1996年(平成8年)の全島闘牛大会
開催年 | 開催日 場 所 |
優勝旗争奪戦 | 栄光のチャンピオン牛 |
平成 8年 1996 |
66回 春の 全島大会 5月12日 沖縄市営 闘牛場 |
○新垣号 46分22秒 戦闘隼● 95年に徳之島、96年には沖縄の王座を獲得、 した荒岩号は、96年2月にかつての僚友で、 元チャンピオンの平信王(元新和王)を下し、 もはや沖縄には敵なしとなった。 同じ頃、徳之島チャンピオンを返上し、 巨漢佐平一号が四国へ移籍していたが、 荒岩号が四国に移動すれば、両強豪の激突が 実現するのは確実な情勢となっていた。 荒岩は、予想通り沖縄王座を返上、5月に 四国へ渡った。この一大決戦については、また 別の機会で述べることにする。 巨星荒岩が君臨していたために、他の牛は 輝きを失い、空位の王座を争う牛がすぐに 思い浮かばない状況だったが、消去法で 浮上して来たのが新垣号と戦闘隼だった。 新垣号は94年1月から破竹の10連勝を達成 し、評価はかなり上がっていた。戦闘隼は 6戦全勝の新鋭、荒岩をほうふつさせる固い 守りで将来性を嘱望された。 対戦開始と同時に新垣号が突っかけ、 しばらく両牛小ぜりあいとなった。数分後、 戦闘隼のカケが決まり、新垣号の前進が 止まった。隼は圧力を掛けながら、時折押して 出るが、後一歩が出ない。隼のカケが外れると 新垣号はハネ上げて出るが、これも不十分。 この流れで一進一退を繰り返した。両牛、 完全に決め手を欠き、延々40分が経過。 近年まれに見る異常な熱戦となった。 さすがに両牛とも疲れて舌を出したが、 疲労度は隼の方が大きく、隼の腹は大きく波打った。 45分、新垣号、最後の力を振り絞るように出始めた。 ぐうぐい、なおも出ると、隼はこらえきれずに後退。 隼の体勢が崩れ、横を向いた瞬間、新垣号の腹取り が炸裂した。隼ついに敗走。 新垣号、最終場面でもぎ取るような勝利となった。 ![]() 新垣号(右)の押し込みを首もたせでしのぐ戦闘隼 |
![]() 新垣号 八重山産 950kg 93年7月島尻大会でデビュー。 初戦から3連勝し、その年の61回 秋の全島大会に出場(5番戦)を 果たしたが、奮戦むなしく、 伊集スーパーに5分でに敗れた。 翌年の新春島尻大会で白星復活の後 破竹の10連勝。破った主な相手に 大勝号、黒王、エステート号などがいた。 伊集スーパーに負けるまでは、 速攻型で技も荒かったが、敗戦を機に 「守り」が堅くなった。相手の疲れを 待って攻める典型的な持久タイプへ 変身し、大成功を収めた。 沖縄横綱を射止めた時の牛主は 石川の幸地良盛さん。 |
67回 秋の 全島大会 11月10日 具志川 市営 安慶名 闘牛場 |
○新垣号 33分45秒 古堅モータース号● ひと夏を越した新垣号は八重山産らしく、夏バテ もせず体調十分で秋の全島に臨んだ。 荒岩、神風ニーズ、天心赤ハチなどの強豪 すべて沖縄を去り、周りには大型の強敵は不在。 挑戦牛に選ばれたのが、何と900kgあるか ないかの中量級。知名度は抜群、名うての技牛 剛力号だった。戦国時代に突入したとはいえ、 沖縄横綱を中量同士で争うとは。ほとんどの 闘牛ファンが驚いたが、攻め(剛力)と守り (新垣)、対照的な両牛に勝敗予想が混沌。 ファンを二分して前景気は盛上がった。 両牛、対峙するや否や新垣号が突っかけた。 しかし、激しい押し合いとはならず、 お互いに相手の出方を伺い、慎重な動きとなった。 新垣号はぐっと首を下げ、モータースの技を 封殺。モータースは必殺の腹取りを仕掛けよう とワリ、カケで盛んに揺さぶるが、新垣号の 体勢は崩れない。20分経過。モータースの 動きがスピードを増し、新垣号はややほんろう され気味に。しかし、なかなか頭を上げず 耐え抜いた。30分経過。モータースが疲れ、 頭を上げた、その瞬間新垣号がここぞとばかり 一気に押し込んだ。大きくのけぞりながら モータースが敗走し、勝敗が決した。 新垣号はモータースの攻めをしのぎ切り、 見事に初防衛を成し遂げた。 ![]() 敗走する古堅モータース号(左)を追う新垣号。 |
![]() 初防衛を果たした新垣号。 左に優勝旗を持つ幸地良盛さん。 |