世紀末、という言葉が廃れて久しい2040年代後半、アフリカ大陸に残された未開の森に、巨大な隕石が墜落した。
 それが、後に『天罰』と称される事となる一連の事象の始まりだった。



 大気との摩擦によって生じた炎は広大な範囲にわたって森を焼き尽くし、熱せられた空気は大量の灰と土煙、そして未知のウィルスを上空へと巻き上げた。
 太陽光が遮られた結果、光合成を妨げられた植物が大量に枯死し、気温の低下とあいまって各地で深刻な食糧不足が起こった。
 更に、世界規模で発生した人間にのみ高い致死率を誇る謎の伝染病が人類に追い討ちをかける。
 未曾有の非常事態に、人々は国や企業の枠を超えて対策に奔走したが、感染割合が極めて高く潜伏期間の短いその病は、治療と予防のための薬が完成する頃には全世界を席巻していた。



 崩壊した文明の跡、廃墟と化した都市、見る影もなく荒れ果てた大地。
 旧時代の預言者たちが生きていたら、この光景こそ終末の体現だと告げた事だろう。
 こうして、人類は滅亡の窮地に追いやられた。
 …ただひとつ、外界から隔離されていた実験都市、≪空の庭≫市を除いて。



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