- 10月1日(日)
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- 10月2日(月)
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- 後期の講義期間が始まった。それと、10月に変わった途端にずいぶん涼しくなったので調子が狂っている。
- 10月3日(火)
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- 学生さんとのセミナー中に、ある本を参照したくなったのだけれども、その本は職場ではなく自宅に置いてあったことに気が付いて参照に失敗した。「もう1冊買って職場にも置いておく」という富豪的解決法を考えたくなってくるのだが、残念ながらその本は絶版のためその解決法は実現困難なのであった。ううむ。
- 10月4日(水)
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- 学生さんとのセミナー。自著を輪読のテキストに使っているのだが、今回のセミナー中に記述の不備が新たに発見された。不覚。正誤表を更新しなければならないが、単純なtypoというわけでもないのでどう直したものか思案している。
- 10月5日(木)
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- 2限と3限に講義があったのでその間に急いで昼食を済ませた。2限の講義が少し時間オーバーした影響で食事処が普段より混雑した時間帯になってしまったのだが、完全に自分が講義を延ばしてしまったせいなのでぐうの音も出ない。
- 10月6日(金)
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- 在宅勤務の日。某出版社の方とオンラインで打ち合わせをした。
- 10月7日(土)
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- 週末。なのだが、用事が溜まっているのでほどほどに作業しつつ過ごしていた。
- 10月8日(日)
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- 週末。先日自宅の鍵にトラブルが起きたため点検したのだが、その際に「玄関扉の説明書類が見当たらない」と大慌てしたところ、玄関扉に貼ってあるQRコードを読み込むことで説明書を読めるようになることに気が付いて事なきを得た。ハイテクな時代になったものである。
- 10月9日(月)
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- 10月10日(火)
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- この日の学生セミナーでは、手早く終わるかと思っていた命題の証明が意外と手強くて予想よりも時間が掛かった。というか自分で書いた本なのだから証明がどの程度大変なのかはこちらで正しく把握しているべきなのだが、見通しが甘くて発表者の学生さんに負担を掛けてしまったと反省している。
- 10月11日(水)
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- 将棋の王座戦で挑戦者の藤井聡太七冠が勝ってタイトルを獲得し、八冠制覇を達成した。この対局は私も途中から棋譜中継を追いかけていたのだが、こちらにまで吐き気がしそうなほどの緊迫感が漂っていて、実際に対局しているお二人の感じている重圧はいかばかりかと思うと想像だけで胃が痛みそうだった。
対局の中身はというと、永瀬王座の作戦勝ちで藤井七冠が劣勢のまま早々と一分将棋に突入したのだが、そこから、永瀬王座の攻めも厳しかったはず(←私自身で判断できたわけではなく、中継に付いている検討中の棋士のコメントでも特に緩手との指摘は無かったので)なのだが藤井七冠がとにかく異常なほど間違えずに対応し続け、ついに永瀬王座が勝機を逃す手を指してしまったことから形勢逆転、最後は歩1枚すら余らないピッタリの詰み手順(その前の歩打~飛打~歩成り捨ての教科書に出てきそうな手順といい、こんな死闘がこんな鮮やかな手順で決着するなんて信じられない)に入った局面で永瀬王座が投了、という幕切れであった。この決着を後から要約してしまえば「永瀬王座の悪手による逆転劇」となるのだろうが、リアルタイムで中継を追っていた身としてはそんな表現で済ませてしまうのは畏れ多い。このタイトル戦の前に永瀬王座がインタビューで「人間を辞めないと藤井七冠には勝てない」みたいな発言をしていたように記憶しているが、この対局の藤井七冠は確かに(もちろん普段からとんでもなく強い棋士なのだが、それにも増して)人間離れした凄みを発していたし、その藤井七冠をあそこまで追い詰めた時点で永瀬王座も半分ぐらい人間を辞めていたんじゃないかと感じられた。あの逆転劇については、単なる悪手というよりも、「人間は息継ぎしないまま永遠に潜水し続けることはできない」という自然の摂理を思い起こさせる出来事だったように感じている。
何というか、この日は単に「八冠制覇の大記録の達成」という歴史的な出来事を観たというよりも、もっと得体の知れない、とんでもないものを観てしまったという気持ちである。私は指す方の将棋は決して良い腕前ではないのだが(←経歴が経歴なのでよく勘違いされるのだが、謙遜ではなく事実である)、それでも「この対局の棋譜中継を追えた」程度には将棋を知っている人間でよかったなぁと思う。
- 10月12日(木)
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- 後期の木曜日は講義が2コマの日で、午前中は初等整数論の講義。思うところがあって、今期の講義ではこれまでよりも、定義や定理や証明について、形式的な論理の構成だけでなく(エラそうな表現をすれば)「プロの数学者の感覚や視点」を伝えられるようにと心がけて講義に臨んでいる(成功しているかどうかは定かでないが…)。そうすると自然と(板書の内容に付け加えて)喋る量が増えることになるので、講義時間を超過しないようにするのが大変になっている。頑張ろう。
- 10月13日(金)
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- 妻のご両親が金婚式を迎えられたということで、妻とともにささやかながらお花の贈り物をした。喜んでいただけたようで何よりです。
- 10月14日(土)
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- 週末。このところだいぶ涼しくなっていたにもかかわらず、慣性の法則に従って半袖でずっと過ごしていたのだが、さすがに寒いと感じるようになったので長袖に衣替えをした。
- 10月15日(日)
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- 週末。久々に夕食作りを担当してカレーライスを作った。それでふと気が付いたのだが、現在使っている鍋は以前のものと比べてだいぶ大きく、また料理が焦げ付きにくい(気がする)。この鍋を使うようになってから個人的にカレーライスを作る心理的ハードルが低くなった気がしていて理由が謎だったのだが、以前の鍋のときには「中身が溢れないよう気を付ける」「中身が焦げ付かないよう気を付ける」のにかなり気を付ける必要があったのに比べて現在の鍋ではそんなに気を付けなくてもよくなったので、その分だけ無意識のうちに気楽な心持ちになったからなのかなぁ、と思った。そうだとすると、物事をする上で道具選びは重要なのだなぁ、と感じた次第である。
- 某所の日記の移行作業。2013年3月分について、まずは2013年3月4日の分:
今日から某国際会議なんだけど、某大変な事務書類の〆切が大幅に短縮されたせいで作業を余儀なくされている。表には出にくいけど、参加費払って参加してる国際会議を事務仕事に邪魔されるってのもおカネの無駄遣いだよなぁ。
(どんな書類を書いていたのかはすっかり忘れてしまったが、)研究業界に限らず一般的な話として、物事のコスト評価の際に「効率」の影響が軽んじられる(最悪の場合には、無視される)風潮はもっと改善されてほしいものである。
- ↑次は2013年3月12日の分:
移動中に、Twitterで見た以下の問題に想いを巡らせていた:
実数集合Rの通常の位相で連結な部分集合全体をSとしたとき、Rの位相で「その位相について連結な部分集合全体がSと一致する」ものたちの中でRの通常の位相を何らかの形で特徴付けできるだろうか?
多分解けたのだけど、完全に細部まで精査したわけではないので一度きちんと証明を詰めてみたい。それにしても、位相空間論の考えやすい問題は上質なパズルのように頭を心地よく動かしてくれるものだなぁ、と再確認した次第。
…答えを思い出せない(苦笑)。こういうときは「もう一度新鮮な気持ちで問題を味わうことができる」と前向きに解釈しておくのが手筋である。
- ↑↑次は2013年3月16日の分:
この日は「第3回関西すうがく徒のつどい」初日。私自身は、参加者募集期間中に「会いに行きたい方々もいるけど、時期的に忙しそうだしなぁ、どうしようかなぁ」とうだうだしている間に「人気歌手のコンサートチケットじゃないんだから」とあきれるほどの早さで参加申し込みが定員に達してしまった*1ので不参加だったのだが、こちらのまとめなどを読むとたいへん盛況だったようで喜ばしいことである。
なお、結局私は前日に急遽舞い込んだ書類書きの仕事でこの日と翌日はてんてこまいだったので(なぜ金曜夜に月曜始業時間前〆切の仕事が舞い込むのか、という点はとりあえず不問)、もし参加していたら「会場でPC立ち上げて実況の振りして書類書き」という駄目なオトナの姿を高校生や大学生の皆様に見せる羽目になっていた。そう考えると欠席でよかったのだろうなぁ、と自らに思いこませている。)
*1 私の知る限り、数学業界では研究集会について「事前に参加申し込みをする」という風習があまりなく(合宿形式なら話は別だが)、気になる集会があったらふらっと赴いて参加するという行動が珍しくない(また、それで支障が出るほど部屋が満杯になることもあまりない)ところ、こうして参加定員が設けられた上にそれがすぐに埋まってしまう、という状況自体が良い意味での驚きでもある
「つどい」の盛況ぶりは喜ばしいのだがそれはさておき、「(なぜ金曜夜に月曜始業時間前〆切の仕事が舞い込むのか【後略】)」という部分は何というか…。私の前々職での仕事ぶりについては(もちろん良い職場だったと思っているが、それはそれとして)「とにかく忙しかった」という印象が強く残っている一方で具体的な記憶は実はあんまりないのだが、こうして当時の記録を見返してみると、いやー本当に忙しかったんだなぁと改めて感慨深い(という表現が適切かはわからないが)。
- ↑↑↑次は2013年3月19日の分:
公開鍵暗号に関する某ワークショップで発表。これまでにも何回か各所で発表してその度に「主張が不思議すぎてよくわからない」的な定評を得ている曰くつき(?)の研究成果の紹介だったが、今回は「今までで一番理解できた」といった感想を複数の方からいただけたので発表者冥利に尽きた。
この論文の内容について、当時の所属部署が毎年開催していた公開鍵暗号の安全な構成とその応用ワークショップ((内部での)通称「PKCワークショップ」)というイベントで発表したときのことを指している。PKCワークショップは、主に公開鍵暗号分野について、その年度の主要国際会議(いわゆる三大CRYPTOや、PKC、TCCなど)で国内から発表された研究成果などについて著者に日本語で(←重要)解説してもらう、というコンセプトのイベントであった。中の人々の忙しさが(さらに!)増すにつれて自然消滅的に開催されなくなったのだが、現在は電子情報通信学会のISEC研がWCISという上位互換のイベント(こちらは公開鍵暗号以外にも、共通鍵暗号や、よりreal world寄りの情報セキュリティ分野なども対象としている)を開催しているので、使命を終えたということで安心して休眠状態を続行している。
で、肝心の論文の内容としては、大まかに言うと、まず前提知識として、暗号や情報セキュリティの分野で広く語られる「教訓」として、「情報システムの安全性は、その構成要素のうち最も弱い部分の安全性にひきずられる」というもの(しばしば"weakest link"などと言い表される)がある。これを、「理論的には」(←正確に述べると、理想的な乱数の使用を仮定すれば)情報理論的安全性をもつ暗号方式を、暗号学的疑似乱数(これ単体では原理的に、計算量的安全性が限界である)を用いて実装する状況に当てはめると、"weakest link"である暗号学的疑似乱数と同様にシステム全体の安全性も計算量的安全性に留まる…と思われるが、ところがどっこい、実は計算量的安全性しかない疑似乱数を用いているのに、全体の安全性が情報理論的安全性に保たれる場合がある、という実例を提示したのがこの論文の主結果である。これが暗号分野の(私のように後から暗号分野に来た人間ではなく、初めから暗号分野で育ってきた)方々には極めて直観に反する結果らしく、研究当時に、論文を書く以前にまず同僚の皆さんに内容を理解してもらうまでにかなりの長い期間を要したことをとても印象深く記憶している。もっとも、時間が掛かったのは私の側の説明が上手くなかったことが要因として大きく(私の側は、それが数学的に正しい結果であることはわかっているものの、その結果が「暗号学者の直観」と決して矛盾するものではないのだ、ということの良い説明方法がなかなか思い付かなかった)、同僚の皆さんが辛抱強く議論に付き合ってくれたことで、論文を書く際の説明が上手くできるようになった(おかげで良い論文誌に採録された)と思ってとても感謝している。
なお、同僚の皆さんへの説明に悪戦苦闘している最中に、某詰将棋作品について喧々諤々の議論を繰り広げていた頃のことを思い出しては、私はつくづくこの手の騒動に縁が深いらしいと感慨に浸っていたことも思い出される。まぁ、某詰将棋作品のときとは異なり、こちらは最終的に円満な解決をみたので良かったなぁと思う。
- 10月16日(月)
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- 新しい学生さんとのセミナー初日。使用する本は前年度と同じなのだが、発表する内容は同じでも発表者によって発表の仕方に個性が出るなぁと趣深く感じている。
- 10月17日(火)
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- 共著論文の採録通知が届いた。めでたい。我ながら面白い研究成果だと思っているので、まずは良い結果が出て何よりである。
- 10月18日(水)
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- 所用があり、出勤途中に自宅から徒歩20分ぐらいの場所にある郵便局へ寄ったのだが、億劫がって帽子を被らずに出発した日に限って日差しが(10月に入ってからの他の日と比べると)強かったので結構暑かった。失敗。
- 某所の日記の移行作業。2013年4月分について、まずは2013年4月8日の分:
つい最近まで論文投稿に追われていたから言うわけではないのだが、現在の論文査読システムにおいて、論文が採録されるまでに何度も不採録→再投稿を繰り返す部分はもうちょっと効率化できないものかと思う。勿論、内容に不備があって不採録になるのは仕方ないけれども、内容の不備ではなく投稿先のレベルと論文の価値の不整合が原因の場合は、エディターからその論文の価値に見合った論文誌や国際会議へ推薦する(内容は審査済みとして簡単な審査のみ)制度などがあると、再投稿の度に同じ論文が繰り返し査読される非効率さが少しは解消されないかなぁ、と思っている。研究者が昔より忙しくなっている現状、相対的に査読の負担が重くなっているわけで、省ける無駄は省いた方が業界全体のために良いのではないだろうか。
これは本当にどうにかならないものかと今でも思っている…のだが、最近では研究者の側が受ける「「良い」発表先に論文を通す」圧が強くなっていて、何度rejectされてもトップ論文誌・国際会議を目指すという人が増えている(ので、そういう人々が目指すような場所の投稿件数がさらに増える)構図があり、中々難しいなぁと感じている。
- ↑次は2013年4月11日の分:
ひょんなことからTwitterで某river_jpn氏に教わったところによると、オセロでプレイヤーが互いに協力した場合、最短9手で後手(白)を全滅させることができ、また最短11手で双方の石が残っているのにどちらも打つ手がない状態にできるらしい。特に後者はたった11手でそんなことが可能ということでたいそう驚いた。オセロは奥が深いですねぇ(←ちょっと意味が違う気が)。
ところで、後手ではなく先手(黒)を全滅させられる最短手数は何手なのだろう?
- 10月19日(木)
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- 10月20日(金)
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- 朝早く(←本人比)から会議があったので遅刻しないよう神経を使った。
- 10月21日(土)
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- 週末。指導学生の博士論文執筆が佳境に入っている。予備審査までもうひと踏ん張り。
- 10月22日(日)
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- 妻のご両親の金婚式のお祝いということで、4人で1泊2日の旅行に行ってきた。喜んでいただけたようで何よりである。
- 10月23日(月)
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- 上記の旅行から帰ってきた。高速バスは普段あまり使わないので勝手がよくわからず、普通の路線バスや観光バスが停まるようなバスターミナルから乗れるものと思って油断していたら、高速バスは乗り場が別(しかもそこそこ遠い)ことが判明して冷や汗をかいた。何とか無事乗れたので助かったのだが、今後は気を付けよう。
- 10月24日(火)
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- 学生セミナーが2件ある曜日なのだが、この日は学生さんの体調不良により1件キャンセルになった。特に体調を崩しやすい季節だと思うので無理は禁物、休養第一である。
- 10月25日(水)
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- 数日前の話だが、某論文誌に投稿中の共著論文の査読結果が返ってきた。えらく短い査読コメントだったものの、唯一のコメントが技術的なミスをピンポイントに指摘するものだったので、詳しく読んでもらえたことは間違いないであろう。幸いにも簡単に修正できる内容だったので、修正版でアクセプトされることを願う。
- 10月26日(木)
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- 2コマ講義の日。午前中の初等整数論の講義では、有限素体の原始元の存在を証明している途中で時間切れ。えらく中途半端な終わり方にしてしまったので、時間管理をもっと上達しなければ。一方、午後の講義は毎回の後半の時間をプログラミング演習に充てていて、毎回演習に入る前にサンプルコードで実演をしているのだが、今回のサンプルコードでわりとしょうもないミスをしてしまっていたことに実演しながら気が付いた(結果が誤りになる類のミスではなかったのが不幸中の幸いだが)。気を付けよう。
- 10月27日(金)
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- 病院で新型コロナウイルスのワクチンとインフルエンザのワクチンの予防接種を受けて、ついでに血液検査のための採血も受けてきた。注射針に縁のある日である。
- 10月28日(土)
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- 週末。昨日の予防接種当日の副反応は(一番ひどかった回と比べると)そこまででもなかったのだが、今回は翌日にもそこそこ影響をひきずっていて体調があまり良くなかったので、安全第一で過ごしていた。
- 10月29日(日)
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- 週末。予防接種の副反応からはほぼ脱却できた。ただ、副反応とは無関係にだいぶ寒気を覚える気候だったので、今季で一番厚手の上着を急遽引っ張り出してきた。
- 10月30日(月)
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- 学会CSS 2023の初日。今回は自宅から普通に通える開催場所なので移動が楽である。某セッションでまさに「コロンブスの卵」というべき面白い研究成果の発表を聴けたので喜んでいる。
- 10月31日(火)
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- 学会CSS 2023の二日目。以前から一度はやってみたかったことを達成できたので喜んでいる。皆様どうもありがとうございました。あと、この日は全国的に仮装する人が増える日だったことをすっかり失念していて(正確には、「かぼちゃにちなんだ食べ物が増える日」という方の認識だけ頭に残っていた)、帰りに駅構内に特徴的な服装の人たちが多くいたので少しびっくりした。