『158ポンドの結婚』  The 158 Pound Marriage




<解説>


 本書は、ジョン・アーヴィングの三冊目の長篇小説である。
 また、処女作『熊を放つ』と大ベストセラー『ガープの世界』をつなぐターニング・ポイントとも言うべき内容を蔵している。

 歴史小説家である「僕」と、元レスラーのセイヴァリンは、あの青春小説の秀作『熊を放つ』の主人公であったグラフとジギーのもうひとつの姿である。
 ただし、彼らはもはや青春のヒーローではない。結婚もし、子供もいる。
「僕」には、ウィーンで数奇な育ちをしたウチという妻がいる。元々ウィーンに生まれ育ったセイヴァリンは、ヤンキー娘のイーディスと結婚し、今は大学でドイツ語を教えるかたわら、レスリングのコーチをしている。

「僕」とウチ、セイヴァリンとイーディス、この二組の夫婦の成り立ち、夫婦交換の物語を通して、後に「アーヴィングの世界」として定着するすべての現代的なテーマの萌芽が描かれる。ここには、あの『ガープの世界』の一章がある。

                                    サンリオ版 より



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