かおりんの恋は止まらない♪ 2






 永遠と思った一瞬を感じた。






 寝ているあたしに相沢くんがキスをした。

 まだ胸がどきどきしてたけど、苦しくなかった……。

 そして相沢くんの顔を見ていたらなぜか気持ちよくって安心した。

 「あ、相沢くん……」

 あたしを見て笑っているでもその目は凄く優しかった。

 「何でキスしたか知りたい?」

 こくん。

 あたしは小さく頷いた。

 「それはな、香里の顔に書いてあったから……”キスして下さい”ってね」

 「う、うそ!?」

 慌てて自分の顔に手を当てるあたしを見た相沢くんがニヤリと笑った。

 ああっ、そんな事あるわけないじゃない!

 「そうかぁ〜やっぱり俺とキスしたかったんだな、香里って♪」

 相沢くんは、してやったりとあたしを見つめながら満足そうに頷いている。

 「ず、ずるい……」

 相沢くんの視線に恥ずかしくて、またあたしは目を瞑った。

 もう、悔しくて悔しくてたまらなかった。

 何でこうなっちゃうの?

 なんて考えていたら……。

 「んんっ?」

 また、キスされた!

 それも長い長いキスだった。

 あたしの頬を手で押さえながらのキスは息が苦しくなるほどだった。






 「……はぁ」

 「大丈夫か香里?」

 あたしは暫くぼーっとして天井を見ていた。

 そんなわたしを相沢くんは優しく見つめている……。

 「……うん」

 小さな声で返事をする。

 祐一がほっと息を吐いた。

 ふふっ、なんか私を心配してくれるのが嬉しい。

 私が微笑みながら見てるのに気がついたら、急にそっぽを向いた。

 あ、照れてる・・・変な奴。

 強引に私の唇を奪ったくせに、それも二回も。

 「くすくす」

 「?」

 くすくす笑いだした私を怪訝な表情で祐一が見る。

 照れ隠しなのか、頬を指で擦りながら誤魔化すように話し出した。

 「あのさ・・・さっき聞いた事だけど、何で俺のこと叩いたんだ?」

 「えっ、そ、それはその・・・」

 「そんなに言いにくい事か?」

 「そう言う訳じゃないけど・・・」

 「じゃあ教えてくれたって良いんじゃないか?」

 「う、うん・・・」

 もう、どう言えばいいのかしら?

 今更夢の中でキスしたって言っても現実にしちゃったし……。

 なんて考えて黙り込んでたらすぐ側に相沢くんの顔があった。

 「な、なに?」

 「どうしても言わないんだったら……」

 相沢くんはニヤリと笑うと、あたしの唇を指で差した。

 「またキスか、もしくは……」

 「もしくは?」

 あたし……また胸がドキドキしてきた。

 「香里が期待している以上の事をしちゃうかもしれないぞ」

 き、期待している事ってなによ?

 ま、まさか!?

 それが頭の中に浮かんだ瞬間、あたしの顔は耳まで真っ赤に染まっちゃった。

 「ここには丁度ベッドもあるしなぁ……」

 な、何あたしの上に覆い被さってるのよ?

 「それに一応段階は踏んでるし」

 「だ、段階って……」

 「始めに手を握っただろう、次にキスもした、すると残りは何かな?」

 「あ、相沢くんっ!? ここ学校の保健室よっ!?」

 「俺は問題ないけど」

 「そ、それに保健の先生だって来るかもしれないし……」

 「先生は用があって今日は戻らないって言ってたぞ」

 そう言って相沢くんが見せた手には保健室の鍵があった。

 「な、名雪とか栞が来るわ」

 「先生が気を利かせて出掛ける時に鍵閉めていったぞ」

 何で余計な事するのよ!

 「さあどうする? 何なら俺が決めちゃっても良いけど……」

 「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!」

 「だ〜め、時間切れ」

 「な、何よそれ?」

 「香里」

 相沢くんの顔が近づいてくる……だ、駄目よ……。

 あたしはぎゅっと目を閉じた。






 かぷ。

 


 えっ、鼻を噛まれた!?

 ビックリして鼻に手を当てて目を開けると相沢くんが笑っていた。

 「香里って本当に可愛いな〜」

 「な、何よ?」

 相沢くんの奴さっきから笑うの我慢している。

 「だって、場所の事しか気にしてないし……普通場所なんて二の次だろ?」

 「えっと……ああっ?」

 そうよ、肝心なこと断ってないじゃない!

 「つまり、香里は……」

 「だ、駄目、言っちゃ駄目!!」

 慌ててあたしは空いてる手で相沢くんの口を塞いだ。

 「もががっ」

 「もう言わない?」

 「もが」

 頷いた相沢くんを見てそっと手を離す。

 「ふう、危うく窒息するところだった」

 「なによ、さっきのキスの方が苦しかったわよ」

 「はは、ごめん」

 相沢くんがあたしにぺこりと頭を下げた、なんか素直で可愛い……ふふっ。

 「なあ香里、今からデートしないか?」

 「それって私に学校をさぼれって言う事?」

 「だめかな?」

 あたしはベッドの上で起きあがると相沢くんに答えた。

 「そうね、今日の所は相沢くんに唆された事にするわ」

 「それじゃ俺が悪い奴になるじゃないか?」

 「寝ている女の子に襲いかかるんだから当然よ」

 「まいっか、よ〜しそうと決まったからには行くか!」

 「うん」

 あたし達は手を繋いだまま学校から抜け出した。

 ふふっ、たまにはこういうのも良いわね♪

 本当にたまによ。






 つづく。