『熊を放つ』  Setting Free The Bears



 
<解説>


 ウィーンの市庁舎公園で出会った二人の若者ジギーとグラフ。中古のロイヤル・エンフィールド700ccを駆り、オーストリアの田舎を旅する二人が見つけたものは、美しい季節の輝きと、手足のすらりとした女の子のガレン。すべてはうまく運ぶはずだった。ジギーが、動物園襲撃などという奇妙な計画を持ち出すまでは…。
                    *
 端々しく、痛々しく、優しく、そして未完成な青春を描くジョン・アーヴィングの処女長編。
 この『熊を放つ』には読者のーー少なくとも僕のーー背筋をしゃきっと伸ばさせるだけの「想い」とでもいうべき物がいわば手つかずの形でこめられているのである。(略)立ち上ってくるむせかえるような青年期の「想い」、混乱して未整理な部分もあるにせよ、それだけにかえってリアルにそのもどかしさを伝えてくれる「想い」に強くひかれてしまう。
                                (村上春樹)
                    *
現代アメリカ文学を代表する作家ジョン・アーヴィングの処女長篇。
       
                            中公文庫 (上下) より 



アーヴィングの作品へ

HOME