く……ン……見ていて、ください
……あくぅ! んぅっ、ああぁぁああぁあああ!!」

 まるで全身が蕩けて淫らな液体と変わったのでは思える程の恍惚に包まれながら、深く
長い絶頂に身体を跳ねさせる。
 まだオシッコは出てくれているのか、もう止まったのか。まだお尻の穴の中には触手が
宿っているのか、それとも這い出たのか。それすらもすぐには感じ取れない程に痺れた身
体で視線を端のモニターに向けると、そこには約束の時間まで残り数十秒の時点でカウン
トを止めた数字が浮かんでいた。
 後それだけの時間我慢できていたら、ファルケから自由になれていた。そんな考えが頭
に浮かびながらも、私には一切後悔の念は生じない。それどころか時間内にイけたという
事に、心の中には静かな悦びと安堵が満ちていった。

「それじゃあゲームは君のギブアップで終了、と。ハハ、すごい汚しようだな。この下着
を見ると、ギブアップを選んだ君の決断は正しかったかもね」
「あ、んぅ……イヤ……そんな、見ないでください……あぁ……」

 嘲笑ではなく微笑を浮かべながら下着を見つめてくるファルケの視線を感じ、恥ずかし
さに身体を揺らす。もちろんそれ位の事では布地も汚れも全く隠せない事は分かっている
が、不思議な心地良さが滲み出てくる腰はフルフルと舞い続ける。
 そんな私の反応をしばらく見守っていたファルケだが、やがてその手が私の腰に添えら
れ、指で下着が摘まれる。言葉に出さなくともやろうとしている事を理解した私が絶頂の
余韻に浸る腰を少しだけ浮かせると、予想通り彼の手は私の下着を脱がせ始める。僅かに
肌に触れる無骨な指の感覚や、アソコに張り付いていた下着が剥がされる感覚に淡い吐息
を漏らしながら、ファルケの手の内に収められた下着に視線を向ける。
 ショーツを広げて表地にも裏地にもくまなく観察の目を向けるファルケには、穿いてい
た私ですら知らない汚れまで見て取れた事だろう。距離を置いた私の視線にも入ってくる、
イヤらしい匂いを放つ黄ばみに頬を染めながらも、彼の行為に嫌悪を感じる事は全く無か
った。

「これはこれは、見事な一品だな。まぁ約束通り、リリーには渡さないでおこう。そうだ
な、君がもっと淫らに堕ちてこの下着をリリーに見てもらいたいと願う日まで、俺が預か
っておくよ」
「あぁ……」

 己の下着がどう扱われるのかを聞き、思わず唇から吐息が漏れる。それが莉々奈さんに
見せられる事無く済んだ事に対するものか、ファルケの手に渡るためなのか。それとも何
時の日にか訪れるかもしれない、莉々奈さんと共に観賞する日に想いを寄せてなのかは、
今の疲労した私の頭では分からなかった。
 それに疲れているのは身体もだ。ほとんど触れられなかった陰唇はまだ不満げに震えて
いるが、久しぶりの悦昂とそれに至るまでの無意味だった抵抗は、私の想像以上に体力を
奪っていたらしい。それこそ瞬く間に意識がまどろみへと誘われていく。

「おやすみ、菜々芭ちゃん。いい夢を」
「はふぅ……ん……」

 囁く様に投げかけられた眠りの挨拶の直後、アソコに優しい刺激が与えられる。それが
ファルケによるおやすみの口付けなのだという理解と共に、自然と口元に笑みが浮かぶ。

 ……次に目覚める時、私はいったい何処にいるのだろうか……? 

 そんな問いかけを霞がかった頭の片隅に抱きながら、ファルケに囚われてから初めてと
なる安らかな眠りが私を包み込んでいった……。







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