1995年(平成7年)の全島闘牛大会

開催年 開催日
場  所
優勝旗争奪戦 栄光のチャンピオン牛
平成
7年

1995
 64
 春の
 全島大会
 5月9日

 具志川市営
 安慶名
 闘牛場

 ○荒岩号 5分20秒 神風ニーズ●
 
  両牛は前年徳之島で無敗対決した。
  徳之島の全島一決定戦だったが、
  事実上の日本一決定戦でもあった。
  16分にわたる大熱戦の末、荒岩号が
  勝利
敗れた神風ニーズは沖縄へ
  移籍した。ニーズは沖縄で調子を取り戻し、
  沖縄の王座を狙う勢いにまで回復した。
  時の沖縄チャンピオンは天心赤ハチ。

  しかし、赤ハチはこの年徳之島で行われた
  全国大会へ参戦し、王座を明け渡した。
  5月の全島大会の横綱戦はいったいどんな
  カードになるのか。ファン注視の中
  あっと驚く荒岩号の沖縄への再トレード。
  まさかの筋書きだった。伏線はあったにせよ、
  こうして宿命のライバルが再び対戦する
  こととなった。

 小雨が降り続く中、対戦開始。
  ニーズ、過去の対戦を記憶していたのか、
 いつもの走って来て勢いよくゴツンと角を
 合わせることがなかった。逆に荒岩は初っ端
 から左角でワリ技を連発。体の動き、切れも
 抜群。両牛、リング中央で卍、巴となって
 激しい押し合いを演じた。2分過ぎ、荒岩が
 得意の首もたせに出て、ニーズに圧力を
 かけた。ニーズ、これを振りほどき、再び
 中央で激しい腹取りの応酬。両牛の動きが
 止まった。ニーズの呼吸は荒岩に比べ、
 振幅が大きく、どうやら疲れが出たか。
 5分過ぎ、荒岩が体勢を替えながら押して
 出ようとした瞬間、いきなりニーズが
 横っ飛び。対戦時間は短いものだったが、
 迫力満点の戦いだった。
 荒岩はニーズに二戦二勝、近年まれに見る
 強豪同士の対決は荒岩の完勝で幕を
 閉じた。この二頭が比類なきライバル関係
 であったことは、荒岩の戦い方に現れている。
 荒岩は、その全対戦の中で、一度も
 ニーズにだけは押し込まれなかった。
 他の牛には必ずといっていいほど、
 押し込みを許し、自身はあまり積極的に
 は攻めなかった。
 ニーズの破壊力、圧力を感知し、序盤から
 どんどん攻めたのはこのニーズに対して
 のみ。荒岩が自ら、これは強いと
 認めた相手、それが神風ニーズだった。



リング中央でがっぷり四つのまま相手を
押し込むチャンスを伺う両牛。
左が荒岩号、右が神風ニーズ。


荒岩号(二代目)
岩手産 1180kg

生後6ヶ月で岩手から沖縄へ。
名門といわれた新和牛舎から
1990年9月にデビュー。
5戦目で全島大会に出場を
果たすなど快調に白星を
積み上げたが、91年12月の
米須花形戦(6戦目)で左角先を
骨折。まだ、若かったせいもあり
6ヶ月の休養で何とか角は修復
されたが、角先を研ぐことは
もはや、できなく
なった。
7戦目は生涯唯一の引分
(仲西
ゴバヌー)となったが、
その後は負け知らず。戦うたびに
強さを増し、連勝を24まで伸ばした。
初場所から不敗で24勝したのは、
荒岩号だけ。徳之島(1994年)
で神風ニーズと、1996年(四国)
には佐平一号と二度の日本一決定
戦を制した。
1997年2月石川イベ
ント広場で史上初の2頭がけ(2頭の
牛を連続で1頭に戦わせる)に成功

するなど数々の金字塔を打ち立て
た。1997年夏から種牛となり、
二世牛を十数頭送り出している。
1999年夏惜しまれながら斃死。




 65
  秋の
 全島大会
 11月12日

 石川
 イベント
 広場
 
○荒岩号 4分40秒 仲村光号●

春(5月)の全島で王座に着いた荒岩は、
徳之島の王座と合わせて初の二冠達成。
秋の挑戦牛には、この年5月荒岩が返上した
徳之島王座を佐平一号と争って敗れた
仲村光号(元日高賢二号)が選ばれた。
徳之島時代対戦がありそうで、なかった
両牛、沖縄の地でくしくも実現となった。
光号がよく攻めた。荒岩は春のデキに
比べ、明らかに調子落ち。光の押し込み
にたじたじとなる場面が二度も。しかし、
光号、後一歩が出ず4分経過。ここから
荒岩のエンジンがかかり、グイと押し込み
に出ると、光号もろくも敗走。
前に出る強い力がありながら、淡白な
性質が災いした光号、徳之島でも沖縄
でも大輪の花を咲かせることは
できなかった。


左からのカケ技で仲村光号(左)の押し込みを
食い止める荒岩号。


仲村光号を下し、沖縄闘牛チャンピオン
の座を防衛した荒岩号