生の中には、今日でも宝の扉を開けられる鍵がたくさん存在する。
だが不幸なことに、私たちはこの宝のことも、開くかもしれない錠前のことも、何ひとつ知らない。
宝についても錠前についても無知だとしたら、私たちの手に残されているものは鍵とすら呼べない。
それは錠前を開けて、はじめて鍵となる。
かつては、まさにこの鍵が宝を開示したことがあったのかもしれない。
だが今となっては、どの錠前も開けられていないために、
鍵は重荷となってしまった。
それでもどうにか、私たちはまだそれを拾てる気にはなっていない。
その鍵は人閻の無意識的なマインドの中に、ある種の消えがたい芳香を残している。
おそらく何千年も昔、この鍵は確かに錠前を開け、宝は見出された___
無意識のマインドに存在するその記憶ゆえに、私たちは今日まで鍵という重荷を携えている。
どんなに無用だと説得されようとも、鍵を捨て去る勇気は奮い起こせずにいる。
ハートの知られざる片隅には、いつか何らかの錠前が開けら
本書より抜粋
和尚 |