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●ストーリー
春秋時代の覇者といわれた晋の文公:重耳の一生を描いたもの。
「春秋五覇」とは春秋時代に勢力の衰えた周王にかわって中原に威光と秩序をもたらした五人の覇者のこと。誰が五覇なのか諸説があるが、斉の桓公、秦の穆公、宋の譲公、楚の荘公、呉王扶差、越王勾銭、などがあげられる。
晋の献公の次子として生まれ、将来太子申生のよき補佐役として晋軍を率いるであろうといわれて期待された青年時代。しかし一転して年老いた献公に排斥され、父から暗殺者まで送られて、流亡と貧困の生活を送った時代。そして父献公亡き後、混乱する晋を収めるために君主として立ち、わずかの間に国内を整備して軍備を整えて強大な「楚」を破り、覇者となった晩年、その波瀾万丈としか言いようがない一生を描く。
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●感想
作者の重耳への強い思い入れが感じられます。宮城谷さんは後の作品でも重耳を高く評価していますね。重耳と家臣が度重なる苦難を乗り越える姿をとても活き活きと描かれていて非常に面白かった。
私は元々春秋時代にも興味があって、陳瞬臣「十八史略」を読んだりしていたが、この本が急速に興味を深めるきっかけとなりました。以後、「史記」、「左氏春秋」「国語」などの本を購入して熱中することになりました。
中国の春秋時代に触れるのには最適な本のひとつだと思います。また、私にとっては宮城谷さんに熱中するきっかけとなった本であり、宮城谷作品の中でもっともお気に入りの作品です。おすすめです。
※画像は文庫版のもの。私が所有するもはハードカバー版。 |
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