それでは、なんしぃが乗っていた二代目MR2「SW20」について、いろいろ述べてみたいと思います。
独断と偏見が入っている(かもしれない)ので、ご了承下さい。
●初期型の悲しい立場
これはSW型を語る上で必ずと言っていいほど挙げられる題材で、この記事を見るたびに開発者の皆さんは胸を打たれる
と思います。MR2ファンの私も同じくそうであるように。
「ヒストリー」のところでも述べましたが、初期型はデザイン重視のジオメトリーのためシャシー剛性が不足してました。
具体的には、Fダンパーのストロークのなさとキャスター角不足、14インチタイヤが起因しています。
元々ミッドシップは重量物が後ろにあるため限界を超えたときの挙動はピーキーになりやすいのですが、初期型は「あ、やばい」
と思った時にはスピンしている、そんなクルマだったのです。
公道走行でもこの性格は露呈し、エンジンパワーのあるターボモデルは特に危険と称されたという暗い過去を持っています。
デートカーとしては多大な支持を得ましたが、ことモータースポーツ界では酷評の嵐。スポーツ性を前面に押し出そうとして
デビューしたSW型でしたが、スタートダッシュでころんでしまった、といったところでしょうか?
ちなみにII型以降はサスペンションの大幅な見直しにより、かなりマイルドになっています。それでもミッドシップらしい
フィーリングは健在ですので、ファンの方も一安心。
●んで、II型はどんなに変わったの?
まず、サスのジオメトリを全面見直しし、ショックはもちろんサス本体まで別物になっています。
「初期型で足回りをいじるんなら、II型以降のものを移植するのが第一段階」と言われるほどの変貌ぶりです。
あとタイヤサイズが15インチにインチアップ。タイヤ幅も広くなったので接地感は飛躍的に向上しました。
中古車を購入する場合は、出来る限りII型以降を選びましょうね!
●では、初期型から最終型はどうやって見分ければいいの?
具体的な違いは次の表に記す通り。これを全部知っていたら、あなたは相当の「MR2マニア」です。
型式
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登場
年月
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装備一覧
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エンジン
上段:NA
下段:ターボ
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足回り
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スポイラー
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ABS
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ウィンカー
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テール
レンズ |
その他
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I型
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1989年10月
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165ps
225ps
|
14インチ
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ボディ一体
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通常
(オプション)
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イエロー
レンズ
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角形
|
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II型
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1991年12月
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15インチ
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GT-Sグレード追加 |
III型
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1993年10月
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180ps
245ps
|
フロート型
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スポーツ
(オプション)
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丸形
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エアフロ除去&インジェクター容量アップ
G-Limitedビルシュタインパッケージ |
IV型
|
1996年6月
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15インチ
切削加工
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スポーツ
(標準装備)
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クリア
レンズ
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全車ABS&エアバッグ標準装備
(ターボ車にはスポーツABS) |
V型
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1997年12月
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200ps
245ps
|
16インチ
|
ウィング型
調整式
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イエローステッチの革巻きステアリング |
●ターボとNAを簡単に見分けられる方法はありますか?
クレード名を見るのが基本ですが、MR2のグレード名は隆起処理がかかっていてぱっと見読みにくいです。
また、グレードエンブレムは簡単に剥がせるので、剥いでいたらもう判りません。
ということで、まずはターボ車とNA車の違いについてまとめてみました。
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ターボ(GT/GT−S)
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NA(G-Limited/G)
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エンジンフード
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隆起
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フラット
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サイドモール
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「twincam turbo」文字入り
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文字なし
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AT車
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設定なし
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設定あり
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スポーツABS
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オプション設定あり(IV型以降は標準装備)
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設定なし
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ブースト計
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あり
|
なし
|
こんなところでしょうか。
一番判別しやすいのは「エンジンフード」です。ここは滅多に交換しないパーツですから、一目で判ります。
あと「サイドモール」の文字も比較的分かりやすいですね。「ブースト計」はNA車では電圧計になってます。
●各グレードの相違点は?
グレード構成は上から「GT」「GT-S」「G-Limited」「G」です。
GT-Sグレードはスポーツベース車のため、G-Limitedにはあるのに装備されていないものが沢山あります。
主な装備
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ターボ
|
NA
|
GT
|
GT-S
|
G-Limited
|
G
|
リアスポイラー |
○
|
○
|
○
|
−
|
オーディオ |
○
|
−
|
○
|
−
|
シート |
エクセーヌ
|
スポーツ
|
スポーツ
|
標準
|
電動格納式ドアミラー |
○
|
−
|
○
|
−
|
電子制御ステアリング(EPS) |
○
|
○
|
○
|
−
|
ティンテッド(フロントガラス上のグラデーション) |
○
|
−
|
○
|
−
|
フォグランプ |
ステア連動
|
標準
|
標準
|
標準
|
本革巻きステアリング&シフトノブ |
○
|
○
|
○
|
−
|
ABS(III型以前はオプション扱い) |
スポーツ
|
スポーツ
|
標準
|
標準
|
ビルシュタインダンパー |
○
|
○
|
−
|
−
|
この中で一番のポイントとなるのが「電動格納式ドアミラー」でしょう。
259万円もするGT-Sグレードが手動格納です。これはかなり悲しい事です。
あとTバールーフは14万円で全車オプションですが、中古市場では装着車と非装着車ではそこまで価格差はありません。
ただし装着車はボディ剛性が低下しますので、スポーツ走行を目的で購入される方は非装着車をお勧めします。
(雨漏りの心配もあるしね)
Gグレードは事実上の廉価グレードです。カスタムベースにするにしても装備が貧弱ですし、NAですのでスポーツ走行にも
あまり適さない(ミッドシップの良さは体感できますが…)ので、それ以上のクレードがお勧めです。
●「ビルシュタインパッケージ」とは?
MR2の生誕10周年を記念して、期間限定で追加されていたグレードです。
ベースであるIII型G-Limitedに
・ビルシュタインダンパー
・専用アルミホイール(グレー色)
・専用ボディカラー(オプション設定のシルバー)
という専用アイテムが装備されていました。
ビルシュタインダンパーはターボ車に装着されていたものと同じもので、パフォーマンスは文句なしにGood!
ちなみにMR2のビルシュタインダンパーは市販されていたアフターパーツと同仕様のものなので、その性能は折り紙付きです。
特に「堅い」という訳ではないのですが、しっとりと落ち着いたフィーリングで、街乗りから峠まで幅広くカバーします。
●なぜ三代目はオープンカーになったの?
ヒストリーのところでも述べましたが、三代目である「MR−S」は「原点回帰」を目指して開発されました。
初代MR2のコンセプトは「FunToDrive」。当時としても高価になりがちだったミッドシップスポーツを手頃な価格で提供する
したいという、当時の開発者の気持ちが込められていたのだと思います。
しかしパワーウォーズ時代を迎えた1980年後半、MR2もその戦渦に巻き込まれてしまいます。
車重は1200kgを越え、パワーは245ps。お世辞にも「ライトウェイトスポーツ」と呼べなくなったMR2は、大きなターニングポイントを
迎えることになりました。
1995年のモーターショウで、MR−Jというコンセプトカーが登場します。これがMR−Sの原型とも言われるモデルで、
コンパクトなクーペボディに4人乗りを実現させたミッドシップカーでした。
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写真では判りづらいですが、ちゃんとリアシートが用意
されており、ルーフは電動で開閉可能。
「今度のMR2は4人乗りだ!?」
と、ファンをびっくりさせました。
MR−Jは ライトウェイトスポーツとしてではなく、
大人数でMR ドライビングを堪能できるマシンとして
開発されたクルマでした。
MR2の後継車としてはキャラクターが若干ずれて
おり、これがMR−Sで2シーターオープンスポーツ
に変貌していったのではないでしょうか?
余談ですが、MR−Sに搭載されているエンジンは
1800ccですが、これはトヨタが「燃費とパワーが両立
できる排気量」と判断した結果だそうです。
以降、トヨタが1800cc車をメインに扱うようになるのは
そのためです。
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