和尚講話集
死のアート
ユダヤ神秘主義・ハシディズムの講話の初邦訳

本体2,520円(税込み)
発売:市民出版社
 

生を理解した者は、死を受け入れ歓迎する。
その人は一瞬一瞬に死んで、一瞬一瞬に蘇る。
過去に対して死に、何度も何度も未来に蘇る。


 

 

死は生を構成する不可欠のものであり、生とは極めて親密な関係にある。
それなしに生はあり得ない。死あっての生、死はその存在基盤だ。
実を言うと、死は再生の過程であり、一瞬一瞬に起こっている。

息を吸う、息を吐く、そのとき生と死が起こる。
吸うときには生が、吐くときには死が。
だからこそ、生まれた子供が最初にするのは息を吸うことなのだ。
それから生が始まる。また老人が死を迎えるとき、最後にするのは息を吐くことだ。

それから生は離れていく。呼気は死、吸気は生、生と死は荷車の両輪のようなもの。
生は呼気にも吸気にも支えられている。
呼気は吸気の一環だ。息を吐き出すのをやめたら息は吸えない。

死ぬことをやめたら生きることはできない。生を理解した者は、死を受け入れ歓迎する。
その人は一瞬一瞬に死んで、一瞬一瞬に蘇る。十字架と復活
が一つの過程として絶えず起こっている。
一瞬一瞬過去に対して死に、何度も何度も未来に蘇る。

(本書より抜粋)

和尚