ドッグラン開設当時の利用トラブについて:(マナー厳守との戦い)


ドッグランの利用者は、トラブルがないことを前提に利用されています。しかし、どうしてもトラブルを回避出来なかったトラブル事例もあり、以下ボランティアグループに報告された代表的な事例を記しておきます。


駒沢オリンピック公園ドッグランの開設当時、都市公園でのドッグラン開設との話題性もあり、春と秋の利用シーズンには、土日のピーク時(12時から15時頃)に、1時間当たり200名以上の愛犬家と150頭以上の犬が来場しました。そのため土日祭日の第二駐車場は、遠隔地からの利用者で朝10時頃には、一杯になりました。当時、1ヵ月当たりの来場総利用者数(約6,800名)からすると、トラブル件数は非常に少ないものでしたが、それでも利用マナーを逸脱したトラブルが起きています。再発防止策の観点からドッグラン利用者に向け、トラブル事例を掲示板等で公表し利用者に都度注意を促していました。

その背景には、試行期間で運営するドッグラン場内で、利用者のトラブルが増加しては、公認施設として承認が遅れる可能性もあり、ドッグランの健全な利用運営が危ぶまれてしまうというボランティアグループの危機管理が働いていました。特に遠隔地からの利用者が急増する土日祭日で、マナートラブルが多く発生す傾向がありました。

ボランティアグループが利用者に常にお願いしていた事は、利用時の際には「自分の愛犬から目を離さない事」であり、飼い主さんは、いつでも機敏に動ける心構えを持って利用頂くことでした。この点だけでも利用者の皆さんが心がけて頂くことでトラブルは、相当減ると訴え続けました。

   

以下のトラブル・マナー事例は平成16年〜19年間の記録抜粋です

■平成16年
3月:早朝、大型犬が小型犬に遊んでいる間、じゃれ合いが興奮ぎみになり小型犬が足を噛まれた。当事者同士で解決。
4月:中型犬が飼い主が見ていない間に同じ犬種同士とホッティング。無関心な飼い主が話題に。
7月:犬同士が遊び合っている間に相手犬の首輪を破損したとして首輪代を弁償させられるケースが発生。
8月:中型犬が小型犬2匹を噛んだとの報告があり。事実を確認し被害程度を調査。
9月:夜間に大型犬がリードにつなぎっぱなしで飼い主がドッランからいなくなる事件。1時間後飼い主戻る
10月:ドッグラン場にベビーカーが入る。ボランティアメンバーが危険なので出て欲しいと指摘すると「利用規約にその事を明記して いない・・」と逆に抗議されること15分。理解頂くまでに30分かかる。
11月:夜間利用者にフンを置き捨てが目立つ。土日利用者のマナー悪さが課題となる。
12月:小型犬と大型犬がかみ合いする事故。小型犬は、4針を縫うケガ。当事者同時話合い解決。

■平成17年
1月:大型犬グループ利用者が歓談中に小型犬利用者とトラブル。話し合いで和解。
2月:出入り口ゲートで利用者幼児と見学者の自転にが接触。かすり傷あり。謝罪で解決。
3月:早朝に大型犬が長時間に渡って吼え続ける。通行人が公園管理所に苦情申出。
4月:大型犬と小型犬の接触トラブル事故3件あり。当事者間で解決。
5月:人に抱きつくクセのある大型犬が入場。飼い主に静止対策を要望する。3件発生。
6月:生後1歳に満たない幼児を乗せたベビィーカーと一緒に奥様が入場。ボランティアグループのメンバーの注意に対し同伴していたご主人が「利用規約に盛り込まれていない」と反論。10分間話し合いの上、ご理解を頂き退場頂いた。
9月:小型犬サークルに大型犬を連れて横切ろうとした愛犬家を小型犬利用者が注意した結果、注意された利用者が一部、暴力と見られる行為を取る事件が発生。
9月:共用サークルで、中型犬と小型犬のトラブルが発生。かまれた小型犬は相手方と居合わせたドッグランのお仲間で応急処置がなされた。しかし、その時に応急手当した利用者の薬剤等が適切であったかの指摘があり、ボランティアグループにて応急薬剤を倉庫に保管する検討に入る。
11月:小さな幼児を乗せたベビカーと奥様が入場。ボランティアメンバーが注意するとベビカー入場禁止の事がドッグラン利用規定に書いてない・・と再び逆切れされる。ドッグラン利用規定に書いていなくても常識的な判断として理解を求め了解を得る。利用規程追加検討に入る。
12月:年末、土日ドッグラン利用者が残していったフンやゴミが大量に残る。ボランティアメンバーによる臨時清掃を行う。地元の利用者より「遠隔地利用者のマナーが悪すぎる・同じ愛犬家として我慢ならない・・」との指摘多数おこる。「観光地化した駒沢公園ドッグランにも問題あり」との指摘もでる。公園管理所と年明け対策を協議する事になる。

■平成18年
1月:年始早々、ドッグラン場の柵の植木の上に、空き缶・愛犬のフンを入れたビニール袋が散見する。元旦から臨時でボランティアメンバーによる清掃活動を行う。掲示板の温度計とドッグランのマスコット「コマちゃん」のウェルカム人形が何者かによって破損される。夜間利用者のマナーの悪さも指摘される。
2月:公園管理所と利用者マナー向上対策を協議する。掲示板等にマナー厳守の追加案内を決定する。
3月:ドッグラン場で中型犬が、小さなボールを誤って飲み込むと言うトラブルがが発生。ドッグラン場内での愛犬の遊具規定の再検討が行われた。ドッグラン場内のトイレ標識がいたずらで倒される。公園管理所と協議の結果、建て直された。
5月:ドッグラン場内で煙草を吸っている男性に注意をした主婦が逆に怒られると言うトラブル発生。公園管理事務所とボランティアメンバーにて主婦から事情を聴衆。掲示板に再発防止の警告掲示をする。
7月:炎天下にドッグラン場を利用した奥様が体調不調を訴え近くの病院に搬入される。掲示板に夏季利用の注意点と場内温度計2本を追加設置する。
9月:ボール遊びをしていた犬が誤ってボールを飲み込み病院にて開腹手術。その後ボールによるトラブルが後を絶たず公園管理所とボランティアメンバーで協議すること3回。当面禁止禁止規定とする。
11月上旬:ボランティアメンバーより新しい利用規定案を作成し公園管理所了承のもと都・公園課に提出する。同月下旬、都・公園課より新利用規程が承認され運用開始する。従来利用規定に加え、ベビィカーの入場禁止・ボール遊び使用禁止・フンの持ち帰り義務づけなどを追加表示する。

■平成19年
1月:ドッグラン場フィールド内のコンクリートの一部が浮き上がる現象が起こる。調査の結果、クンクリートの下にある木の根っ子が各ブロックを持ち上げている事が判明する。今後の対策を公園管理事務所と協議する。
3月:禁止となっているボール遊びを大型犬のサークルで数頭が行って、うち1頭が興奮してボールを飲み込むトラブルが起きる。その後獣医師より開腹手術が必要と診断される。掲示板に再度の再発防止告知をする。
4月:ドッグラン場内でベンチに座っていた老女に大型犬が抱きつき老女倒れる。老女腰を痛め病院に向かう。当事者同士の話合いで解決。



2005年4月当時、利用者の一部に利用規程を十分に理解しないで入場する利用者が後を絶たないため以下の「ご利用上の注意書」が土日の利用者に配布されました。

ドッグランのご利用する皆様にお願い -ご利用上の注意書-
@入場前に利用管理規定をお読みください。
A入場後も自分の愛犬から目を離さないでください。
B常に犬同士の動きに注意をはらい必要に応じて静止する判断をお持ちください。
C犬の興奮が続く場合には静かに落ち着かせて(クールダンウン)ください。
D土日祭日の利用者が増加しています。
 利用規約を守り糞等は持ち帰りください。
 (付近のトイレに流すことは禁止です)。
楽しく愛犬と過ごすためのドッグラン施設です。マナーを守り、常に犬から目をはなさずに安全を確認しながら楽しくご利用ください。



開設当時、利用者の最良のトラブル防止策は以下の3点でした。
@犬の動きに迅速な判断を持つことを心がける。
A常に自分の愛犬の動きに目をやる。
B犬同士の動きや相性等にも注意うこと。


初めての利用者へアドバイス
@いきなりドッグラン場内に犬を入れずに犬の興奮度合いを見てから入場させてください。
A犬は我々人間には、見えない犬たちの警戒エリアを持っています。
B初めてのドッグランを犬にとって警戒エリアとみているのか、友好エリアにみているのか、
犬の表情で判断してください。
C警戒エリアとみている動きをしたら大勢の犬の匂いに慣れさせてからリードを放します。
C近づいてくる相手の犬の動きになれるまで、自身の犬から目を離さないでください。
D犬の緊張感は、尾の動きやフォールドに対する匂いの嗅ぎ方でわかります。
E慣れてきたら飼い主の姿が犬からも見えるところでも見守ってあげましょう。



犬と飼い主さん同士のトラブルは、日常の街を散歩している時や、観光地でも、場所を問わず起こる可能性があります。それが柵に囲まれたドッグラン場内であれば犬にとっては、逃げ場のない柵に囲まれたフィールドで遊ぶことになります。

ドッグランでの犬同士のトラブル回避には、飼い主さん自身の素早い判断と静止力が大切です。