喪失楽園









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 ■はじまりに■

 このお話は、ボクがずうっと温め続けてきたものです。
 あまりにも長い事寝かせてたので、そろそろ醗酵してるんじゃないかっていう位(笑)。
 おかげで主人公の性別は二転三転するは、登場人物の名前は基本的なコンセプトからまるっきり変更になるは、舞台は移動するは。
 挙句の果てに細かいストーリーは全然できてなかったりします。
 ――一応、ラストは見えているのですけどね(苦笑)。
 そんなわけで、物語の進行はかなりゆっくりしたペースになると思います。
 たぶん、途中で別のお話に手を出したりもするでしょうし。
 それでも、思い入れのあるお話なので、気長におつき合いいただければ幸いです。

 20011019 


 ■月夜の君■

 記念すべきシリーズ第1話にあたるこのお話は、実はほとんど物語の本筋に関係していなかったりします(苦笑)。
 ファンタジーモノの常として固有の世界観や単語の解説と、主な登場人物の紹介の為だけに創り上げたエピソードなのです。
 一応ちまちまと伏線を張ったり布石を敷いたりはしてますけど、『喪失楽園』の物語はまだ動き出していません。
 だから、読んでいて物足りないかもしれないし、もしかしたら面白みがないなぁって思われたかもしれません。
 それとは別に、ボク自身の中でどうも消化不良な感じがあって――特に後半は完全にスランプに陥ってる状態だったので。
 大切な物語だけに凄く悔やまれます。
 …こんなところで言い訳してないで、精進&リベンジあるのみ!ですね。
 今後の為にも、忌憚なき感想などお聞かせいただけると嬉しいです。

20020113 


 ■暁紅の星■

 このお話から、一応『喪失楽園』本来の物語に入ってます。
 (その割に、相変わらず主人公が誰なんだか解らない話運びですが(苦笑))
 まだまだ序盤という事もあって様々な謎を仕掛けている段階なので、説明が足りなくて「?」と感じる方も多いんじゃないかと思います。
 素人小説書きの陥りやすい欠点のひとつに思いついたものを片っ端から放り込まずにはいられないっていうのがあるって言いますけど、まさにそんな感じですね。
 本当は作者の頭の中にあって世界観にリアリティを持たせられればそれだけで充分な筈の裏設定までついつい書き込んじゃうから、読んでくださる方に余計解り難くなっちゃうという。
 それに加えて、新手の固有名詞の嵐!しかも実はまだあったりして(笑)。
 これらについては、近々【
WORLD】に収録します。自分でも忘れそうなので(笑)。
 それにしても、恐ろしい事に実際に『喪失楽園』を書き始めてからでさえ既に1年になるんですよね。
 予定では本編5話に番外編2話…書き終わるのは何時になるんでしょうね?(笑)

20021006 


 ■誓願の剣■

 番外編その1、瑠璃玻と煌の邂逅編です。
 第1話の綾の言葉通り、どうして煌が巫翅人になったのか、というお話。
 本筋にはあんまり関係ない、かな?
 でも、これまで名前だけ出て来ていた「もうひとりの《アヤ》」について言及しておきたかったし、精霊王もちらっと描けたし、あとひとつの番外編への前振りも出来たし…ここでやっておきたかった事は出来た筈。
(あとひとつの番外編は、本編にかなり絡んでくるお話なのです)
 余談ですが、「誰か(何か)を護る」というのはボクが無意識の内に固執してしまうテーマのひとつらしいです。
 そういう意味で、煌は自分の中ではかなり解りやすいキャラクターなのですが。
 でも、あの言葉遣いは書き難い(笑)。
 あとは、『喪失楽園』全般に言える事だけれど、「こんなんじゃなくてもっと何とかならないのか?」っていうもどかしさが常につきまとうのが相変わらず悔しいです。
 ボクの書きたい事、届けたい物、少しでも伝わってるのでしょうか?
 満足、は無理でも、納得のいく文章を書く力が切実に欲しいです。

20030503 


 ■陽炎の町■

 今回のお話は、いろいろな意味で予想外のものになりました。
 御雷は生き残ってこの後も出て来るなんて予定じゃなかったし、【シルフィード】にもそれほど重大な意味を持たせるつもりはありませんでした。
 ラストと冒頭が対になるような書き方をするつもりもなかったですし…大体、ストーリーを組み立てた時点では最終話の前半、綾のシーンで終わってたし(笑)。
 そもそも、誤解を恐れずに言うなら、『陽炎の町』自体がなくても構わないエピソードではあるのです。
 最終話の瑠璃玻と熾輝の会話が今後を予想させはするものの、このお話を読んでいなかったからといって『喪失楽園』全体の物語が解らなくなる事はありません。
 それなら何故書いたのか?と言えば、タイトルのバランスとか、朱華のバックボーンを書いておきたいなぁとか、相変わらず書き手の些細な拘りだったりするわけですが。
 そして、朱華に焦点を当てた当然の結果として、今回もやたらと綾が美味しいところを攫っていきました(苦笑)。
 それと言うのも主人公が動かし難いのがいけない。って、自業自得ですね(笑)。
 次のお話は、本筋に沿ったものになる予定です。
 当分先になると思いますが、その時はまたお付き合いください。

20041011 



 ■精霊の森■

 祝・槐様お目見え!。【フィルミクス】も初登場ですね(笑)。
 常磐の設定とか識守とか、相変わらずいろいろと行き当たりばったりなものもありますが(笑)。
 今回は『喪失楽園』全体の流れに即したお話になる…筈だったのですが、結局何が書きたかったのか解らない展開になってしまいました(苦笑)。
 例によって余計なところに力が入っていたり、そうかと思えばやたらと重くて理屈っぽくなっちゃってたり。
 もちろん、物語が進む中で生じた設定であったり、登場人物に語らせたかった事であったりはするのですけれど、読み手としてはどうなのかしら?と疑問に思ったりもするわけです。
 ストーリーがあって、それがおもしろければ良い。そんな文章を書けるようになったら、もう1度『喪失楽園』を初めから書き直してみたいなぁ。
 ともあれ、『精霊の森』は確実に先へと続く布石です。
 物語は最終話へと進みます。
 が、その前に、今度は番外編でお会いしましょう。

20050731 



 ■永遠の恋■

 番外編第2弾。熾輝と那波の恋物語。
 とはいえ、ここで触れておきたかったのは那波の見た夢とその意味、そして、その先の未来へ向かおうとする彼等の見出した「希望」という、『喪失楽園』の物語を紡ぐ上での鍵となる物事だったのですが。
 当初は、熾輝と那波の出逢いから2人が恋に堕ち、巫翅人になり、神として生きる道を選んでから瑠璃玻を庇護するまでの過程を描いていくつもりでした。
 が、ふと気がつけば熾輝が巫翅人になるまでだけでも随分な長さになってしまっていて、急遽後半を端折る形での決着となりました。
 番外編がシリーズ最長というのは避けたかったというのもありますし、彼等の物語は時間軸から考えてもそれだけで長編となり得るだけの可能性を秘めているものなので、無理にここですべてを書き込むのはやめておこうかな、と。
 次はいよいよ最終話、タイトルもずばり『喪失楽園』です。
 『永遠の恋』で明かされた那波の夢、それが現実のものになる時、瑠璃玻は、煌は、どうするのか…。
 納得のいく終わりを迎えられるように頑張りたいと思います。

20060430 



 ■喪失楽園■

 ついに、ミフルの地が、そして物語そのものが終末を迎える時が来ました。
 タイトルから察していただける通り、『喪失楽園』はミフルという失われた世界の物語であり、第5話にあたる本編は世界が失われていく過程を描く物語です。
 終わりの約束された世界で、それと知らず幸福と繁栄を享受する民の姿を前半の五華宴で、理を重んじるべき神の身でありながら終末を憂える天空三神や、滅亡から人々を救おうと抗う瑠璃玻達、彼等に惹かれ共に闘った人々の想いを後半で描き出せていたらと思います。
 瑠璃玻達の物語は、これで終わりです。
 ミフルを舞台にした別の物語――たとえば那波や熾輝の物語であったり、『喪失楽園』では名も無き民であった誰かの物語であったり、そういった世界で、もしかしたら再びお目にかかる事があるかもしれませんが。

20070403 



 ■おしまいに■

 『喪失楽園』の最初のイメージは、第5話で瑠璃玻と煌が世界の終わりを見つめる場面でした。
 書き始めてから5年半。ラストの瑠璃玻と煌の場面を初めて思い描いた時からなら十数年。
 本当に長かったです。
 思い入れの深い物語だけに、思うように文章を綴れずにもどかしい思いをしたり、自分の力不足を痛感させられる事も多い日々でした。
 それでも、最後まで書き上げられた事を嬉しく思います。
 今はまだ充足感や達成感は感じられません。
 漠然とした寂しさが音もなく降り積もっていくような、そんな気分です。
 最後に、ここまでお付き合いいただいた皆様に心からの感謝を捧げます。
 ありがとうございました。

20070403 

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