■ ■ ■ ■ ■ ■ Game of Love By-Toshimi.H ■ ■ ■ ■ ■ ■
「それではエステル。おやすみ、良い夢を」
レゴラスは屈み込んで、エステルの額にキスをした。
「おやすみなさい、レゴラス。また明日」
エステルと呼ばれた少年は、自室へ向かって駆けて行く。
途中、一旦止まり振り返ると、大きく手を振って去って行った。
その姿が実に微笑ましく、レゴラスも手を振り返した。
エステルの姿が見えなくなった所で、自分も部屋に戻ろうと踵を返そうとしたその時。
「レゴラス」
後ろから抱き竦められた。
「グロールフィンデル様…」
その人物はレゴラスの首筋に、唇を這わせる。
そして腰から胸から、身体の線をなぞられる。重ね着しているエルフ独特の衣服の上からでも、その感覚を敏感に感じ取り、レゴラスは身を捩り熱い吐息を漏らした。
「…はぁ…」
「エステルと何を?」
グロールフィンデルの唇は首から耳の裏へ移動し、耳元で囁かれる。
「ぁんっ…別に何も…」
レゴラスは右腕を上げ、グロールフィンデルの頭の後ろに回すと、指を彼の輝く長い金髪に絡ませ、妖艶に笑ってみせる。
「ただ…他愛のない話を…していただけですよ」
下半身に延ばされた手を掴むと、顎を上げて彼を見つめると、ダメだと言う様に、ニヤリと笑う。
「彼を気に入って?」
グロールフィンデルの官能的なテノールに、身体がゾクリとした。
「えぇ」
そう言うとレゴラスは、美しい上のエルフの唇に自分のそれを重ねる。
「彼は真っ直ぐで純真で、美しい魂を持っている。そこに惹かれるのかもしれません」
「では、彼を手に入れたいと?」
「…さぁ?」
レゴラスは悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「人の気も知らないで、困った人だ」
そう言うと今度はグロールフィンデルが、レゴラスに口付けをする。強く抱き締め、啄む様に、そして深く舌を絡ませ合う。
レゴラスの口端から、飲み切れなかった唾液が漏れ落ち、それを追う様に、グロールフィンデルの舌が舐め取る。
「私はあなたを誘惑する気はありませんよ」
「何故?」
レゴラスはグロールフィンデルの腕の中で、身体を反転させ、少し背伸びをして彼の首に腕を回す。
「だって、あなたは既に私のものですから」
引き寄せると、そう耳元で告げる。
「だが、レゴラス。あなたは私のものではない」
胸の内の切ない痛みをぶつけるかの様に、グロールフィンデルは自分より幾らか小さいエルフの身体を掻き抱いた。
「私にはあなたのその心の空洞を、埋める事は出来ない」
「では…」
レゴラスは碧い双眸で、グロールフィンデルを見つめる。
「今宵、その私の心の空洞を埋めて下さいますか?」
「レゴラス、あなたがそれで少しでも癒されるのなら」
二人は再び、深く口付けを交した。
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