Part・II

 

 

第二日目(5月3日)
 
行程:湯布院→黒川温泉→阿蘇・大観峰(泊)

 朝7時に目が覚める。前日は降っていた雨が止み、清清しい朝を迎えたなんしぃと師匠は、宿泊地付近をぶらりと散歩。
メインストリートにやや近いこともあり、車の量が多い…と思いきや、どうやらここは観光名所のようだ。すでに訪問客は多く、
それなりに賑わっている。とりあえず朝食をとることにすべく、一旦宿に戻る。
 朝食は宿泊したところから少し離れた場所にある、母屋のようなところで取った。「母屋」と言ってしまうと語弊があるかも
しれないが、中はちゃんとした食堂になっている。二人は朝食をとり、その足でまた付近を探索する。

  宿近くの観光地「金燐湖」にて。
  帽子を被っているのは、髪の毛が寝癖で
  ぐちゃぐちゃだったからです。
  早朝の曇り空にもかかわらず、結構人が
  沢山いました。写真は私一人ですが…。
  (説得力ない解説やなぁ…)


 朝8時半をまわり、バイクのエンジンに火を点す。TZRとVTRは目を覚まし、その排気で辺りの木々の葉を揺らす。
グリップが取れてしまったTZRに跨り、アクセルを捻る。昨日は雨で滑って仕方がなかったが、今日は何とかいけそうである。
…とは言え、阿蘇までの道のりは遠い。まだ痛みと疲労が癒えない右手を庇う様に、アクセルを開ける。

 県道11号線はGWということもあり、それなりの交通量があった。最初は車の流れに乗って走っていた二台だが、車が
渋滞し始めると必殺「すり抜け」で先を急ぐ。しかしGWをなめてはいけない。朝10時で車の量は半端ではなくなっていた。
 阿蘇に行く途中に今回の目標である「温泉」に入るため、黒川温泉を訪れる。運営している旅館のロビーに入り、入浴券
(といっても板製の洒落たもの)を受け取り、入浴料600円を払う。値段だけを見ると高いと感じるかもしれないが、これで
付近に点在している温泉に一時間いくらでも入ることが出来るという代物だ。渋滞で疲れた体を癒す。

 心身ともに癒したあと、再び阿蘇を目指して出発する。天気はやや曇り気味だが、吹く風は心地よい。
県道11号線を渋滞する車の脇をすり抜けしながら、県道45号線に入る。そしてついに、大観峰に到着した。
「おー、すげー。」
やや西に傾いた太陽が、阿蘇の山々を青みがかった緑色に染める。少し舫っているが空と山を区切る「スカイライン」は
左から右へ鮮やかに伸びている。これぞ大自然の極みとも言える絶景ぶりに、師匠と私はしばし時が過ぎるのを忘れる。
 阿蘇とくれば「乳製品」。ここ大観峰にも数々の乳製品が販売されており、これを満喫しない手は無い。私はアイスを
買い、辺りの草原の匂いを嗅ぎながら、トランスモードに入る。
「よっしゃ、行くか。」
二人は再びバイクにまたがり、大観峰を後にする。

 大観峰から東へ向け、阿蘇町を目指す。今晩の寝床と温泉「内牧温泉」に入るためである。
まず始めに「内牧温泉」へ。街中にはいくつかの温泉があるが、その中の一つに入る事にする。ちょっとした民宿に
露天風呂が設置されている…とは言え、スペース的には狭く、家の庭にある池に入っているような感じだが…。
しかし温泉は温泉。硫黄の独特の匂いに身も心もリフレッシュ。長旅で疲れた身体に心地よい湯加減だった。
 その後再びバイクにまたがり、師匠が予めチェックしておいたオートキャンプ場を目指して走り出す。日は落ち始め
辺りは薄いオレンジ色に染まり始めていた。
しかし…
「おかしい、ないじゃんっ!」
師匠がバイクを止めて叫んだ。どうやらお目当てのオートキャンプ場が見つからないらしい。
「位置的にはこの辺なんじゃがのう。こっちか?」
師匠にまかせっきりの私は表情を変えずに、師匠の後に続く。なにやら寂しげな山の中に入ってきたが、キャンプ場が
あるようには見えない道をバイクで走る。しばらくすると小さな駐車場に行き着いてしまった。
「ここは…何じゃ?」
「何じゃろうのう…キャンプ場には見えんの。」
その駐車場は作りたての様子で綺麗だが、辺りは山肌がむき出しでいかにも工事中といった様子。
「どうやらオートキャンプ場が潰れて、別のものをつくっとるようじゃのう…当てが外れたか?」
師匠が呟く。一山超えたらもう一つキャンプ場があるみたいだが、時刻は午後6時を回っており、これ以上動き回ると
暗闇の中でテント設置や夕飯作りをしなければならない。
「しょうがない、今晩はここでテントを張ろう。」
二人はバイクを止め、私はテントを立てて師匠は夕飯作りに入る事になった。
そうこうしていると、二台のクルマがやって来た。一台は若者二人組、もう一台はワンボックスの家族連れだった。
家族連れのほうに話しかけると、やはりオートキャンプ場を探してここにたどり着いてしまったようだ。
このキャンプ場は潰れてからそんなに日が経ってないのか…今となっては謎のままだ。

 すっかり日が落ちて辺りに虫の鳴き声が響き渡る中、私と師匠はテントに入って身体を休める事にした。
明日はついに阿蘇の火口を目指す。しっかり寝て、明日は早起きだ!


 

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