日産のコンパクトカー・マーチを、オーテックジャパンがスポーティにチューニング。
シルビア・スカイラインに続く「マーチ・オーテックバージョン」の完成度は!?

※このクルマは知人の所有車です。予めご了承ください。

 

■ 標準車との主な違い ■
 ・専用チューンを施したエンジン
  高出力化を徹底的に図ったCR12DEは、専用ピストンとカムプロフィールを持つ高回転型にキャラクター変更。
  燃費向上のために装着されていた可変バルタイ機構を潔く取り払い、スムーズなレスポンスを狙った。
  その結果、標準車の90psに対し20%もの出力向上を達成。馬力換算で「14s」の98psを上回る108psを誇る。
  1200ccのライバル「ヴィッツ1.3RS」や「フィット」に肉薄するパフォーマンス。
 ・レスポンスを重視した駆動系および吸排気系
  駆動系は徹底的にフリクションロスの低減が図られ、軽量フライホイールを専用装備。アルミ製ペダルを踏み込む事に
  より俊敏なエンジンレスポンスを見せるに至った。
  マフラーも専用スポーツマフラーが奢られるが、音だけでなく排気効率を重点に置いた専用チューニングが施されている。
 ・レーシングマインドを引き立てる、スポーティなインテリア
  車内カラーをブラックに統一し、メーターフードおよびエアコン吹き出し口、インナードアハンドルなどにカーボン調の印刷
  を施してスポーティ感を演出。ステアリングおよびシフトノブは本革巻きで、オレンジステッチで刺繍されている。
  メーターは「14s」のものをベースによりスポーティに装飾。ナイトイルミネーションが夜のドライブに一役買う。
 ・走りの装備だけじゃない、標準車にはない魅力
  標準車(12c)にはオプションですら装着不能な「6:4分割可倒式リアシート」「15インチアルミホイール」を特別装備。

 

■ 主要スペック ■
車名
 マーチ12SR (3ドア/5ドア)
ベース車両
 12c 5MT車
駆動方式
 FF(前輪駆動)
エンジン型式
 CR12DE(専用チューン)
最高出力
 108ps(79kW)
ボディカラー
 ダイアモンドシルバー
 ホワイトパール(特別塗装色)
 スーパーブラック
 クリスタルブルー
 パブリカオレンジ
価格
 152万円(3ドア)/154.5万円(5ドア)

※詳細内容につきましては、オーテック・ジャパンホームページをご覧ください。

 


 エクステリアは標準車と大差なく、純正のエアロ
 でまとめられているだけのような印象。
 しかし実際は車高が落とされ、キュートな中にも
 スポーティな印象を受ける。
 タイヤは15インチの専用アルミとセット。10年前
 の2リッタースポーツカーと同サイズ。
 フォグランプはオプション扱いとなる。
 インテリアも標準車とほぼ同じ。ただしブラック
 でまとめられ、メーターは14sで初採用となる
 タコメーターが装着される。
 メーターバイザーとエアコンクラスター周りは
 カーボン調のプリントが施されるが、いかにも
 印刷的で質感に欠ける。エアコンスイッチと
 合わせてチタン調にすればと思ったが、14s
 との差別化を図るためか?
 フットペダルもアルミ製となり、標準車と異なる。
 スポーティな3連メーター。
 14sと同デザインであるが、赤く縁取られた
 メーターリングがスポーティさを演出。
 ニスモからホワイトメーターがリリースされて
 いるので、よりスポーティさを求めるならそちら
 をお勧め。
 レッドゾーンは7000回転から。そう簡単に
 到達できそうに無いと思われるが、実車に乗
 るとそのシャープなエンジンレスポンスで納得
 してもらえるだろう。
 とにかく吹け上がりが軽い!
 シートはホールド性の良いバケットタイプ。
 形状は標準車とよく似ているが、クッションと
 サポート性能は断然上。
 黒いバックスキンの布地にオレンジステッチが
 所有欲を満たせる。市販の4点シートベルト
 を装着すると似合いそうだ。
 リアシートは標準車に設定のない分割可倒式
 で、これも14sに準じる設定で嬉しい。
 大型のリアスポイラーがその存在感を増大
 させる、引き締まったリアビュー。
 12SRを唯一知らしめる専用エンブレムが
 忽然と輝く。標準車はもとより14sにもこの
 グレードエンブレムは無い。
 テールランプはスモークタイプだが、ディーラー
 オプションで設定されているものと同じ。
 マフラーは専用装備で、排気抵抗を減らして
 効率よく排気を行えるもの。心地よい低音
 サウンドも響かせる。
 エンジンルーム。見た目はノーマルと変わらず
 これだけでは12SRと判別するのは難しい。
 しかし中身は大違い。ピストンやカムプロフィール
 の変更、専用ECUを搭載して108psを発生。
 このパワーを専用ハイグリップタイヤ(ポテンザ
 RE01)が路面に確実に伝える。

 カーボン風プリントが施されたエアコンフィニッシ
 ャーとメータークラスター周り。この他にもドアノブ
 部分にも同様の処理が施されている。
 ダッシュボード表皮は樹脂製だが、細かいシボで
 デザインされている。欧州戦略車だけあって全体
 的なまとまり間は高い。特に国内専用車のキュー
 ブと比べるとその差は大きい。
 オーディオはレスが標準だが、4スピーカーは付く。

 

■ 車両解説 ■
  ライバル車「ヴィッツ」や「フィット」、「デミオ」に対し、スポーツグレードを持っていなかった「マーチ」。
 キュートなそのデザインと洗練された内装で、メインターゲットである女性には絶大な支持を得たが、前述の背景があってか
 男性ユーザーには敬遠されがちだった。この事態を重く見た(かどうかは疑問?)日産は、2003年7月に新グレード「14s」
 を投入した。しかしこの「14s」は、ベース車両の「14c」にスポーティな外装とタコメーターを装備しただけのいわゆる「スポー
 ティ・グレード」。トランスミッションは4ATのままだし、足回りやエンジンも標準車と共通。スポーツファンにとって魅力的な
 グレードとは呼べなかった。
  しかし、日産は黙ってはいなかった。ライバル「ヴィッツ」がターボ装着車をモデリスタからリリースした事を受け、日産の
 同セグメントである「オーテック・ジャパン」が総力を結集。「向こうがターボならこっちはNAのメカニカルチューンで勝負!」
 と、ラインナップ間で唯一MTトランスミッションを採用する「12c」を徹底的にチューン。こうして「12SR」は生まれた。
  元々ルノーとの共同開発車である故に、1400cc車にMTを載せる事が出来ないという背景がありながら、ライバル車に
 引けを取らない内容となったのは、ひとえに「スポーツカー」に情熱を傾ける「オーテック・ジャパン」の執念が成せたもので
 あると思う。
■ ドライビング・インプレッション ■  …って偉そうに書いてますが、実はまだ慣らし中でスポーティな走りは堪能できなかったのよねん(爆)。

  市街地走行をしてみた中でも「スポーツマインド」はしっかりと感じる事が出来た。
  走り出しはやはり高回転型のエンジンになっているが故にやや鈍重。まあ排気量を考えたら仕方がないか?というレベル。
 しかしクラッチミートしてからのエンジンの吹け上がりは絶賛!慣らしリミッターの3000回転まではホントに軽やかに回る。
 これは以前乗った事のある「インテグラ・タイプR」に近いフィーリングだ。軽量フライホイールのお陰で、アクセルオフ時の
 回転の落ち方もスムーズで、積極的にヒール・アンド・トゥをしてみたくなる。ミッションはルノー製のものをそのまま使用して
 いるが、各ギアのつながりもよく、車内に響くスポーツマフラーのサウンドにも押されて積極的にシフト操作したくなる。
  足回りはやはり硬質で、これまた「インテグラ・R」に近いフィーリング。但しフロントはまだしもリアはトーションビームなので
 全体的にばたつく印象を受けた。しかしこの車を買うユーザーにとっては、不快とは感じないだろう。
  ノーマル比20%アップのエンジン性能は、残念ながら確認できなかった。というのも、鳴らし中だから(笑)。
 可変バルタイを装備していないので高回転域でもう一段伸びるといった特性ではないと思うが、このフィーリングから推測す
 るとかなり期待できるのではないかと思う。
  気になったのは、見た目に感じる質感。元々ベース車がそこまで質感の高い車ではなかったけど、ブラック内装の「12SR」
 はその印象が更に強く感じられた。のっぺりとしたドアの内張りや「シール的」なカーボン調フィニッシャーは、やはり気になる
 ポイントであった。排気量1200ccとは言え150万もするクルマなのだから、もう一つ工夫が欲しかったなぁ…。しかしキューブ
 オーナーの私としては、重厚感のあるドアや内装のまとまり方はマーチに軍配が上がる!と感じ、羨ましく思った。まぁ走りに
 徹したモデルだから、これでいいのかもしれないが。(^_^;)
  ちなみにカタログ上では一切触れられていない「燃費」だが、慣らし中でリッター14〜15kmを記録。ベースの12c・MT車が
 カタログ値でリッター21km。実燃費は2割落ちと考えて17kmと推測すると、かなり良い。ハイパワーエンジンとスポーツ志向
 のタイヤが装着されている事を考慮すると、十分合格点ではないだろうか?ちなみに我がキューブちゃんはリッター14kmが
 限界である。

 <全開インプレッション> 〜オーナーからの投稿〜 2004年2月追記
  回転の上がり&吹け上がりは絶品で、インテRに限りなく近い。 違うといえば、カムの切り替わりが無いのでトルク変化が
 無い事。 3600rpmが最大トルクなので、基本的にはそれ以上は回るのみ?ギアが低いので回転はよく上がるが、実際は
 速度はそんなに出ていない。
 あと気になるのはやはりシフトフィール。どーも引っかかる感じがする。MR2にもあった、あの「ごきゅ」といった感じがどーして
 も拭えない。 コレは要改善。騒音対策のためベース車開発時にロッド式をわざわざ ワイヤーリンケージにしてしまった
 らしいが、12SRにはふさわしくないと思う。 思い切ってロッド式に戻してほしい。
  あと、低速トルクはやはりもう少し欲しい。2000rpm以下は失速の一途。 ニスモのスポーツリセッティングキットを装着すると、
 全域トルクはは太るらしい。 ECU、プラグ、エアクリ+工賃メンテ料込みで15万円を安いと見るか・・・。
  足回りは悪くない。ダブルウイッシュボーンやマルチリンクには敵わないが、 接地感はある程度あるし、限界が徐々に訪れる
 ので判り易い。現在はスタッドレスだが くだりのコーナーでは弱アンダー、アクセルオフで発生するタックインはかなり明確で、
 ちょっとオーバーステアの傾向があった。ハンドリングも電動パワステでとても軽いが、軽いからと言ってそんなに難しい感じは
 しない。多分慣れれば問題ないと思うが、掲示板では結構話題になった。
 (RX−7と比較してる奴もいたみたいだが、土俵が違いすぎるんで不適切)
  補足トリビアとして、マフラーはカルソニック・カンセイ製。NISMOブランドだがスカイライン用にあったVSSマフラーなどはここが
 作ったものらしい。

■ 気になるライバル車比較は!? ■
・トヨタ ヴィッツ RSターボ
 筆頭に上げられるライバル車といえばやはりコイツ。TRDチューンによるターボパワーで他を寄せ付けないパフォーマンスを
 見せるが、170万円超のプライスタグを見ると…(爆)。このくらい出せば速いクルマは沢山あるし、ヴィッツの魅力は通常
 モデルの1.3RSあたりで十分感じる事が出来る。お勧めは1.5RSのNAモデル。
・ホンダ フィット 1.5T
 スポーティな走りで男性ユーザーの心を掴んだ「フィット」。しかしこのクルマも、MT車の設定がない。加えて価格もやや高め
 なので、購入する際はディーラーに赴いて実車と価格をチェックしよう。ちなみに2004年夏に「タイプR」モデルが追加される
 という情報も入ってきているので、待てる人はそこまで待つのが吉。
・マツダ デミオ スポルト
 スポーツモデルには定評のあるマツダがリリースした2代目「デミオ」は、ラグジュアリーな「コージー」とスポーティな「スポル
 ト」モデルが存在する。ここであげるのは勿論後者だが、実は侮りがたい実力の持ち主。というのも足回りの味付けがとても
 絶妙で、一部では兄貴分の「アテンザ」をも凌ぐという評価も。機会があれば試乗して見ると良いかも。内外装の質感も高く、
 価格もリーズナブルで購入しやすい。なんしぃのコンパクトスポーツ一押しのモデル。
■ この車を購入するにあたり、覚悟すべき事! ■

 さて、ここまでご覧になった方は、「なかなか良さそうだねぇ。買おうか?」などと考えられているかもしれない。
 しかし、このクルマは「スペシャルマシン」。普通のクルマと比較するにあたり、以下の点は考慮すべきポイントである。
 其の壱:優雅さを求めてはならない
  スペシャルメイドな「マーチ12SR」であるが、やはりこれは硬派なスポーツカー。GT−Rのような気品は兼ね備えてない。
  質感も「マーチ」レベルで止まっているので、車両価格に対する豪華さを期待すると裏切られる。
  価格上昇分は全て「走り」に回っている事を忘れるべからず。
 其の弐:速さを求めてはならない
  ベース車と比べるとホットな内容だが、それが「速さ」とつながると思ったら大間違い。
  マツダ・ロードスターのように「スポーツドライブ」を楽しむものだと認識すべき。
 其の参:居住性を求めるてはならない
  元々のベース車が「マーチ」なので室内の狭さは覚悟できると思うが、騒音や振動もベース車より多めである。
  軽量化とレスポンス向上の為、犠牲になっているものは少なくない。出来れば実際に試乗してみるのが良いが、ホンダの
  タイプRシリーズオーナーは、このあたりは全然問題とならないと思う。(むしろ「良い」と思うかも?)

 

いかがでしたか?マーチ12SRの魅力は伝わりましたか?
今、日産の本気は本物です。
数年前のイメージは完全に拭い去られ、クルマ創りに対する情熱を感じるモデルが沢山デビューしています。
次のクルマは、日産車でどうですか?

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