1999年(平成11年)の全島闘牛大会

開催年 開催日
場  所
優勝旗争奪戦 栄光のチャンピオン牛
平成
11年

1999
 72
 春の
 全島大会
 5月10日
 
 具志川市営
 安慶名
 闘牛場

春の全島大会
昆布ヒーゲーが防衛(2度目)

横綱戦
 ○昆布ヒーゲー 1分00秒 仲西トガイー●


にらみ合いの後、勝負は一瞬にして決まった。
左が昆布ヒーゲー。

チャンピオンよりも強いのでは、といわれ、前評判が
高かった戦闘大力に圧勝した昆布ヒーゲーの評価は
急上昇となった。このため、2度目の防衛戦の相手は
なかなか浮上してこない状況が続いた。そんな中で
ようやく挑戦牛に決まったのが仲西トガイー。
トガイーはここまで戦績が11勝2敗と挑戦牛として
まずまずの水準だったが、地味な取り口のため、
実力に比してそれほど人気はなかった。
ただ、直前まで7連勝しており、勢いを生かして長期戦に
持ち込めば・・・・・という期待はあった。
しかし、いざ対戦が決まって見ると、闘牛ファンの予想は
圧倒的にヒーゲー優勢となった。

下馬評は見事に的中。
しばしのにらみ合い(写真上)があったかと思うや、

チャンピオン昆布ヒーゲーの目にも留まらぬ"腹取り"
が炸裂し、瞬時に勝負が決した。
この間わずか1分。トガイーは激しく柵にたたき付けられ、
その後脱兎のごとく敗走となった。
観客があぜんとする中、ヒーゲーが悠然と横綱のガウン
を身に付けはじめた。涼しい顔で何事もなかったかのように。
ヒーゲーはこれで12連勝、どこまで防衛回数を伸ばすか
が焦点となった。



2回目の防衛を果たした昆布ヒーゲー。
左は牛主の佐久原好助さん。
 73
 秋の
 全島大会
 11月14日

 沖縄市営
 闘牛場

秋の全島大会
横綱戦、劇的な結末
代役の狼は戦意喪失

●狼

3回目の防衛戦には新風グラマンが選ばれた。
元横綱の東昇神龍が5月の全島で狼に敗れた時点で
ヒーゲーとの好カードの一枚が消えた。勝った狼は
ヒーゲーと同牛舎。当然対戦はない、八方ふさがり状態の
中で、ようやく上がって来たのがグラマンだった。
グラマンは1100kgを超える巨漢だが、キャリア(3勝1敗)
が少なく、戦力についてはまだ評価が固まっていなかった。
春に続き、今回もヒーゲー断然の情勢となった。

3回目の防衛は堅いと思われていたが、直前になって、
なんと、なんと意外な展開となった。

ヒーゲーが体調(下痢)を崩したのだ。それも
大会のプログラムが刷り上った後、大会の3日前
だった。牛主の佐久原さんは、おそらく天を仰いでため息
をついたと思われる。最強ヒーゲーといえど、当日までに
体調が回復する見通しはなく、ここは休場するしかない、
佐久原さんは急遽決断した。しかし、その時点ではほかの
どんな牛も出る準備がなく、不戦勝も取りざたされたが、
闘牛ファンのためにも何とかしなければとの努力が実り、
大関格だった狼の代役出場を牛主の佐久原さんが
了承した。こういう入れ替わりは出場準備の問題が
あり、通常ではとてもできることではない。
準備が不足の狼が果たして立派に戦えるかどうか、
不安があった。しかし、大関格として認知されている
以上その底力に期待しようということになったようだ。

だが、不安が現実のものとなった

ヒーゲーに次ぐ実力を持つとの評判だった狼が、
対戦開始後、戦意不十分であとずさりを始めたのだ。
予想外の展開に場内が大きくどよめいたが、
鼻綱を付け直して、ようやく戦いが白熱した。
これで一応気を取り直した狼だったが、その押しは
ことごとくグラマンに封じられた。
グラマン、これですっかり自信を持ったようで、
次第にグラマンの動きが鋭くなり始めた。体重をいかして
ぐいぐいとグラマンが出た。狼はじりじりと後退。
3分余、グラマンの押しがそれほど強烈ではなかった
が、あろうことか、狼が身を翻して突然の敗走となった。
観客が唖然とする中グラマンの勝利が確定した。


狼の押し込みを残す新風グラマン(左)

強運の新風グラマン!
ワンチャンスを見事に生かして新チャンピオンとなった。
牛主の饒辺正光さんは戦いを終えたグラマンのそばに
駆け寄り、その健闘をたたえ、喜びをかみしめていた。


千載一遇のワンチャンスを見事生かし、
沖縄闘牛チャンピオンとなった新風グラマン。