有終の美(01.07.22)
ギターの練習を兼ねて、孟庭葦の「弟弟」を聴いている。それにしてもいい曲だなあ。
これを最後に音楽活動を停止すると決めたあとに作ったアルバムというのは、いったいどんな気持ちだったのだろう。
このアルバムを手にしたときは、そんな事情など知らなかったものだから(−もし、ぼくが中国語が堪能だったら、ブックレットに寄せている彼女の文で、そのことに感づいたかもしれないが−)、ごく単純に素晴らしい出来に喜んだものだった。でも、それはそれで良かったのかもしれない。
柔らかなボーカルに、有終の美を飾ろうなどという気負いや重苦しさは感じられない。
その穏やかな佇まいは、今言ったことと矛盾するようだけど、最後を飾るにふさわしく美しい。
有終の美といって思い出すのは、もうひとつ。The Beatles の Abbey Roadである。「最後にもう一枚、アルバムを作りたい、なんて言って来るとは思わなかった。」とGeorge Martin(Producer)が回想するように、その頃の4人はいつ解散してもおかしくないくらいばらばらだったようだ。
なのにあのアルバムである。恐るべき才能である。
全体に漂うメローなトーンは解散後のGeorge Harrisonの個性が反映されているし、Ringo Starrの唯一のドラム・ソロまである。まさに、有終の美ではないか。
ちなみに、ぼくは後期のRingo Starrのドラムが好きである。Jim Keltner, Levon Helmと並び、密かに3大すっとこどっこい・ドラマーと呼んでいる。
もっといろんな人を挙げようと思ったけど、意外に思いつかない。
いつの間にか、アルバムを出さなくなり、消息を聞かなくなった人がやはり多いのである。

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