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phouka(プーカ)
夢魔(インキュバス、サキュバス)の仲間とも言われるホブゴブリン系の
妖精です。プーカの住む屋敷の軒下で寝ると、とんでもない悪夢にうなさ
れます。特に酔っ払いを夢の中でからかうのが好きなようです。
また、良いプーカもおり、それらは、生前怠け者だった召使が天罰を受
けてプーカになったものといわれています。このプーカは、他のホブゴブリ
ンと同じように夜中に家の中の掃除をしたり、皿を洗ったりしますが、いた
ずらは殆どしません。また、食料をあげる必要もありません。その家の召
使いがプーカに感謝して上着を新調してやると、天罰がとけて昇天できる
そうです。
pixies(ピクシー)
ピスキー(piskie)ともいいます。その名の由来は、puckに愛称語尾
ーsyがついたpucksyから派生した説や小人をあらわすピグミー(pigmy)
から説等があります。
ピクシーは洗礼を受けていない死んだ子の魂とも、生霊とも言われ、掌
にのるほど小さいのですが、大きくなることもできます。
ピクシーは陽気でいたずら好きな点は他のブラウニーと相似しています
が、これらと違い群れて行動する場合が多くあります。彼らが踊った跡は
フェアリーリングとして丸く残ります。
また、アイルランド西部においては、ブラウニーのことをピクシーと呼びます。
酒飲みの亭主をもった可愛そうな若い女のために働いていたピクシーが
いました。ピクシーが働きながら歌っている声が、女の耳に聞こえてきた。
「かわいいピクシー、色白、ほっそり、
身につけようにもボロもない」
女がピクシーを可愛そうに思って、素敵な服を作ってやったのも、不思議
なことではありませんでした。ピクシーはやってきて服を見つけました。身に
つけると、うれしくて飛び回りながら唄いました。
「すてきなピクシー! かっこいいピクシー!
もうピクシーは さよならだ」
そしてピクシーは行ってしまい、かわいそうな女は、二度とピクシーの姿を
ことはありませんでした。
服を与えると去ってしまうブラウニーと同じ逸話が残っています。
puck(パック)=hobs(ホッブ)、hobgoblins(ホブゴブリン)
ホブゴブリンの別称でもあり、ロビン・グッドフェローともいいます。いたずら
好きで、家に住む守護妖精でもあり、馬の姿をすること好みます。
パックはいたずら好きな妖精ですが、それほどひどい悪ふざけはせず、基
本的には人間好きで、人間に対して親切です。ですが、別称のホッブやホッ
ブゴブリンとして語られている場合は、ブラウニーよりも悪ふざけが好きにな
ります。逆にからかわれたり、怒らせたりするとボガードに変わってしまいます。
ハートプール近くのランズィック湾にあるホッブ穴に、ホッブが一人住んでい
て、このホッブは、百目ぜきを治すのを特技としていた。百目ぜきにかかりひ
どく苦しむ子供の親は、その子を洞穴へ連れて行き、穴に向かって、こう囁く
とよかった。
「ホッブ穴のホッブさん、ホッブ穴のホッブさん!
うちの子がかかった百目ぜき、
持って行っておくれ、持って行っておくれ!」
そうすると、子供は見違えるように快復したという。
またブラウニーのような逸話も残っています。
ヨークシャーのリースに近いスターフィット邸にいついていたホッブは、ミルク
からバターを作ったり、火をおこしたり、ブラウニーがするような仕事を全部して
いた。このホッブが全くの裸でいるので、邸の主婦は可愛そうに思い、マンと
とフードを出しておいた。ホッブは、マントとフードを身につけると、次のように言
ったという。
「ハッ!マントだ、フードだ、
ホッブは、いいことなんかもうしない」
そして、二度と仕事をしに戻ってくることはなかった。
また、ダンビー近くにいたホッブは、置いてあった衣服が気にらず、こう歌っ
たといいます。
「ホッブさまにくれるのが、粗末な麻の服ならば、二度と麦うちに来てやらぬ」。
robin goodfellow(ロビン・グッドフェロー)
有名なホッブゴブリンです。シェイクスピアにパックのニックネームとしてロビン・
グッドフェローを使っているそうです。
「ロビン・グッドフェロー、その悪ふざけと陽気ないたずら」によると、ロビンは半
妖精で、父親は妖精王オベロン、母親は美しい田舎娘になっています。魔法の力
は持っていませんでしたが、想像できる限りのいたずらをやる小悪魔でした。6歳
の時、家の中のいたずらに母親が我慢できないほどでしたので、ロビンは運を求
めて家を飛び出しました。道端で眠っていると、妖精たちが夢の中に現れて話を
しました。眼を覚ますとそれは夢ではなく、そばに金の巻物が置いてあり、ロビンは
オベロンの息子であると書いてありました。オベロンは彼が好きなものに、好きな
時に変身できる力を与えました。この能力は悪い人間をこらしめる時に、そして良い
人間に酬いる為に使うのだ、とオベロンは言い、もしこの能力をよく使うことができ
たなら、自分は父親としてお前を妖精の国へ連れて行こうと言いました。そこで全
てが整い、ロビンはホッブゴブリンとしての生涯をはじめることになります。最後に
彼は妖精の国に連れていかれ、そこで笛吹きの小さな「親指トム」と一緒に、妖精
の輪踊りに加わります。
redcaps(レッドキャップス)
赤帽子はゴブリン族の中でも、最も悪辣な妖精です。激しい戦いや残酷なこと
が起こった場所に出没したり、多くの殺戮が行われたり、尖塔や半ば壊れかか
った城などに好んで住みます。その姿は肩幅の広い年寄りの男で、歯は長くつ
き出し、骨ばった腕と手の先に鷲のつめのような鉤爪を持っています。頭には名
前の元になったさび色の赤帽子を被っていて、この帽子を人間の血でもっと赤く
染めようとします。この赤帽子には、人間の力では太刀打ちできませんが、聖書
の文句を唱えたり十字架をみせたりすることで、怖がらせて追い払うことが出来
ます。十字架が向けられると、気味の悪い叫び声をあげながら掻き消えてしまい
ますが、後に歯を一本残していきます。
逆にスコットランドにグランダリー城に住んでいた赤帽子は、幸運の印だったと
言う逸話も残っています。
seelie court(シーリーコート)
スコットランドでは良い妖精は「シーリーコート」と呼ばれます。シーリーとは、古
代サクソン語で「祝福された」と言う意味です。悪い妖精は「アンシーリー・コート」
と呼ばれ、本当に悪意を持った妖精です(アンシーリー・コートの欄参照)。
良い妖精でも怒らせると危険ですが、普段は人間に対して親切です。貧しい人
を助けたり、穀物を育てたり、親切にすれば必ず恩返しをします。
また、妖精の女王が馬に乗って供のものと一緒に通りかかる時、しばしば女王
は不正を正したり、魔法を正したりします。
アリソン・グロスは悪意のある醜い魔女だったか、若い美貌の騎士に恋し、もし
自分の恋人になってくれたら、あらゆる富を与えてやろうと騎士に約束する。しかし
騎士は立派な人間だったので、そうした悪意ある者を愛することなどできなかった
し、また正直者だったぼで、偽りの約束で魔女をはぐらかすこともできなかった。
「行ってしまえ!醜い魔女よ!」ついに騎士は叫んだ。「例え、お前があらゆる財宝
をくれるとしても、お前のその醜い唇なんかに、口づけなどするものか!」この言葉
を聞くと魔女は、3度めぐって銀の杖で騎士を叩いた。すると騎士は、気味の悪い
虫に変わって、木にからみついてしまった。誰も騎士のことを心配するものはいな
かったが、妹だけは別だった。毎週土曜日の晩になると、虫の姿に変わった兄の
ところへやってきては、銀のたらいで醜い兄の顔を洗い、銀の櫛でその奇妙な蛇
のようにからんでいる髪ををとかしてやった。しかし妹がこうしたことをみんなやった
ところで、騎士の魔法を解くことはできなかった。ついに、あるハローウィンの夜の
こと、妖精の女王を先頭に、馬に乗ったシーリー・コートの一団が通りがかかった。
女王は哀れな虫が、木に巻きついているのを見ると、馬からおり、ヒナギクの咲く
土手に腰をおろし、その哀れな騎士を自分のそばへ来るように手招いた。哀れな
騎士がそっと身体を滑らせて女王の元へやってくると、女王は醜い顔を自分の膝
の上にのせて、三度たたいた。するとたちまち、蛇のような姿はちぢんで消え、立
派な騎士が女王の前に跪いていた。こうして女王が騎士に触れてからは、アリソ
ン・グロスの魔力は、もう効かなかった。
shilph(シルフ)
シルフ(またはシルフェ)は風の精霊で、16世紀の錬金術師パラケルススが、
その「妖精の書」の中で書き残した四大精霊の中の1つです。他に火の精サラマ
ンダー、地の精ノーム、水の精ウンディーネがあります。
四大精霊は人間に良く似ておりますが、知性はありますが、動物と同様で魂が
ありません。しかし、人間と恋をして結ばれれば魂が宿り、不死になりますので、
人間とのロマンスの逸話が数多くあります。その分、嫉妬の念も強く、裏切られ
れば、魔力を使って仕返しをすることもありますが、それ以外に人間に危害を加え
ることはありません。また、人間と四大精霊の間に生まれた子供は、賢く、美しく
なると言われています。
さて、シルフは、ラテン語の「sylvaー森、樹木」とギリシア語の「nymph」の合成
語から生まれたもので、森の精、または木の精の意味です。木々のこずえを鳴らし
て吹き渡る風のイメージから、名前をとったと言われています。異名であるシルベス
トル(sylvestre)は「森の者」という直接的な名称です。
シルフは大変美しい女の姿をしており、その為にシルフィード「sylphid」と女性名
詞形で呼ばれることもあります。
shock(ショック)
関係ありませんが、仮面ライダーの敵が「ショッカー(ショックを与える者??^^)」
でしたね。妖精のショックは、イングランド東部のサフォークのボギービーストです。
ショックは、人間に恐怖や危害を加えたりします(やっぱり、ショッカー?−−)。
また、葬式の時に幽霊の姿をして現れたりするそうです。
グッドマン・ケンプという、ウッドブリッジの田舎から出てきた男が、ある冬の暗い
夜に、メルトンにある「馬と馬丁」という名の宿屋に飛び込んでくるなり、「鉄砲を貸し
てくれ、ショックを撃つんだから。奴は通行料金取引所の門にぶら下がってるんだ」
と言った。ショックの頭はロバと同じ、膚はすべすべしたビロードのようだ、とケンプ
は言う。その宿に居合わせた客たちは、みんなその獣を見ようと、ケンプと一緒に
外に出た。するとケンプは大胆になって、ショックを捕まえて、どんな様子をしている
かよく見ようと、灯りの下へ引きずり込もうとした。だがショックは向きを変えるなり、
ケンプの手に一生消えない噛み傷を残すと、消えてしまった。
silky(シルキー)
ブラウニーは殆どが男の妖精ですが、ただ一人女性で、メグ・ムラッホ(毛だらけの
メグ)が知られています。このメグ・ムラッホは昔、タロッホゴーンのグラント家に憑い
ていたと言われます。
ノーサンバーランドのシルキーは、ブラウニーにその振る舞いがそっくりであり、シル
キーは女性です。シルキーはさらさらと衣擦れの音がする白い絹を着t、家事のことな
ら何でもやるので、怠け者の召使いには恐ろしい存在でした。シルキーは一般には
「ヒルトンの血無し少年」のような亡霊の一種とも考えられています。
spriggans(スプリガン)
スプリガンは、コーンウォール地方のボギーです。妖精の中でも最も醜いとされ
凶暴ですが、妖精たちのボディーガード役です。もし誰かが、妖精たちに無礼なこ
とをしたり、妖精を捕まえて盗もうとでもしたなら、スプリガンはすぐさま姿を現し、
妖精の守護防御のために努めます。コーンウォールの人々によれば、スプリガン
はこの地方に初めて侵入してきたブリトン人に殺された、昔の巨人の亡霊とされ
ています。普段は小さいので亡霊というのはおかしく聞こえますが、戦いに出て
行く時には、その身体が大きく膨れます。
「東の原の妖精たち」の物語には、年寄りの笛吹き妖精を、大声で侮辱した盗
賊に、復讐のために現れるスプリガンが登場しますが、その身体は物語が進む
につれて、次第に多きく恐ろしくなっていきます。
succubus(サキュバス)
インキュバスの欄を参照。
女性の夢魔のことです。
torows(トロー)
シェトランド諸島に伝わるトローは、スカンジナビアのトロールと似ていますが、他
のトローは他の妖精と同じく大の音楽好きです。
シェトランド諸島のトローは、人間よりも小さく、いたずら妖精です。また、トロール
と同じように、太陽の光にあたると石に変わってしまいます。その為、昼の間は、人
間を非常に怖がります。また、トローには男しかいない為、クナル・トロー(トローの王
様)は、人間の女を攫ってきて妻にします。ですが、トローの子供が生まれると、母親
はすぐに死んでしまい、またクナル・トローも息子(男しか生まれないため)が一人前
になると、死にます。
他の地域のトローは、やはり人間より小さいのですが、男女おり、灰色の服を着て
います。ですがやはり、人間を怖がり、男性のトローは人間を見ると、後ろ向きに歩い
て人間の「目」から自分たちを守ります。その為、トローの「話し声」を聞くのは幸運の
印ですが、トローを「見る」のは不幸の印と考えられています。
人間もトローお互いを恐れていますが、トローに気に入られた人間は、逆にトローに
大して親切になると伝承されています。
ブルーニと呼ばれる特別なトローがいたが、このブルーニーは小さな村で、農場の
世話をしていた。人々は夜になるとブルーニーが、畑から畑へと飛び回り、行く先々で
幸運と豊作をもたすのをよく見かけた。村の女たちは、薄い灰色の布切れをまとっただ
けで、冷たい風の中を飛び続けるブルーニーを哀れに思って、外套と頭巾を作ってやっ
た。しかしブルーニーは、他のブルーニーと同じように、この好意を侮辱と受け取って憤
慨してしまった。そしてそこの村には、二度と姿を現さなかった。小さなトローは人間に
どちらかといえば親しみやすいように見えたので、人々はこの奇妙な姿と不思議な行動
から、トローを必要以上に怖がった。