ギリシア神話に出てくる有名なりんごというと、ヘスペリデスのりんごがあります。 ヘスペリデスとは、<日没するところのニュムパイ(大地の神ガイアまたは全能の神ゼウスの娘である若い女神たち)>で、ヘシオドスの「神統記」によれば夜の、他の伝承ではアトラスとヘスペリスの娘です。アイグレ(輝き)、エリュテイア(紅)、ヘスペラレトゥサ(日没のアレトゥサ)と呼ばれていました。あるいはアイグレとエリュテイア、そしてヘスペリア(黄昏の娘)、アレトゥーサという4人であったという説もあります。更に7人という話も(要は複数であったということでは?)。 彼女たちは、百の頭を持つラドンという竜とともに西方の世界の果てにある神々の園で、かつてガイアからゼウスの妻ヘーラーに結婚祝いとして贈られた黄金のりんごを守っていました。 この黄金のりんごの樹は、それが西方にある神々の国に生えているということから、生命の樹、不死の木と考えられていたようです。何故なら西は太陽の没する方角であり、そこは死者の国と考えられていたからです。 このヘスペリデスのりんごは、ギリシア神話のいろいろな場面で登場しますが、ここでは有名な二つを紹介してみます。 1.英雄ヘラクレス 2.パリスの審判 <参考文献> 「新装版 ギリシア神話」呉茂一著、新潮社(1994) 「世界神話伝説体系 ギリシア ローマの神話伝説T・U・V」中島孤島編、名著普及会(1981) 「ギリシアの英雄たち」曽野綾子・田名部昭共著、講談社(1990) 「ギリシア人の愛と死」曽野綾子・田名部昭共著、講談社(1995) |