++文章修行家さんに40の短文描写お題2++


                                    ≫≫≫ 配布元:文章修行家さんに40の短文描写お題



 01. 告白

 「出来たぞ中尉。完璧だ、完璧な…」
 駆け付けた彼の家は長く空家だったかのように寂れ
 部屋には朝の白い光だけが満ちていた。



 02. 

 「愛してるよ、ソラリス」
 「もう一度」
 「愛してる」
 私は微笑って可愛いジャンの唇を撫でた。
 もうすぐ私を「化け物」と呼ぶだろう唇を。



 03. 卒業

 「なあ、この樹の下にさあ」
 「何かを埋めようなんて言うなよ」
 「あれ、何で分かったの」
 分からいでか。



 04. 

 訪う者は楽しいばかり、訪われた者は寂しくなる。
 きっとそんなことさえ、あいつは知らない。



 05. 学ぶ

 ここで覚えたのは  人の殺し方とロイの起こしかた。



 06. 電車

 「兄さん、路線図見てまで錬成陣のこと考えるの止してよ」



 07. ペット

 「グレイシアの猫が寄ってきてくんないんだよな」
 「そうか」
 「俺の目ってまだ怖え?」
 ロイは答えず、ただ苦笑してグラスを空けた。



 08. 

 かけてない眼鏡をずり上げようとする癖だけは
 ほんの少しかわいいと認めざるを得ない。



 09. おとな

 等価交換なんてものを信じてるの?
 本当に子供ね。



 10. 食事

 「飯か本か、どっちかにしろ!」
 「じゃあ本」
 「本は冷めねえだろ」
 「冷める」



 11. 

 「はあ?」
 「冷める」
 ヒューズは無言で俺から本を取り上げて、自分のネクタイを片手で外し
 栞代わりに挿してパタンと閉じた。
 「保温」



 12. 

  扉の前に座ってたアルの夢を見るとさ
 なんだか目の前のアルに悪い気がすんだよね。



 13. 女と女

 「今度は男に産まれて来るわ」
 「どうしてですか?」
 「あの人と仲の良すぎる親友になるの」
 「あら、名案です」
 「ご一緒にいかが?」



 14. 手紙

 「100通めでプロポーズする訳よ」
 「訃報にならなきゃいいがな」



 15. 信仰

 すべての神を焼き滅ぼす戦争という名の宗教。



 16. 遊び

 開戦、停戦。
 シーツのなかで繰り返す二人きりの和平条約。



 17. 初体験

 もし私が女なら、こんな無様で情けない姿を
 いちばん好きな相手に晒すなど真っ平御免だ。
 お前みたいなどうでもいい奴ならまだしも。



 18. 仕事

 もっとニコニコ元気よくお願いしますよ。
 戦場は貴方が選んだ職場でしょう?



 19. 化粧

  おそるおそる付けていった口紅に
 「おっ、誰か好きな奴でも出来たか?」なんて
 そんなのできる暇も下さらない癖に。



 20. 怒り

 俺は怒るとわめき散らすけど
 アルはマジで怒ると無表情になるわけ。
 勿論どっちが怖いかは…分かるよな?



 21. 神秘

 俺達が何を錬成できたって
 絶対母さんにはかなわない。



 22. 

 戦果を上げれば上げるほどくだらん噂を流される。
 全く辛えな、未来の大総統閣下?



 23. 彼と彼女

 「今度の誕生日は何が欲しい?お嬢様」
 「ロイ!」
 「残念ながら在庫がない」



 24. 悲しみ

 戦場で何度も死に損なった男が
 どうしてこんな電話ボックスで。



 25. 

 私は彼女より完璧なお前を作れる。
 これさえあれば。
 「物騒なこと考えてんだろ」
 困った笑みと私の濡れた唇を拭う長い指。



 26. 

 「お前が不死で良かった。気が済むまで何度でも殺せる」
 そう言って笑う焔の大佐のツラ、オレは初めて悪くないと思ったね。



 27. 芝居

 くだらん芝居はやめてさっさと起きろ。
 この三文役者。



 28. 

 お前は服を着れば着るほど
 身体の線が透けてみえる。



 29. 感謝

  ブレダが送ってきた写真の隅に
  まだ残されている俺の机。



 30. イベント

 命日なんてイベント、私には当分縁が無いと思ってたわ。



 31. やわらかさ

 「私はもう大人よ」
 白い細い手が私の手を攫って、その柔らかな胸へ押し付けた。
 「……こんなことをするのは子供だぞ」



 32. 痛み

 私が全てを成し終えたら
 どうか今まで放っただけの弾丸をこの身に



 33. 好き

 そんなに好きだと言うなら、もう二度と口に出すな。
 確かにそう告げたのは私だったが。



 34. 今昔(いまむかし)

 ここは昔、錬金術に守られた美しい国だったよ。
 でもその錬金術で滅んでしまった。
 ほら、その崩れた柱の向こうが、士官学校の跡。



 35. 渇き

 あの砂漠のように干上がった
 水を吸わない私の背中。



 36. 浪漫

 もし手足を取り戻したって
 俺はずーっとお前に直して欲しいんだよ、いろいろ!



 37. 季節

 嫌いなのは冬かな。
 鎧なのに苦手な季節があるなんて可笑しい?



 38. 別れ

 言葉も交さず別々に門を出た。
 この先で必ず再び会えるから。



 39. 

 大欲に身を喰わすなど易イ
 オマエがオレの為に払った代償に比べれバ



 40. 贈り物

 「後ろめたいことがある奴ほど物を贈りたがると言うな」
 「わざわざ中央から手土産持ってきた俺に言う台詞かよ」





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