覚書
ランヴェルト
体長182cm体高125cm体重140kg
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アルガリの姿をしているが、
アルガリは西欧文化圏には生息しない。
彼は本当はコルシカの岩場に生息するムフロンである。
ムフロンは緬羊の祖と言われる。
彼はある意味では亡霊であり、存在したり、しなかったりする。
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彼らはもともと言葉を隠し持ってはいなかったが
子孫の一部が家畜となっていったとき、
その亡霊だけでも人間への隷属から解放しようと
自らの体に魔法をかけ、人間と契約をする。
その内容は、
彼らの子孫の亡霊が一匹、束縛の柵から解放されたら
予めその額に刻み付けておいた言葉を
その子を数えた者の額に刻み付け、
夢魔を作り出す要素を、一つ鎮めるというものである。
それが、まどろみの歌である。
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歌う羊は複数存在するようである。
様々な種類、形態が見られるが、
いずれも愚かな子孫たちの目をひくための仮の姿であり、
とりわけ大型のアルガリの姿を取るものは多い。
歌う羊たちの生来の姿は、緬羊の祖、ムフロンである。
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全ての緬羊の亡霊が人間への隷属から逃れ、
彼らが元のムフロンの姿に戻った時、彼らは
自ら額に刻んだ詞を歌い、静かな眠りにつくのだろう。