++文章修行家さんに40の短文描写お題++


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 00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

 ヒナです。シェルターです。65文字って少ないなあ〜。



 01. 告白  【ヒューズ/ロイ】 

 瞼に触れる。
 頬に触れる。
 首筋に。髪に、唇に。
 その指先の熱が、唯一の告白。



 02.   【ヒューズ】

 「俺、弱虫だしこんなの使えねえのよ、実際」
 そう言いながら刃物を研ぐ男の唇は微かに笑っていて
 弱い奴ほどよく殺すのを知っている。



 03. 卒業  【ブレダ】

 本当に紙一重で卒業できた男が
 黄色い髪を揺らして飛び跳ね
 卒業証書を広げて俺に向かって走ってきたとき
 不覚にも泣けた。



 04.   【アル】

 元へ戻りたくて先へ進む。
 メビウスの輪が千切れていないように祈りながら。



 05. 学ぶ  【エド】

 もし親父がずっと家にいたら?
 きっと錬金術はやってねえな。



 06. 電車  【ヒューズ】

 予定を早めて夜行に飛び乗る。
 朝が弱いお前の寝惚けた顔と、まだ暖かいベッドが目当て。



 07. ペット  【フュリー】

 中尉は本当は猫派らしい。
 「有能で働き者な猫がいたらいいんだけど」
 深い溜息にも、机に突っ伏している大佐の寝息は止まない。



 08.   【ロイ】

 癖なんて無いと嘯く男の
 人に言えないような癖ばかり幾らでも思い付く。



 09. おとな  【ロイ】

 キスの最中に、はじめて笑えたとき。



 10. 食事  【アル】

 なるほど、道理で。
 兄さんのだらしない寝顏見てると、胸だかお腹だかが一杯になるよ。



 11.   【ヒューズ】

  最高の友にして最大の恋敵。



 12.   【ロイ】

  夢のなかのヒューズは、二割り増しにいい男で
 三割り増しに酷いことをする。



 13. 女と女  【エリシア/リザ】

 「女なんて損」
 「…と仰る方は、男になっても男は損だと仰います」
 「手厳しいわね」
 「恋敵ですから」
 花のような笑い声と首を傾げる渦中の男。



 14. 手紙  【ハボック】

 遠く離れて喫う煙草の白い煙。
 そのひとすじひとすじが届かない手紙。



 15. 信仰  【キンブリー】

 「貴方がたの神は残酷ですね」
 倒れた兄の背を踏んで、冷たい目の男が唇を舐める。
 「私も信仰したくなってきました」



 16. 遊び  【ロイ】

 ベッドに寝転んで「遊ぼう」と笑う新郎。
 一生誘えなくなるような冷たい拒絶の言葉はないか。
 それとも自己嫌悪に陥らずにすむ程度の受諾。



 17. 初体験  【リン】

 革靴なんか食うのはハジメテだと笑う皇子さまは
 お前の死体を食ってでも生き延びルって目をした。



 18. 仕事  【シェスカ】

 あの人は決して「早く」と言いませんでした。
 私ができるだけ早くするのを知っていたから。



 19. 化粧  【ランファン】

  貴方のために流す血が、私の



 20. 怒り  【ロイ】

 「赦してやれ」
 悪罵を叩きつけられたとき、ヒューズはいつも私の耳を塞いで言った。
 「そして絶対に忘れるな」



 21. 神秘  【ロイ】

 その指先からほとばしる蒼い錬成光よりも
 ベッドから落ちずに器用に一周する寝相のほうがずっと不思議。



 22.   【ブレダ】

 「私について何か聞いているか」
 俺は敬礼し「悪い噂は少々」と答えた。新しい上官殿は愉しげに笑った。
 「いい噂なんぞ流されたら私も終わりだ」



 23. 彼と彼女  【ブロッシュ】

 僕のお嫁さんになってください。
 頼り無いなら、僕がお嫁さんでもいいです。



 24. 悲しみ  【グレイシア】

 いちばん悲しいのは私だけれど、
 いちばん辛いのは私じゃないの。



 25.   【ヒューズ】

 寝息、鼓動、体温。
 このちいさな奇蹟の為に、何度でも死ねる。



 26.   【グリード】

 この世にありえねえことが一つあるとしたら
 殺しても死なねえ俺のために
 死んでく奴がいるってこった。
 逃げとけ、馬ァ鹿。



 27. 芝居  【ブラッドレイ】

 私が芝居をしているというのかね。
 筋立てを考えているだけ、君よりマシだと思うのだが。



 28.   【真理くん】

 魂も記憶も抜けた空っぽな体で
 何をそんなに待ってるのさ。
 …まあ、俺も似たようなものだけどね。



 29. 感謝  【リザ】

  「君のおかげで好きなように走れた」
 くたびれた鞣革みたいに、皺深い手をとって私は笑った。
 「貴方のおかげで酷い人生でした」



 30. イベント  【ヒューズ】

 あいつが来るといつも晴れた。
 演習も、視察も、戦場ですら。
 だからって葬式まで。



 31. やわらかさ  【ロイ】

 その頬のやわらかさは見れば判るが
 頬の裏の甘さはだれも知らない。



 32. 痛み  【ラスト】

 ほんの少し急所を外したのよ、なんて
 言ってもきっと、信じてもらえないけれど。



 33. 好き  【エリシア】

 「何よりも好き」って言えるほど
 なんにも知らない自分が歯痒いわ。



 34. 今昔(いまむかし)   【ノックス】

 「相変わらずだな、お前らは」
 失言に気付いて肩を竦める鑑定医へ、バックミラー越しに微笑む。
 仰るとおり相変わらずです。



 35. 渇き  【ロイ】

 水筒に残る水をありったけ
 灰の積もった頭の上から掛けると
 乾いた唇を濡らす雫をひと舐めして
 お前はなるべく忘れてしまうために目を閉じる。



 36. 浪漫  【ウィンリィ】

 そりゃ医者にも憧れたけど
 機械鎧をつけてやろうっていう奴の
 強くて揺るがない目が好きなの。



 37. 季節  【ピナコ】

 巡るたびに此処も寂しくなってくなんて
 年寄り臭いこと言うようになっちゃお終いだね。



 38. 別れ  【ホーエンハイム】

 故郷に別れを。
 優しい隣人に別れを。
 愛する妻の墓標に別れを。
 己に似てきた息子に別れを。

 そしてようやく手に入るたった一つの望み。



 39.   【ヒューズ】

 お前と家族だけいればいいのに
 どうして欲張りだとか言われんの?
 っ、痛えから、本投げんなって!



 40. 贈り物  【ロイ】

 服従という名の銀の枷を
 嬉々として受け取る狗の列のなかの私。





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