特殊ルールの説明

(2011年8月17日)
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ここでは、当ウェブサイトで扱う特殊ルール(フェアリー)詰将棋の簡単なルール紹介をします。 より詳しいルール説明は、「Onsite Fairy Mate」「Web Fairy Paradise」のルール説明などをご覧下さい。

攻方/受方の目的が変わるルール

協力詰
攻方と受方が協力して、最短手数での詰みを目指す。 「ばか詰」とも呼ばれる。 なお、これと対比して、通常の詰将棋のように受方が最善の応手をする(攻方は普通に詰みを目指す)ルールを「かしこ詰」と呼ぶこともある。
レトロ -n/m手(「-n+m手」とも書く)
初形から手順をn手分だけ逆回ししてできた局面からm手詰の手順を見つける。 別の言い方をすると、初形をXと呼ぶとき、以下の二つの条件を満たす局面Yを見つけることを目的とするルールである。 (条件1)Yからm手で詰ませることができる。 (条件2)上の手順とは別に、Yからある方法で手順をn手進めるとXに到達する。 なお、条件2のn手の手順において攻方に王手義務を課す解釈と王手義務を課さない解釈があるが、このウェブページでは特に注釈のない限りは「王手義務を課す」ものとする。
ロイヤル駒
攻方の王や受方の玉のように、別のある駒(「ロイヤル駒」と呼ぶ)が王手の対象となる。 ロイヤル駒に「王手」を掛けられた側はその王手を回避しなければならず、回避できない場合には「詰み」扱いとなる。 図面では、ロイヤル駒は右上に「+」を付けて表わされることが多い。 手順では、ロイヤル駒は駒の名前の後に「+」を付けて表わされることが多い。
二玉詰、多玉詰
王手の対象となる駒(通常の玉、王やロイヤル駒など)が複数存在する。 王手を掛ける側はその少なくとも一つに王手を掛ければよく、受ける側はそれらすべての駒への王手を回避しなければならない。
自玉詰
受方の玉の代わりに攻方の王が詰んだ状態が攻方の勝利条件となる。 受方はその状態をできる限り避けることになるが、協力詰ルールと組み合わさった場合には受方も攻方の王が詰むことを目指す。 「自殺詰」とも呼ばれる。

手番に関するルール

受先
受方から手順が始まる。

駒の動き方が変わるルール

安南
味方同士の駒が縦に並ぶと、並んでいる間だけ前の駒の利きが後ろの駒の種類となる。
対面
相手同士の駒が向かい合って縦に並ぶと、並んでいる間だけ駒の利きが互いに入れ替わる。
アンチキルケ
駒Aである駒を取ると、通常の将棋の初形でAと同じ種類(攻方/受方は区別するが、成/不成は区別しない)の駒が置いてある場所のうち、現在地から最も近い場所にAが戻される。 Aが成駒の場合は成ったままの状態で戻される。 ただし、既に別の駒が置いてある場所には戻れず、戻る場所がない場合にはそのままの地点に残る。 また、戻れる場所が複数ある場合にはその一つをAの持ち主が指定する。 (参考:「アンチキルケ入門」
マドラシ
ある駒が相手の同じ種類の駒の利きに入ると動けなくなる。 その相手の駒が取られるなどしてこの状態が解消されると再び動けるようになる。 ただし、これらは玉/王については適用されない。 なお、玉/王についても上記が適用される亜種ルールは「キングマドラシ」と呼ばれる。

着手の条件が変わるルール

禁欲
駒を取らない着手が可能な状況(王手義務の有無も考慮して)では駒を取る着手を行えない。 駒取りしか行えない状況では駒を取れる。

特殊な駒

覆面駒
どの種類か明かされていない駒。 攻方も受方も、ある手を指すためには「もし覆面駒がこの種類の駒だったら、これまでの手順も今指す手もすべて辻褄が合う(将棋のルールに反しておらず、また攻方は常に王手している)」という駒の種類の割り当てが少なくとも一通りは存在しなければならない。 なお、生駒(成っていない駒)と想定する覆面駒を「成る」ことはできる(辻褄が合う限りは)が、「(生駒と想定する)覆面駒を不成で動かす」と「(成駒と想定する)覆面駒を動かす」の区別は付かないものとする。
中立駒
攻方の手番では攻方の駒としての利きを、受方の手番では受方の駒としての利きを持つ駒(他の駒を取れるかどうか、成れるかどうかの判断もこれに準ずる)。 例えば12地点に中立駒の歩がある場合、攻方の手番では11地点へ利きを持ち、そこへ動いた際に成ることができる(通常の攻方歩と異なり、成らなくても「行き所のない駒」とはみなされない)。 一方、受方の手番では13地点へ利きを持つが、そこへ動いた際に成ることはできない。
なお、他の駒は、手番に関係なく中立駒を取ることができ、取った側の持駒となるが、取られた後も中立駒の性質が保たれる。 また、どちらの手番であっても、中立駒の歩と別の(通常のあるいは中立駒の)歩が同じ筋に存在することは二歩として禁じられる。
盤面や手順表記では、駒を横向きにした表記や、「n歩」のように「n」を付した表記が用いられる。
迷彩駒
位置が不明の駒。 覆面駒の場合と同様に、ある手を指せるかどうかは、現在の着手を含めたこれまでの手順と辻褄の合う迷彩駒の配置の可能性が存在するかどうかにより定まる。
迷彩駒による着手(打あるいは移動)を行った場合、通常、その駒が元々あった位置や着手した地点は明らかにされず、単に「-X」のように手順表記される(駒取りを行った場合にはどの駒を取ったかは判明するものとする)。 ただし、ある迷彩駒について辻褄の合う配置の可能性が一通りに絞られた時点でその迷彩駒は「迷彩」の性質を失うものとする。
相手の駒の中で、自身から最も近くにある駒の場所にのみ利きを持つ駒。 最も近い駒が複数あるときはその中でどれを取ってもよい。 駒の距離は、置いてあるマスの中心点どうしの距離(つまり、「(「筋」の差の2乗+「段」の差の2乗)の平方根」)で測る。
前後1マスにのみ利きを持つ駒。 中将棋の駒「仲人」が由来だが、中将棋の場合とは異なり、成ることはできないものとする。
自分自身では利きを持たないが、相手駒の利きに入っている間はその駒と同じ利きが付与される。 複数の相手駒の利きに入っている場合はそれらの駒の利きをすべて得る。 また、谺がある駒の利きを得ている状態で、その利きに相手の谺が入っていると、相手の谺にもその駒の利きが再帰的に伝えられる。 特殊ルールチェスの駒"Orphan"が由来。
現在地にのみ利きを持つ駒。
包(Pao)
駒を取らないときは、縦横いずれか一方向にいくらでも(別の駒の手前までなら)動くことができる。 駒を取るときには、縦横いずれか一方向の、手前から数えて2番目の駒(が取れる駒であれば、それ)を取ることができる。 言い換えると、縦横いずれか一方向に進めるが、駒を取る際には別の駒を1枚だけ跳び越えてから取らなくてはならず、また駒を取らないときに別の駒を跳び越えることはできない。 中国象棋の駒。
縦横いずれかの方向にある駒を1枚跳び越えてその直後のマスに移動できる。 そのマスに取れる駒がある場合には駒取りとなる。
黒丸「●」で表記される。 利きを持たず、他の駒はその地点を通過することも取ることもできないが、桂や包などがこの駒を跳び越えることはできる。

特殊な盤面

N×M盤
N筋(横Nマス)、M段(縦Mマス)からなる盤面。 通常の将棋盤は9×9盤である。
左横無限盤
左側(「筋」の番号が増える側)が無限に広がっていて端がない盤面。
駒打禁止地点
「*」印で表記される。 その地点には駒を打つことができない。 初形の時点でその地点に駒が存在していたり、その地点を通過したりその地点に移動するのは差し支えない。
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縫田 光司(ぬいだ こうじ)  jpnuida[at]mwa[dot]biglobe[dot]ne[dot]
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最終更新:2018年5月2日

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