真実は時の娘2


4 知り合いの父が亡くなった。
  私の家とどんな繋がりがあるのかは、しらない。
  そういえば、その家の長女が・・・・・
  そして、なくなった人の祖父の友達だったという、女性にも何か・・
  よくわからないけど。。。。胸さわぎがする。
  そういえば、直接の死因は心臓発作だそうだけど、肺の中に水がたまっていたそうだ。
  溺れた???でも・・・
  それに、水といえば・・・・何か・・・変なイメージがある。。。
  あ・・・・思考にまとまりがないや。。
  なんだろう?このもやもやは・・・


  翌、月曜日。
  写生大会の始まりに死体発見・・しかも、生徒の父親・・・と云う大事件があったものの、絵だけわ
 完成させろ、と云う学校の信念のもとに、各自で今週中に芸術を完成させると運びになった。
  そんな、わけで、放課後。華穂、馨織、、なぎさ他、おもだった面々が黒宇佐川に居た。
 今日のうちにやってしまえば、後日パラダイスと云うわけだ。
 「まあ、今日中に完成すれば、後わ、あたしの自由だな!・・・ぶつぶつぶつ」
 と華穂が不平満々の表情で云う。
 「あら?たまにわ感性を磨くことも大切よ?」とは、馨織。
 「うるへ〜〜ぶつぶつぶつ。。」
 「・・・・・・・」美風穂は相変わらず物思いに沈んでいる。
 全員、そのことには気づいていたが、あえて励ましたり、口に出したりはしない。
 藪から蛇であるし、今はその話題は避けた方が良いと誰もが思っていたからである。
 「あれ?先客がいるよ?」
 川原の人影に気づいたのは宇宙が一番早かった。
 「そりゃ、いるだろ?あたし達と同じ考えの奴らなんて、たくさん・・・あ〜こんなことしてる間に、練習を・・」
 と、華穂。部活に出れないのが不満なのかいささか刺がある。
 バスケ部のウインターカップ予選が近いのである。
 殆どの場合、3年が夏のインターハイ(若しくは、っていうかほぼ予選敗退)で抜けて、新人戦と云う 意味合いが強い。
  人影の方に歩いていると、「あれ?龍男君?」と美風穂がその人影に声をかけた。
 同じ、黒宇佐学園の生徒であるが、他の面子は顔をちょっち知ってる位で話したことはない。宇宙を除いては。
 と、云うのも、神堂龍男は依羅冬の友達であったらしい、神堂トラの孫である。
 「ん???あ?! お前も、写生の続き?」と美風穂の言葉に宇宙も龍男だと云うことに気づいて聞く。
 「おろ?こんちゃー。 ん〜・・・まあ・・・そんなような違うな・・・」
 と龍男は今一つはっきりしない。
 「何だ?歯切れ悪いなー?」と宇宙。
 「ん〜〜。」と龍男はと暫く、川の方に目を走らせてから、「この川さ・・・・・何となく・・・」
 「????」と一同。
 「あ、何でもないない。絵描きに来たんだろ?まあ、世間は狭いつうわけで、一所にかこー」
 と、何かをふっきたように、龍男が話しをそらした。
 (むむむ?こいつも川に何か因縁が??)と華穂が思った位だから、全員思ったことだろうが、兎にも角にも
 一同、芸術に思いを走らせることにった。

  それぞれ、思いのままに、って云うかピクニック気分で絵を描いていると、
 「おや?こんな所で何してるんだい?」と声を掛ける者が会った。
 振り向くと、例の警部補他、刑事2名である。”例の”とは、華穂達の取り調べをした人物だからだ。
 「あ、君達は第一発見者の方々か・・・」
 「そう云うあなたは、刑事さん。此処で会ったのも運命のい・た・ず・ら・・・カツどん奢って〜・・いてっ」
 「俺達は取り調べを受ける容疑者か?!」
 すぐ悪ノリする華穂に脳天チョップを食らわしつつ、なぎさが警部補の方に向き直る。
 「こないだの騒ぎで、写生大会が有耶無耶になってしまったんで、その後始末です。刑事さんこそ何で?」
 「ん・・まあ、現場検証の続きと、解剖の結果死因が分かった。」
 「分かったんですか?って、心臓発作だったんでしょ?!」
 勢い聞いたのは当然美風穂だ。
 「あ、ガイシャのお子さんか・・失礼」ついガイシャ等と言う言葉を発してしまったことについての詫びだ。
 「君のお父さんの死因は窒息死だ。首を絞められた、とかじゃない。肺に水が溜まっていた。溺れたか・・・何かだな」
 「そんな!」と美風穂は声がない。
 「でも、おかしいじゃないですか?衣類は濡れたり乱れたりしてなかったし・・・・何処か別の場所で殺されて、ここに
  連れて来られたとでも?」と宇宙。
 「それを調べる為に、現場に来たわけだ。」
 「と、云うことわ、あたし達は邪魔ってわけね。」
 本音ではあるが、そんな現場に美風穂を居合わせたくないと云う、華穂なりの気遣った発言である。
 それを察知してか、警部補は「まあ、そんなとこだ」と微笑んだ。
 そんなこんなで、芸術的創造は明日へと持ち越された。
 「はふ!インターハイへの道が10km遠のく〜」
 当然、華穂の発言である。

5.うちの死んだばあちゃんの友達の息子が亡くなった。
  死因は窒息死だそうだ。
  水・・・・・・溺れたら、きっと、あの夢みたいなんだろうな。。。
  こんな夢、見るのは僕だけなんだろうか?
  他の人も見るのかな?
  まあ、高いところから落ちる夢とか、色々見る人は居るだろうけど・・
  こうも頻繁だと嫌になる。。。
  関係ないけど、おやじは、何で母親の姓なんだろう?
  じいちゃんって婿養子だったのだろうか?
  そう云えば、じいちゃんの面影って全然無い。

   川原を追い出された形になった華穂達一行は何とは無しに、大西風家の方を通って帰ることになった。
  後から考えれば、別のとこで芸術に華を咲かせても良かったのだが、誰もそんなことは思いつかなかったのが
  不思議だ。
   大西風家の門の前を通りかかった時、丁度中から20歳前後の青年が出てくる所だった。
  何か細長いバッグを担いでいる。朱華の兄、華一である。
  一行に気づいて挨拶する。
  「こんにちは」
  通常なら、一行の方が先に気づくのが普通なのだが・・・・。全員心此処に在らずって感じだろうか。
  「こんちゃー」「こんにちは」「ぐうてんもるげん」と、それぞれに挨拶を返す。
  「何だよ?ぐうてんもるげんって?」となぎさが、華穂に聞く。
  「何となく・・・・」
  「ゴルフですか?」と華一が担いでいるバッグに気づいた宇宙が聞いた。
  「いや。狩猟。趣味なんだ。この近くに良い猟場があってね。先週から解禁されたんだ。」
  「狩猟?!」なぎさが、目に星を煌かせて聞いた。一緒に行きたいよ〜と全身からオーラが漂っている。
  それに気づいて「来るかい?でも、危ないから、僕の指示に従ってついていて来てね。」とにっこり笑いながら
  華一が云った。

   猟場は、廃神社を中心とした林だった。当然、大西風家から、そう遠くはない。
  崖の眼下には黒宇佐川が広がって居る。
  「何でお前らまで来るんだよ?」なぎさが口を三角に突き出して、全員に聞いた。
  結局、みんな付いて来たのである。
  「まあまあ、世は道連れ、呉越同舟って云うだろ?」華穂がのほほんと答える。
  「華穂・・・・中間テスト大丈夫だった?」流石に馨織が呆れて、云った。
  「あ・・あんまり、端に行かないで、こないだの雨で少し、崖が崩れてるから、
   今も少し危ない」と華一が注意した。
  「はいさ!。そう云えば、わんちゃんは?」と返事をしてから、なぎさが問うた。
  なぎさも高校を卒業したら、猟銃の免許を取ろうと思っているのだ。
  散弾は20歳にならないと取れないが、狩猟用の空気銃であれば、18で取れる。
  「いない」相変わらずにこやかに答える、華一。
  「どうやって、猟を?」
  「まあ、見てて」
  と云うと、みんなに少し離れるように行ってから、川の方に向けて一回発砲した。
  すると、音に驚いた鳥達が飛び立つ。今度はそれを撃つと言う手段だ。
  少し、邪道であるが、華一の腕は確かだった。
  どちらかと云うと猟を楽しむと言うより、射撃を楽しんでいる、と云った感じだ。
  忽ち、何羽かの鳥が犠牲になる。
  「♪」となぎさが感嘆の口笛を吹いた。

   華一の云う通り、雨で地盤が脆くなって居たようだ、崖際に生えていた木が音の
  性かどうかは分からないが、崩れおちた。
  「わ、危ない」と馨織が悲鳴を上げた。
  「すげーな」と華穂。
  「如何いう神経構造してるのよ?」と馨織がジト目で華穂を見た。
  「やっぱり、地盤がゆるくなってたか、今日はこの辺でやめといた方がいいかな」
  と華一が云ったので、帰ることにしたのだが、
  「ん?何かあるぜ?」と、木の崩れ落ちたとこを見ていた華穂が目ざとくみょうちきりんな
  物を発見した。
  「もしかして・・・・埋蔵金!」るんるんと、そばに近づいて「がーん」と悲鳴を上げる。
  いや、がーんが悲鳴なのかどうかは別として。
  「何だ?がーんって?」となぎさが笑いをこらえながら、背後から近づいた。
  「あれって、しゃれこうべって奴じゃない?」
  しゃれこうべと云う所が華穂らしいが、確かに、木の抜け落ちた地面から覗いていたのは、
  人間の頭蓋骨であった。それも、可也古いものであるように見える。



6.変死事件に続いて、今度は頭蓋骨と来た。
  しかも、骨は、”あの”神社でひょっこりと出てきた。
  誰のだろう?もしかしたら・・・・・・
  そういえば、今日は神社に烏が居なかった。
  いつもは、何か監視されてるようで、嫌なあと思っていたのだけど。
  なんで、普段はこの神社って、不気味嫌ーな雰囲気が流れてる。
  でも、何故かここに来てしまう。
  小学生の肝試しみたいな好奇心か?
  肝試かあ・・・・・・僕は何を試したいのか?

工事中


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