2001年5・6月の読んだ本。


2001年5月の読んだ本。
(小説2冊、エッセイ3冊、その他1冊、合計6冊)
  • 村上春樹 『村上朝日堂はいかにして鍛えられたか』(再読) ★★★★☆
 『はいほー!』に続いての村上朝日堂シリーズの再読。このシリーズは何度も何度もしつこいくらいに(笑)読み返しているので特にこれといった感想は無いのですが、その楽しさは何度読んでも飽きてしまう部分がありません。ただ単に「僕が単純なだけ」なのかもしれませんが…(笑)。
 それにしても朝日堂の春樹さんのエッセイと水丸さんのイラストの、絶妙なコラボレーション(でいいのかな?)はファンにはたまりませんよね。

  • 村上春樹 『スプートニクの恋人』(再読)  ★★★★☆
 『スプ恋』の再読。ハードカバーを持っているのだけれど、文庫を書店で見かけ「おもわず買ってしまった」一冊。こんな贅沢な事(僕にとっては贅沢なんです(汗)。)をするのは、アーヴィング作品と村上春樹作品くらいのものなのだけれど、おそらく今後何度も再読することになるので、場所を選ばず何処でも読める(「少しは選んだほうがよい」という話もありますが(笑)。)文庫本は必需品です。
 ところで文庫本のあのサイズって、日本独特のサイズなのだろうか?日本人の手のサイズとかを考えて設計されているとしか思えない「読みごこちの良さ」は侮れません。文庫本を創った人、本当にありがとう!…あ、全然『スプ恋』の感想になってないですね。ま、いいか。

  • ポール・オースター 『幽霊たち』  ★★★☆☆
 伝言板の皆さんの書き込みから想像すると、アーヴィングとオースター両方読む人の割合はかなり多いみたいですね。僕は『ムーン・パレス』(と『翻訳夜話』に載っていた短篇』)しか読んだことが無いので、どんな作品があるのか本当に楽しみにしている作家の一人です。映画「スモーク」も良かったので、ほかの映画化作品も観てみたい。
 え〜と、今回読んだ『幽霊たち』に関しては、たぶん僕の読解力の問題だと思うのだけれど、いまいち釈然としないというか、理解できていない(まじなのです。)部分があるので、評価は保留ということで一応標準の3点をつけてみました。「それでいいのか?」と自分でも思いますが(笑)。

  • 村上春樹 『村上朝日堂』(再読)  ★★★★☆
 村上朝日堂シリーズに関しては、何度も何度も読み返しているので感想は省略します(なまけもの)。春樹さん情報としては、雑誌「anan」に掲載されていたエッセイが『村上ラジオ』としてもうすぐ発売されるそうです。楽しみですね。

  • 松本大洋 『メザスヒカリノサキニアルモノ若しくはパラダイス』(再読)  ★★★★★
 この作品の芝居が、東京タワーのすぐ下の「芝公園」というところのプールで上演されたので,大洋ファンの僕としては「どうしても行かないわけにはいきませんな。」とめずらしくきっぱりと決断、前売り券まで購入して観に行ってきました。プールの水はもちろん全部抜かれていて、深さ3メートルくらいのプールの中からプールサイドまでをフルに利用して、なかなかかっちょいい舞台になっていました。ふと上を見上げたならそこには東京タワーがあり、ちょうど太陽が沈みかけの時間帯に開演というこころにくい演出なんかとあいまって、本当に素晴らしい空間が、そこにはありました。
 芝居そのものも事前に原作を読んでいたにもかかわらず、僕の中の『メザパラ』の世界がみごとに再現されていて参りましたよ(笑)。「やられた!」って感じですね。6月には全国をまわるみたいなので、もし機会があったらぜひ足を運んでみてください。

 長距離トラックの運転手を中心とした登場人物達が、ドライブイン「楽園」を舞台に繰り広げるこの物語。さすが松本大洋作品、もちろん面白くって、そして、やはり悲しい、そんなお話です。

  • 糸井重里 『ほぼ日刊イトイ新聞の本』  ★★★★☆
 ご存知、糸井重里さんの大人気サイト『ほぼ日刊イトイ新聞』の紙の本バージョンです。僕は別に糸井さんの熱心なファンというわけではないのだけれど、彼の創り出すコピーは「さすが!」って言わないわけにはいかないし、釣り好きなところも僕と似ていたりする。MOTHERという、僕の大好きなTVゲームも彼の作品だ。…そしてWEBサイト『ほぼ日』も、「口惜しいけれど(笑)」やっぱり面白いのだ。
 『ほぼ日』に行ったことの無い人は「だまされたと思って」ぜひ一度行ってみて欲しいと思うし、『ほぼ日』をすでに楽しんでいる方は是非この本を読んでみて欲しいと思う。とくに「最近、なんか忙しいんだよね。参るよな〜。」って、ちょっとお疲れ気味の人におすすめの本かもしれません。特に根拠はありませんが、ふと、そんなふうに思った一冊です。




2001年6月の読んだ本。
(小説1冊、エッセイ3冊、合計4冊)
  • 群ようこ 『本は鞄をとびだして』(再読)  ★★★☆☆
 海外文学の作品を、著者特有の「面白さと情けなさが同居する」語り口で紹介するエッセイ集。アーヴィングの『ガープの世界』が取り上げられているので購入したこの本ですが、なかなかの読みやすさで「ちょっとした時間に読む本」として、かなりの威力を発揮し、わりと何度も読み返してます。適当なページを開いて、適当に読んでいるので、「正確に何回読んだか?」は良くわかりませんが、いつでも気楽に読める本としておすすめしたい一冊です。

  • ジョン・アーヴィング 『熊を放つ』(再読)  ★★★★☆
 アーヴィングの処女長篇であるこの作品ですが、実はアーヴィングが好きでファンサイトまで開いている僕が読んだ回数は、今回を含めて僅か2回だけ。しかもはじめて読んだ数年前には、一度途中で挫折してしまい(ちなみにアーヴィング作品の中で、少しでも挫折の兆候を体験した唯一の作品です。)数ヶ月後に再開、なんとか読了にこぎつけたのです。ネットを始めたら気がついた事ですが、この作品は僕に限らず途中で挫折してしまう人が多いようで、「村上春樹さんの翻訳なので読んでみたのだけれど、半分も読まずに挫折。その後アーヴィングには手をつけずじまい。」といった感じの人の割合がその中でも多いようです。
 このサイトにいらしてくれる熱心なアーヴィングファンの中には、この『熊を放つ』が一番好きだ。という方も少なくありません。しかし、(僕も含めた)少なくない読者には「何故かこの作品は読みづらいもの」だったりもする。のも動かし難い事実のようなのです。残念ながら…(笑)。
 ここで「あ、私もそうだなあ。」って思われた方がいらっしゃたら是非ほかのアーヴィング作品も読んでもらいたいのです。「この一冊でアーヴィング作品を見限らない方が良いよ!本当に面白いんだから」と声を大にして言いいたいのです。
 え〜と、全然今回読んだ感想に触れてないですね(汗)。今回はですね。それなりに時間はかかりましたが、結構すんなりと読み進める事が出来ましたよ。僕が前回読みにくかったのは、翻訳の問題、アーヴィングの最初の長篇作品だということ、といった事よりもむしろ、ノートブックの部分を中心として、登場人物の相関関係がわかり辛かった、のが大きかったのかもしれないです。単なる読解力の欠如ですね(笑)。今回読んでみて、そんなふうに思いました。

  • 村上春樹 『村上ラヂオ』  ★★★☆☆
 雑誌『anan』に連載していたものを一冊にまとめた、お久しぶりのエッセイ集。正直言って「この本の春樹さんの文章はあまり好きでない」です。内容は彼のいつものエッセイと比較しても、別に見劣りしないのだけれど、なんだか文章が不自然で、おもしろいことはおもしろいけれど「唐突に小学校のホームルームに出席させられているような理不尽さ」も、感じさせてくれる文章だとも感じたのです。春樹さんは「誰にでもわかる丁寧な文章」を書こうとしただけなのかもしれないけれど、前から春樹さんの文章が大好きで、いつも新作を待っているファンの一人としては、どうもストレートに受け取る事は出来なかったのです。評価も2つ星よりの3つ星といったところ。期待していただけに結構残念だった。

  • 村上春樹 『やがて哀しき外国語』(再読)  ★★★★☆
 海外へ「旅行する」のではなく、海外で「生活する」というのは、どうゆうことなのか。が「なんとなくわかったような気にさせてくれる」お得な(笑)エッセイ集です。春樹さんがアメリカで生活していた時期を描いたものですが、別に堅苦しくなるわけではなく、いつもの「おもしろエッセイ」が展開されています。読んでいただければ解って頂けるのではないかと思うのですが、こういった文章の雰囲気の方が、『村上ラヂオ』より数段僕の好みなのです。

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